古本虫がさまよう 「ヒューマンライツナウ」とは? 伊藤和子氏の『人権は国境を超えて』の知的限界--北朝鮮の人権擁護のために「国境を越えて」とはなぜならないのか? 寺尾五郎さんのように称賛できないとなると共産圏の人権弾圧には「沈黙は金(正恩)」となるのだろうか?
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「ヒューマンライツナウ」とは? 伊藤和子氏の『人権は国境を超えて』の知的限界--北朝鮮の人権擁護のために「国境を越えて」とはなぜならないのか? 寺尾五郎さんのように称賛できないとなると共産圏の人権弾圧には「沈黙は金(正恩)」となるのだろうか?
(2017・6・3・土曜日)




昨日(金曜日)、最近話題の国連報告者を招いての集会があったようだ。主催者はヒューマンライツナウ。その集会に参加しようとした人がかなり拒絶されたようだ(混雑のため?)。杉田水脈さんは「潜入」できたようだ。

ちなみに、ヒューマンライツナウの中心人物は、伊藤和子さんという「人権弁護士」。岩波ジュニア新書から『人権は国境を越えて』 という本を出している。この本の酷さは以前論じたことがある(末尾に再録)。本日(6・3産経)でも、国連報告者のデービッド・ケイなる人を呼んで国会内で、この団体が集会を開催したことが報じられていた。

(これは伊藤和子さんのツイッター)
最近、国連関係者から勧告が相次いで出るのは全部私のせい、とか言う呆れた人たちがいる。 冗談じゃない、私にそんな魔力も催眠術もありませんwそんな単純な話ではない。問題もないのに国連専門家が動くわけない。世界基準で見たら日本の人権状況がどれだけ深刻になってるか、よーく考えたほうがいい (6・1)

杉田水脈さんのツイッターは以下の通り。
【東京で潜入調査中】今日の東京は集会のはしご。午前中は自民党本部で国連特別報告者デビッド・ケイ氏のとのヒアリング、意見交換会に呼んでいただきました。こちらは内容非公開です。(初めて自民党本部に入りました(^^;;)
午後からはこちらの院内集会にきています。同じくデビッド氏の報告会ですが、こっちはヒューマンライツナウの主催です。こっちはまたまた潜入ですが、前髪でバレてない(笑)


「世界基準」でみたら伊藤氏の下記の本はかなりおかしいというしかないだろう。 寺尾五郎サンのようにもはや「北朝鮮」を称賛できないとなると、その人権侵害に関しては「沈黙は金」となるのだろうか?

ともあれ、ネバーセイネバー。あとは野となれ山となれ!


(以下再録)

北朝鮮の人権擁護のために「国境を越えて」とはなぜならないのか?
(2014・1・14・火曜日)


弁護士で、国際人権NGOヒューマンライツ・ナウ事務局長の伊藤和子氏の『人権は国境を越えて』 (岩波ジュニア新書)を読んだ。

「国境を越えて」といいながら、北朝鮮の人権に関しては全くのノーコメント。北朝鮮という国名は、ある箇所で一カ所だけ出てくるけど、それは単なる説明事項の中での( )内の表記として出るだけ。 中国の人権に関しては、一カ所だけ、ちょっと一言、数行程度、国内の裁判制度の問題点(汚職など)に触れているだけ。いわゆる周辺民族との軋轢などに関連しての人権問題などはまったく出てこない。

一方、3・11以降の体育館などに避難した人々の人権をとても気にしたり、北朝鮮より遠いフィリッピンやカンボジアやビルマ(ミャンマー)での人権問題には章まで立てて、現地にまででかけたりしてあれやこれや圧力をかけるように日本の駐在大使などにも働きかけたりもしているし、現地の人権活動家にもこまめに接している。

