古本虫がさまよう 小田実と北山悦史の官能表現の相違とは何か? フェチといえば 「書痴」?
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小田実と北山悦史の官能表現の相違とは何か? フェチといえば 「書痴」?
(2017・8・5・土曜日)




前日の本欄で紹介した田中雅一氏編の『侵犯する身体 フェティシズム研究3』 (京都大学学術出版会)だが、書き忘れたことがあった。編者(田中氏)の「あとがき」でおやっと思ったこと…。

北朝鮮贔屓の「痴の虚人」であった小田実サンの小説『現代史』が紹介されていたからだ。河出書房新社の上下本としてまずは紹介されているが、僕が所蔵しているのは角川文庫版。文庫だと上中下の三冊? 一冊だったような記憶があるが…? 合わせるとかなり分厚かったかと。ただし、積んどくして何十年か?

田中氏によると、この本は谷崎潤一郎氏の『細雪』を意識して書かれたもので、フェティッシュな要素があるとのこと。対象は足ではなく下着で、主人公の聖子が高校二年の時アメリカ留学から持ち帰ってきたものとして紹介されているのが、ベージュのスリップ、初夜用の「天使の羽根のように長いケープのついた薄いピンクのネグリジェ」等々だったという。

小説では、聖子が、そうした「おもいでの下着」を手に、鏡の前で悶々とするシーンも描かれている。

「これまで一度だけ聖子はそれ(ネグリジェ)を着て母の室の大きな姿見のまえに立ったことがある。ちょうど父も母も弟の和人も二人のお手伝いさんも家じゅうが出はらっていたときで、聖子は長いあいだためらったあげく、口紅を思いきって濃いめに刷いてからネグリジェを着た。いつも着ているパジャマとちがって、そのナイロンのネグリジェはケープを上にはね上げると、恥ずかしいほど体が透けて見えた」
「少し寒かったがブラジャーとパンティだけで大きな姿見のまえに立っていろいろなしなを作ってみせた。これで黒い靴下でもはけば、それこそその道の女と見えないこともないと思うと、急に恥ずかしくなってすぐスリップを着込んだ…」


ううむ、ちょっとした官能小説家の筆致ではないか。小田実を見直した?

そのほかにも三木卓氏の『野いばらの衣』 (講談社)が紹介され、足や匂いへのこだわりがどういう風に構成されているかが記されている。

「思わず鼻を近づけ臭いを嗅いだ」「わたしは半狂乱になりながらその足もとにひざまずき、唇を押しつけた。その足に鋼のような力感がみなぎっているのに気づいたとき、わたしはよろこびを感じた」

ともあれ、そういう刺激を受けて(?)、北山悦史氏の『兄嫁の香り』 (二見文庫)を一読。 2007年の作品。田中氏の先の本に収録されている論文「ランジェリー幻想 鑑賞小説と盗撮、格子写真」には、分析した48冊のこの手の小説一覧が出ているが、残念なことに、北山さんの作品は一冊もない。「臭い」(匂い)フェチ作家の睦月影郎さんの作品は『先生と僕 放課後の初体験』 (マドンナ社)など5作が入っている。

『兄嫁の香り』の内容紹介→高校二年生の淳矢は、最近結婚して同居を始めた兄の妻・彩音に密かな憧れを抱いていた。物干し台で風にひるがえる色鮮やかな彩音の下着の数々に好奇心を刺激された彼は、手に入れたい一心で兄夫婦の部屋を通り、物干し台へ…。と、校正の仕事をしている彩音の机の上には官能小説のゲラが、そして、机の下には脱いだばかりと思われるパンティが―。斯界の第一人者が巧みな筆致で誘う背徳の世界。

兄嫁のカラフルな下着に幻惑され、兄嫁の友人(女性)に導かれ、同級生とも…。そして最期には兄嫁とも…といった定番だが、主人公(高校生)の「性春」の悶々とした日常生活もそれなりに描かれ、ストーリーの展開があり、葛藤もそこそこ描かれている佳作。

兄嫁の部屋に忍び込み、脱ぎ捨てられたショーツを見つけ、手にして「この世でこれ以上貴重なものはない」と感動するあたりに共感する向きも?

「息を吸うまでもなく、顔面の脳髄に女の芳香が染み渡った。洗濯済みのものではない」「ううう。これが……これが女の人のあそこの匂いなんだ」「自分が変態男になっていると思うと同時に、至福にひたされている、と感じた」「一つ間違えば、誤った一線を越えれば、とんでもない行為に走ってしまうことを無意識に感じ取っていて、それでそうならないよう、自分を律してきた…」「淳矢はショーツを両手に広げ、正面向きで見た…」(以下略)。

ともあれ、最近の流行語ではないが(?)「一線を越え」てしまう少年だった?

古本なども、初版本にこだわったり、「帯」の有無にこだわったりするのは、ある意味でフェティシズムといえようか。 「書痴」という言葉もある。この前亡くなった渡部昇一さんなども、「書痴」を自認していたようだ。そのあたりは『追悼「知の巨人」渡部昇一 まるごと一冊 永久保存版』(ウイル臨時増刊号・歴史通)でもうかがえる。ネットのテレビでも宮崎美子さんとやりとりしている映像を見ることが可能だ。

僕なんかは本は読めればいいということで、電子本に関しては、技術的理由から」あまり使用しないし(キンドルは持っているが、タンスの肥やし?)、エロス文庫にしても、カバーを捨てたりして読んだりしていたものだ。古本屋で一番高く買った本は一冊8000円程度(それをまた「積んどく」している?)。数百万円(数千万円?)単位で本を買ったりしている渡部さんや鹿島茂さんなどは、雲の上の人?

それはさておき、そうしたフェチはわかるとしても、先の研究書の中ではダッチワイフ、ラブドールへのフェチについての考察もあった。参考文献に睦月影郎氏の『美女と野望』 (双葉文庫)や高月靖氏の『南極1号伝説 ダッチワイフの戦後史』 (文春文庫)が見当たらないようなのはちょっと?ではあるが…。こういうものを蒐集する人もいたかと。一冊ならぬ一体で何十万、何百万もするものがあるとしたら、蓼食う虫も好き好きにもホドがあるかな?

いや、趣味は人それぞれ。合法的な範囲なら、自由。盗むのは犯罪だが…。隣家の未亡人のそれと兄嫁のそれとは「一線」の違いがあるか? いろいろと難しい問題が?

ともあれ、ネバーセイネバー。あとは野となれ山となれ!
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