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2019.12.12 (Thu)

エロス(『淫らなタイムスリップ』) &ラブラブのタイムスリップ小説(『二十歳の君がいた世界』)で「人生とは何か」「人間とは何か」を考える。かつての『リプレイ』『なぎさの媚薬』などを思い出しつつ…人生とは、あぁ無情?


エロス(『淫らなタイムスリップ』) &ラブラブのタイムスリップ小説(『二十歳の君がいた世界』)で「人生とは何か」「人間とは何か」を考える。かつての『リプレイ』『なぎさの媚薬』などを思い出しつつ…人生とは、あぁ無情?
(2019・12・11・水曜日)

※以前書いたものが消えたりするので? 再録。

先日、知人からもらった杜山のずく氏の『淫らなタイムスリップ』 (竹書房ラブロマン文庫)を読んだ。高円寺古書会館では100円(税込み)。安い。元値は本体価格660円。カバーイラストはイマイチ…。

(こんな内容)→30歳でうだつの上がらない童貞サラリーマンの沢渡耕介。彼はタイムスリップできる不思議な音楽プレイヤーを手に入れ、自由に過去に戻れるようになる。失敗した合コン相手のナースに筆下ろししてもらい、妄想だけで手出し出来なかった人妻の媚肉にたっぷり精を注ぐ。勝ち気な同僚のOLを新人時代に淫らにトロけさせ、口もきけなかった予備校のギャル系同級生を騎乗位で貫く…。下宿先のおばさんとも…。かつてチャンスを逃した美女たちと出会い直して、その肉体を存分に味わう耕介。そして彼はその力で、他人の妻になってしまった憧れの幼馴染・清水薫への純愛を果たそうとするのだが…! ? 気鋭が描く歴史改変ラブロマン!
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まぁ、他愛もない空想的ラブロマンス小説。でも、あの時、ああしていれば…といった「イフ」の世界は、どんな人にも大なり小なりあるものだ。大学入試でもあの問題で勘違いしなければギリギリ合格していたのに…なんてことも。僕も中学生の時に戻れるならば、あの時、あの子にああしていれば…といった思いを抱かないでもないけど……。今の古女房にしても、あの時、ああしていれば(ああしていなければ)…とも。人生とは、あぁ無情!?
今、週末はいつもギャンブルに出かけて晩飯も作ってくれない(?)妻ではない別の女性と所帯を構えていたかもしれないではないか。あぁ、無情!!

だから、こういう他愛もない小説を読んでいても、ひしひしと感じるものがなきにしもあらずだ。主人公は内容紹介にある通りのイマイチ君。タイムスリップして過去に戻ると、その時点での年齢にあった恰好、姿になるものの、精神的なものは30歳ということで、ちょっとした円熟男に…。それも効果あって……。徐々に人生の歯車はいい方向に向かって回りだす…。
それにしても、このカバーイラスト…。もう少しなんとかならないものか?

引き続き、タイムスリップ小説として、沢木まひろ氏の『二十歳の君がいた世界』 (宝島社文庫)を読んだ。

(こんな内容)→50歳の平凡な専業主婦・清海。夫を亡くした未亡人。とある日清海は、追突事故をきっかけに、2016年の現在と極めて近似する、1986年の平行世界に飛ばされてしまった。30年前。でも、見た目は50歳のまま。先の小説みたいに「二十歳」の恰好にはなっていない。この世界に存在しえない人間になってしまった清海は、孤独に苛まれつつも、バブルに沸く渋谷の街を歩き始める……。そこで、現実の世界では、失踪したはずの叔父や、死別した若き日の夫、そして20歳のもう一人の自分と遭遇する。そうした出会いを通して、自分の人生を振り返っていく清海。
のほほんと生きてきた彼女は、一人でどうやってこの世界で生きていけるかを考え始める。果たして、清海は元の世界に戻ることができるのか?

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こういうパラレルワールドを描く架空小説としては、たとえば、日本が共産世界になっていたら…ということで、原発取材時に事故で爆発して…という恐怖の世界を描いたのが井沢元彦氏の『日本が「人民共和国」になる日』 (ワック)。傑作! 日米安保条約が批准されなかったら、こんな世界になっていただろうという地獄が描かれている。
そういう政治的なものではなく、「人間とは何か」「人生とは何か」といったものをテーマにしたのはケン・グリムウッドの『リプレイ』 (新潮文庫)。

(こんな内容)→ニューヨークの小さなラジオ局で、ニュース・ディレクターをしているジェフは、43歳の秋に死亡した。気がつくと学生寮にいて、どうやら18歳に逆戻りしたらしい。記憶と知識は元のまま、身体は25年前のもの。株も競馬も思いのまま、彼は大金持に。が、再び同日同時刻に死亡。気がつくと、また――。人生をもう一度やり直せたら、という窮極の夢を実現した男の、意外な、意外な人生。
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1990年の刊行というから、30年前に読んだ作品だ。細かな記憶は忘れているけど、とても面白かった。当時の僕は30歳。還暦爺さんになった今、この作品を読むと、また違った感慨が浮かぶだろうか? 再読すべきかな……。

あと、重松清さんの『なぎさの媚薬』 (小学館文庫、講談社文庫で何冊かのシリーズで刊行)も傑作。こちらはエロスも加味された作品。
渋谷の街に現われる美しい娼婦・なぎさ。彼女を抱いた男たちは、青春時代の思い出の女性と再会する夢を見る。そして過去に戻って、さまざまな恋愛をやり直す…といったお話。さまざまな事例が…。

ともあれ、 『二十歳の君がいた世界』に話を戻す…。
いやぁ、これも面白かった。50歳の未亡人が主人公。子供はできなくて、見合いで30歳になるころに結婚したという設定。自殺の飛び下りに遭遇して……。30年前に戻る。見てくれは50歳のまま。全くの無一文。交番でお金を借りるのも一苦労。電話番号も090…と書いてしまう。なにせ、戻ったのは1986年。JRはまだなくて国鉄…。服を買うならユニクロはなくてイトーヨーカドー。かつていきつけだった喫茶店を見れば、そこには若き叔父がいた? これ幸にと…。

なんとかホームレスにならずにすんだ彼女は、30年前の自分や30年前の夫とも遭遇していく……。そして…といったストーリー。
過去の自分のふるまいなどを思い出しつつ、自分の出生がらみでの両親への葛藤なども……。一応ハッピーエンドでなにより。

それにしても、こういう過去を描いているのに、1980年代半ばのシーンの中で、 「看護師」という言葉が出てくるのは、ちょっと興ざめですね。 「看護婦」でいいじゃん。JRではなくて国鉄なんだから、看護師ではなく看護婦と書いて何が悪かろう。この箇所のみ、マイナス。それ以外は葛藤やらストーリー展開の巧みさやらノープロブレム。

引き続き、この人の小説を読みたくなった(しかし、小説を読む時間は、特定嗜好分野に限定しているのだが…)。たまに、まともな小説を読むのもいいね。一応、こちらはジキル系で、前出はハイド系かな。

ハイド系の杜山さんの略歴を見ると、 「かつて路頭に迷っていたところ、ある編集者に拾われて物書きの道へ」とあった。この人もタイムスリップした作家なのかもしれない?

ともあれ、ネバーセイネバー。あとは野となれ山となれ!

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