その努力は立派だと思うけど、その熱意を日本の一番近い隣国に対して全く発揮しないのはなぜなのか。不可解である。不思議である。

人権弾圧国家としては、北朝鮮は最悪なのではないのか? ビルマにしても、フィリッピンにしても、野党もあり、反体制派のリーダーもいる。

半世紀も前の「慰安婦」問題も取り上げているが、拉致問題などは何の指摘もしていない。

この本では、韓国やタイは特に取り上げられていないけど、あれだけ反政府運動もあるタイや、選挙による政権交代が日常化している韓国では、ことさら取り上げるというか、初歩的な人権侵害問題はないから本の中ではことさら章をたててまでとりあげないというのはまだわかる。

しかし、北朝鮮には人権のかけらもないのが現状だということは自明。中国でも、国内の反体制派知識人の言論の自由の問題以前に、ウイグルやチベット、南モンゴルなどの人権問題、民族問題が深刻な状況であるというのはこれまた自明なのに、そういう問題は全く言及されていない。 「障害者」と書かず「障がい者」と書くぐらいの人だから、心から人権問題に関心を寄せているのだろうが…。

ジュニア新書だから、薄くて、そういう国々を取り上げる余裕が紙数の都合でなかったのかもしれない?

この本は、大学生以下の世代というか、中高生向けの本といえるかもしれない。しかし、本書だけ読んで、アジアの人権問題を理解したつもりになってもらっては困る。この本に根本的に欠如している、もう一つの人権問題を見落とすことなく、この本の若い読者は、以下の本も別途一読してほしい。

まず、同じ岩波書店から出ている楊海英氏の『墓標なき草原 上下』 (岩波書店)は必読。
また同じ著者の『植民地としてのモンゴル 中国の官制ナショナリズムと革命思想』 (勉誠出版)も重要。
中国(中共)という国家が、建国以降、周辺民族に対して、どのような人権侵害を行なってきたかが綴られている。

水谷尚子氏の『中国を追われたウイグル人 亡命者が語る政治弾圧』 (文春新書)は、ウイグルに対する中共の人権弾圧のすさまじさが綴られている。

チベット僧パルデン・ギャツォが、自ら弾圧を受けた体験記『雪の下の炎』 (新潮社)も必読。

最後に、野口孝行氏の『脱北、逃避行』 (新人物往来社・文春文庫)。

これは、伊藤弁護士などはやっていないかもしれないが、同じくNGO活動を展開している日本人青年による脱北者支援活動を綴った体験記。

北朝鮮から逃げてきた脱北者は、中国国内に辿りついただけではまだ自由になれない。
中国を横切り、ベトナムを通り抜け、カンボジアまで辿り着かないと「自由」は得られない。

野口氏は、そうした脱出路に脱北者と同行し、成功する時もあったが、中国国内で逮捕され、獄につながれたことも…。中国は好きだったのに、こんな酷いことをする国とは…と述懐する野口氏のこの本は、伊藤氏の本に比べて、はるかに重いものがある。

文字通り「北朝鮮の脱北者の人権のために国境を越えて」活動をしているのだから。
岩波ジュニア新書の読者は、こういう本も読んで、より多角的に人権問題を捉えるべきだろう。偏った認識を持たないためにも。より、大きな巨悪、一部の奇妙な思考をする人が隠したがる現実と闘う知的勇気を持つためにも。

ともあれ、全然、テーマが異なるが、秋田喜代美氏監修(稲葉茂勝氏・文)の『調べよう! 世界の本屋さん 本屋さんのすべてがわかる本1 』 (ミネルヴァ書房)を読んだ。

絵本風の薄い本であるが、世界各国の本屋さん事情が紹介されている。神保町やヘイ・オン・ワイなど古本屋街も出てくる。

また北朝鮮の国営書店も出てくるが、 「権力に反対する本などを置く本屋は、北朝鮮の社会ではまったく考えられません。権力にとって不都合な本は存在できないのです」と的確に指摘。

本屋内部の写真も出てくるが、並んでいる本の三分の一が金日成全集や労働党の書籍、三分の一はガイドブック、指導者のバッジなど、残り三分の一は金日成肖像画、祭壇の花など…であると。

「これで本屋と言えるだろうか」と手厳しい。こんな、頁数の薄い写真中心の絵本的な本でも、国境を越えた視点で、北朝鮮の問題点、人権、言論の自由について論じているというのに…。
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