古本虫がさまよう やはり、人間は、ジキルとハイドですな、ということを想起させる覗きノンフィクション 神様、ビッグブラザーはみんな知っている?
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やはり、人間は、ジキルとハイドですな、ということを想起させる覗きノンフィクション 神様、ビッグブラザーはみんな知っている?
(2017・3・24・金曜日)

ゲイ・タリーズの『覗くモーテル観察日誌』 (文藝春秋)は大変面白いノンフィクション作品だった。


内容紹介→天井裏に自分だけの覗き部屋を作ったモーテル経営者、30年の奇妙な記録
1980年のはじめ、著者のもとに一人の男から奇妙な手紙が届く。男の名はジェラルド・フース。コロラド州デンヴァーでモーテルを経営しており、複数の部屋の天井に自ら通風孔と見せかけた穴を開け、秘かに利用者たちの姿を観察して日記にまとめていると言う。男を訪ねた著者が屋根裏へと案内され、光の洩れる穴から目撃したのは、全裸の魅力的なカップルがベッドでオーラルセックスにはげむ姿だった――。ヴェトナム戦争で傷ついた兵士とその妻の行為から、不倫や同性愛、グループセックス、さらには麻薬取り引きの絡んだ殺人事件まで、三十年に及ぶ記録からはアメリカの世相、性意識の変化が見えてくる。

目次→1 男からの手紙、そして出会い 2 十九世紀の覗き魔について書かれた本 3 見せかけだけの通風孔と屋根裏ツアー 4 『覗き魔の日記』の束 5 観察対象第一号 外見、行動、結論 6 グループセックスと、レズビアン教師 7 傷ついたヴェトナム戦争帰還兵とその妻 8 これこそがリアルな市井の人々 9 覗き魔を苛立たせる宿泊客たち 10 行為のさいに明かりを消すかどうか 11 自宅まで中年女性を尾行して 12 なぜ部屋から羊の声が…… 13 夜な夜な、叔母の部屋を覗いていた 14 少年時代、覗き魔が育った町 15 花形チアリーダーの彼女と別れた理由 16 海軍時代、売春宿で童貞を卒業 17 利用客を被験者にしたテスト 18 性欲レベルが異なる夫婦 19 一度だけ覗き穴が露見しかけて 20 かなり活発なカップル=十二パーセント 21 覗き魔を大いに喜ばせた男と女 22 女性のマスターベーションの動機 23 あらゆる男は覗き魔である 24夫婦交換がうまくいかない場合 25 観察の耐えがたい近親相姦 26 殺人事件を目撃した夜 27 どんどん人間ぎらいになる 28 浮気、離婚、新しい伴侶との邂逅 29 モーテルを売却して引退へ 30 懐かしの街、オーロラ 31 ついに日記の公表を決意 32 覗き魔の蒐集品 33 覗き魔の告白 34 通風孔ごしの人生を過ごして半世紀 35 モーテルの解体


オーウェルの『1984』のビッグブラザーになったかのようなモーテル経営者が主人公。この人、子供の時から、叔母(母の妹)の家に行った時に、寝室などを覗き込んでいた性癖の持ち主(しかし、本書の中に、叔母の顔写真も出てくるが…。それほど覗き見たくなるほどの美女とは思えない?)。

その覗きが嵩じて、モーテルを買収した時、部屋の一部の通風孔に細工をして屋根裏から覗けるように工作。

若いカップルなどがやってくると、そういう覗き孔のある部屋に案内。そして、屋根裏覗き、観察日記(日誌)をまとめていく。ある時、それをタリーズに送る。その内容に関心を持ったタリーズは彼に会いに出かける……。

その男、自分はビッグブラザーではないと。監視カメラが増えている現状を憂えたりもしているのは矛盾? とはいえ、本書を読む限り、覗きと観察日誌はあくまでも個人的趣味の領域。それを利用して脅したりするとかそういう「犯罪行為」はしていなかったとのこと(もっとも「覗き」はいうまでもなく犯罪的行為)。

お金のあるカバンをわざと部屋に置いたりして、それを正直に届けるかどうかなども実験。ほとんどの人が猫ばば? 牧師が泊まると、エロ本を引き出しに。それを見つけた牧師はオナニーを? 健全なカップルが泊まるものの、夫は淡白。妻はオナニーグッズを出してきて慰めたりする……。こんな美人妻が、年下の少年を誘惑するようになっていく…(かどうかは不明),

ううむ、実に面白い人間観察? アメリカのモーテルは簡易宿舎だから、日本のラブホとは違う。宿泊客がすぐにメイクラブをするわけではない。その点、日本のラブホの経営者がこんなことをすればどうなるか? ラブホだと唯一最大の目的が「短時間でのメイクラブ」だから、ほぼ百パーセントの確率で、その行為を覗き見ることが可能になる。アメリカのモーテルの場合は、少なくとも日中はなんにもなくて無駄な時間を過ごすこともあるようで、観察する上での効率はあまりよくない。

彼の場合は、時々期待に胸(あそこ?)を膨らませながら、何もなくてガッカリすることもあったようだ。時には殺人やら犯罪行為などを垣間見たり、バレそうになったり…。

性愛文学の巨匠こと、富島健夫氏の小説『人間の部屋』 (青樹社ほか)は覗きをテーマにした本だったかのような?(記憶が曖昧。アパートの家主が借り手の部屋を覗きフフフ…)。

(内容紹介)→貸し部屋を造ることで深井英生の覗きと盗聴の欲望は十分に充たされた。妻の多重子も凄絶な他人の悦楽に痺れる。しかも英生は大家として、魅惑的な間借り人の美女に接近し多重子を、さらに刺激した。男女の性的異常性・好奇心を徹底的に観察して、人間の本質に迫る…といった内容。

この「内容紹介」だと、タリーズの本に出てくる覗き夫妻と同じような印象を受ける。

翻訳モノでは、ノーマ・イーガンの『義母の寝室』 (フランス書院)は、たしか、若い妻と再婚した父が亡くなり、残された義母と少年の間の微妙な空間、そして少年の、義母のみならず隣家の奔放な若夫婦の痴態に誘惑されるかのような覗きが嵩じて…ふふふの世界を描いた傑作小説だ…。「身内」と「お隣さん」ならまだいいが……。

そのほかにも睦月影郎氏の『義母の寝室』 (二見文庫)や鏡龍樹氏の『叔母の寝室』 (フランス書院文庫)という傑作もある。ただし、言うまでもなく寝室や風呂場やトイレの覗きは犯罪行為です。

日本でラブホ経営者がこんなことをやったら、もっと凄い観察記録が、短期間で書けるのでは……。

やはり、人間は、ジキルとハイドですな、ということを想起させるノンフィクション。神様、ビッグブラザーはみんな知っている?

ともあれ、ネバーセイネバー。あとは野となれ山となれ!
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