古本虫がさまよう 朝日と産経を朝読むと違いがよくわかる。例えば1・13、1・16朝刊など……「大学の基礎研究費は削られて着膨れていく防衛予算」「昔乙女今太め 裸でも着膨れする我が古女房」は文学か?
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朝日と産経を朝読むと違いがよくわかる。例えば1・13、1・16朝刊など……「大学の基礎研究費は削られて着膨れていく防衛予算」「昔乙女今太め 裸でも着膨れする我が古女房」は文学か?
(2017・1・17・火曜日)






ジョージ・オーウェルの『動物農場』の新訳(山形浩生氏)がハヤカワ文庫から出たので購入し、ウクライナ語版への序文などや訳者解説から読んでいたのだが、なるほどという指摘があった。
言うまでもなくオーウェルは民主的社会主義者であり、社会主義の擁護者であった。だが、ソ連型共産主義を全体主義ととらえ、それを民主主義や社会主義とみなす風潮を批判していた。それ故に『動物農場』を書いたともいえる。

ウクライナ語版への序文のなかでも、英国の労働者や知識人たちが、ソ連に幻想をいだき、 「公共生活においてそこそこの自由と穏やかさになれてしまったために、全体主義というものがまったく想像できない」「一般人は強制収容所だの大量追放だの裁判なしの逮捕だの、報道の検閲だのといったものはなかなか理解できない。ソ連のような国について読むことはすべて、イギリス的に翻訳されてしまい、おかげで実に無邪気にも全体主義プロパガンダのウソを信じ込んでしまう。1939年まで、いやその後ですら、イギリス人の大半はドイツのナチス政権の正体を見抜けずにいたし、いまやソ連政権について、かれらはいまだにおおむね同じ幻想の下にある」と指摘している。

あれから70年以上が経過し、ソ連も崩壊し、左翼全体主義への幻想は消滅したと思いたいが、この前、ワイダ監督が死んだ直後の朝日夕刊訃報記事は、彼の晩年の作品、スターリンの暴虐を描いた『カティンの森』に一言も触れなかった。これでは、スターリンへの忠誠を誓ったのではないかとの疑惑を本欄で指摘もした。

2016年1月13日付けの外交文書公開を紹介する記事でも、なんと、公開された外交文書で重要な論点であるシベリア抑留の「赤化工作」についての記事が朝日(1・13付け)には欠落しているのだ。同日産経では「旧ソ連帰国者の抑留者を洗脳」「共産化工作」「相当な効果」との見出しで、抑留されたハルビン総領事館員に対して、ソ連関係者が「殺す」「帰国させない」「家族をシベリアに送る」と脅したり、拳銃も突きつけたりしたという。衰弱して死亡した館員もいたとのこと。

こういう「歴史の真実」には朝日はあまり触れたくないようだ? それにしても、総領事館員に、そんな脅しをしたら、ソ連のスパイになる者も出たことだろう。ラストボロフ事件は、そういう元抑留帰国者の中からスカウトされ外務省などに戻ったスパイなどが暗躍したとされる。瀬島龍三もその一員だったと指摘したのが、佐々淳行氏。その著『私を通りすぎたスパイたち』 (文藝春秋)でも詳述されていた。
そういう悪虐非道なことを平然と行なったのがソ連だった。
ともあれ、このシベリア強制抑留問題は、半世紀以上昔で、いまの記者たちの関心外でしかなかったためなのかもしれない。ほかの新聞も、シベリア問題など、特に触れていなかったところもあるようだ(僕の見たところでは、読売、東京は無視。毎日、日経は軽く紹介)。それにつけても、論調の異なる新聞を読むこは情報入手の上でも大事。

1・16朝刊では、産経が「カストリ書房」を、朝日が「街道文庫」 を紹介している。どちらもユニークな(古)本屋として。古本屋ツアーインジャハンさんは、すでに両方の店を走破。そのコラムを見て、僕も行きたいなと思ってはいるのだが…。それはともかくとして、1・16の朝日の俳壇歌壇をふとみていて「へぇ? これが文学なのか?」と思ったのが、次の一句。

「大学の基礎研究費は削られて着膨れていく防衛予算」

これに対して、選者が「基礎研究費の縮小と軍学共同の為の予算の膨張がリンクし、軍事研究へと向かうのが怖い」と称賛している。ふうん? 同じ着膨れでも、 「ハチ死んでカメムシ死んでハエ死んでわれは死なずに着ぶくれている」というのもあったが、まだ、こちらのほうが少し笑える? しかし、「虫」となると、「むのたけじとふ反戦歌虫の声」なんていうのもある……。むのたけじさんねぇ? 彼の知的限界については本欄でも何度か指摘した。所詮は容共リベラルなところがあったではないかと。
それにしても、伝統というのは恐ろしいもので、昭和55年、1980年10月5日付けの朝日歌壇ではこんなのが選ばれていた。

「軍拡を煽りて利する者は誰冷夏に見切り出稼ぎに発つ」
「統一懇めぐるたたかいよ戦場に子をやらぬたたかいと息のむ幾日」
「金大中死刑の報に涙するされど我が身になにができよう」


当時、金大中を救えといった署名活動などは、日本共産党系の統一懇など、いろいろとやっていたが、彼らが同時期、ソ連に捕らえられていたサハロフ救出のために活発な運動をしていたという記憶はない。

僕も一句。コマーシャルのコピーを参照しつつ……。

昔乙女今太め 裸でも着膨れする我が古女房

ともあれ、こういう単細胞的な反戦歌を書いたり、素晴らしいと褒めたたえる人たちは、オーウェルのいうような「実に無邪気にも全体主義プロパガンダのウソを信じ込んでしまう」タイプの人ではないかと僕は思う。

そういえば、「統一懇めぐるたたかい」というのは、総評のまだマシな部分と、同盟などが全民労協などを通じて連合に脱皮していく過程で教条的左翼と訣別していったことを意味しているのだろう。1・16朝日では、「共産、共闘へソフト路線」「自衛隊独自の立場抑制」「自己改革訴え」との見出しで、共産党党大会に、社民党、自由党のみならず民進党の幹部が列席したことを報じている。党代表を選出する選挙もないような共産党の大会に出席することや、連合が共産党との共闘に反対しているのも「統一懇をめぐるたたかい」を想起すれば当然のこと。

記事では、共産党が、中国共産党に対しても「力による現状変更をめざす動き」と「強い言葉で批判」していると書いているが、基地問題や安保法制など、基地や国会の前で動員して反対デモをするのと同じように、せめて中国大使館前に民青諸君を動員して反対デモをしているならともかく、単なる「声明」程度の伝達など、ナンセンスというしかあるまい。ソ連のアフガン侵攻にも、反対をしたと称しているが、ソ連大使館前で大々的な反ソデモをしたわけでもなかった。
ともあれ、「赤旗」をよまなくても、とりあえずは「朝日」を読めば「アカハタ」的価値観を確認することができて便利ではある?

ともあれ、ネバーセイネバー。あとは野となれ山となれ!
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