古本虫がさまよう 大澤メモによる「私を通りすぎた言論人」たち&「言論人閻魔帳」こと『アはアナキストのア さかのぼり自叙伝』と、佐々メモによる「政界閻魔帳」こと『私を通りすぎた政治家たち』は異色ノンフィクション的自叙伝
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大澤メモによる「私を通りすぎた言論人」たち&「言論人閻魔帳」こと『アはアナキストのア さかのぼり自叙伝』と、佐々メモによる「政界閻魔帳」こと『私を通りすぎた政治家たち』は異色ノンフィクション的自叙伝
(2017・3・7・火曜日)




読みかけだった、大澤正道氏の『アはアナキストのア さかのぼり自叙伝』 (三一書房)を読了。


容紹介→私はなぜアナキストになったのか?」
著者自らその問いにこたえる形で、現在から半世紀以上前の敗戦の廃墟に立った若き日の記憶へと回想していく。
本書は著者個人の倒叙による歴史であると同時に、同時代を生きた人々の運動と人生の軌跡でもある。
鶴見俊輔との交友、編集者としての林達夫や久野収等との思い出、仲間だと思っていた人間との対立、異国で志を同じくする人々との出会い、組織の離合集散・・・様々な経験を現在からさかのぼる自叙伝。
これは20世紀の日本アナキズム運動史であり、その時代を作った人々の歴史だ。
戦後日本のアナキズム運動を支えてきた当事者が、若き日の『相互扶助論』や『資本論』との出会いから、志を同じくする多くの人たちとの出会い、離合と集散の遍歴を綴った貴重なドキュメント。現在から始まる反・回想録。


著者は1927年生まれ。ということは今年で90歳。かなりのご高齢だ。しかし、戦時中は、少年兵として戦争に巻き込まれることはなかった。勤労動員という形で、あちこちの工場や農作業に刈りだされては勤労奉仕に励んでいる。少年時代から日記をつけていたようで、時々、大澤日記というか大澤メモを引用しながら、当時の感慨が綴られている。

敗戦の直前の日の日記の一節。

国家的な侮辱を受けた時、人間の採るべき道は二つある。一つは復讐すること、いま一つは国家そのものを抹殺すること。私は後者を取ろう。

17歳(18歳?)の決意表明。かっこいいね! こうして大澤少年はアナキズムへと突進していくのであった……。

そうした日記の引用を読みながら、ふと、佐々メモを思い出した。佐々淳行さんが警官時代、手帖にメモした「佐々メモ」を基に、さまざまなノンフィクションを書いていることは周知の事実。まもなく文庫化される『私を通りすぎたスパイたち』 (文春文庫)も、帯に「佐々メモによる最後の政界閻魔帳」と記されている(文春ホームページ参照)。それと同じように、大澤さんの本も、「大澤メモ」に基づく「言論人閻魔帳」といった感じの本だ。 『私を通りすぎた知識人・編集者たち』といったところか。中央公論社の平林孝さんの名前も懐かしい。

雑誌「論争」にも関与していたとのこと。この「論争」に関しては、編集長をした大池文雄氏の『ただ限りなく発見者 大池文雄著作集』 (風媒社)を、この前、紹介したが、彼の名前も大澤さんの本に出てくる。中村菊男さんの名前も。大澤さんは、意外なことに久野収や鶴見俊輔とは仲が良かったようだ…。「論争」に関しては「容共だけはご免」ということで、それ以外なら「なんでもありのごった煮」だったとのこと。論争社は、そういえば、レイモン・アロンの本も中村さんの本(『診断・日本の政治体質』『日本の中立は可能か』)も出している。
この大澤さんの本には佐々淳行さんの名前は出てこない。大澤氏は平凡社でも労組活動をしたり安保闘争にもそこそこ参画していたとのこと。どこかで接点があったかもしれないが……。

ともあれ、平凡社時代の回想は、大澤氏がペンネーム(大原緑峯)で書いた『平凡社における失敗の研究』『平凡社における人間の研究』 (ぱる出版)を以前一読。新著でも、平凡社時代の回想はかなりの部分を占めるが、二足の草鞋で、アナキズム関連の仕事も。アナキズムといえば、田中美知太郎や勝田吉太郎などの名前も浮かぶが、本書には田中は出てくるが勝田の名前はない。この点は、浅羽通明の『アナーキズム―名著でたどる日本思想入門 』 (ちくま新書)が参考になる。

ともあれ、ネバーセイネバー。あとは野となれ山となれ!
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