古本虫がさまよう グッバイ&ゲッタウェイ「レーニン&マルクス」の知的廃墟よ
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グッバイ&ゲッタウェイ「レーニン&マルクス」の知的廃墟よ
(2017・1・24・火曜日)




『山﨑友也写真集 Memories 車両のない鐵道写真』 (日本写真企画)を拝見。

内容紹介→鉄道で旅をしていると数多くのドラマに出会い、心動かされる
ただボクの鉄道写真の舞台に、車両の姿は必要ない
鉄道をとりまくあらゆるものが主役になり得ると思っているから
むしろそこに車両がいないからこそ人は旅情や郷愁に想いをはせ、よりセンチメンタルになれるのだろう


鉄道車両は写らず、駅周辺の光景や駅ホームや車内の人々などが写っているもの。子供や老人や美女も犬やネコもしばしば登場。風情はある。ただ、線路脇に小鳥がいたり…といった写真はない。画竜点睛を欠く? 小鳥もほしいねぇ。

写真集といえば、「廃墟」シリーズ。キアラン・ファーヘイの『ベルリン廃墟大全 -ナチス、東西分割、冷戦…光と影の街を歩く』 (青土社)を見た(読んだ)。


内容紹介→半壊した娯楽の宮殿、停止した工場、くずれかかった病院、無人の軍事施設…。
廃墟に魅入られたジャーナリストが、ベルリンのさまざまな場所に点在する廃墟をめぐり、
それらにまつわる歴史を紐解く。過去と現在のはざまに浮かんだ、神秘的な世界の面影がいま私たちの目の前に現れる。


ソ連が英国などを照準にしていた核ミサイルを密かに持ち込んでいた町、フォーゲルサンクの施設の荒れ果てた跡地や、東ドイツの人民警察機動隊の宿舎や拘置所など廃墟になっているところをクローズアップ。こういうところが「廃墟」になるのは結構なこと? 一世を風靡した「共産主義施設」の成れの果ての景色も多々収録されている。それらは「素晴らしき廃墟」というしかない。

この本のラストシーンは「レーニン」だ。「森の町ヴユンスドルフ」「禁じられた街のレーニンの最後の抵抗」となっている。この地は、ソ連人の街だったとのこと。 「リトル・モスクワ」と呼ばれていたそうな。ソ連兵士の宿舎があり、レーニン像も作られていた。

「このレーニンは孤独だ。彼は残された最後の人間なのだ。1994年8月の運命の日、同志がみな彼を見捨てて逃げ去ってから、手入れの行き届いていない芝生をひとりわびしく見つめている。この像もレーニン本人も孤独だった…」と。ここからベルリンの壁構築のための人員も派遣されていたという。

だが、写真を見る限り、この「レーニン像」は撤去されることなく「鎮座」しているようだ。これを見て、ふと映画「グッバイレーニン」を思い出した。東独の、向坂逸郎サンも真っ青な(?)ソ連大好きな共産党員の母親がベルリンの壁崩壊のショックを体験しないように必死になって「言論統制」(?)をして情報封鎖に追い込むのに、窓から外を見ると、ヘリが邪魔になったレーニン像を吊るして撤去移動している……。それを見せたら病弱の母親がショック死するのでは…と。あら大変?

以前、見市知氏の『ベルリン東ドイツをたどる旅』 (産業編集センター)を紹介したが、そういえば、その本でも、1990年9月に東ベルリンに留学したころの東独崩壊前後のベルリンの日々(その後も含めて)をカラー写真と共に綴った本だった。映画「グッバイレーニン」や「善き人のためのソナタ」なども紹介されていた。「善き人のためのソナタ」の感動のラストシーンに出てくる本屋(カール・マルクス書店)の写真もある(が、2008年に店舗が移転したとのこと。名前が悪い?)。『ベルリン廃墟大全』には、カール・マルクス書店の「廃墟」のあとの写真はなかった。再興しているのだろうか? ロンドンにもそんな本屋があったかのように記憶しているが?

ともあれ、この本、ナチス時代から戦後、共産主義者による施設利用など、さまざまな変遷を経て廃墟になっていた施設の数々が登場し面白い。この本のサブタイトルは原著にはなくて、日本語版で追記されたようだが、 「共産主義」という言葉がないのは不可思議というしかない。「ナチス」と連動、等価値を持つ忌むべき言葉として、サブタイトルに「共産主義」なり「左翼全体主義」という言葉を付記すべきであったろうに…。ジャン・フランソワ・ルベルの名著『グローバル・デモクラシー』を訳出している青土社としては、これまた画竜点睛を欠くというしかない?

ともあれ、ネバーセイネバー。あとは野となれ山となれ!
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