古本虫がさまよう 安倍首相に代わって(?)靖国正式参拝を…。シベリア強制抑留による死者を悼む
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安倍首相に代わって(?)靖国正式参拝を…。シベリア強制抑留による死者を悼む
(2017・1・5・木曜日)




昨日から仕事初めのところもあっただろうが、今日からというところもあるかと。半々だろうか?
昨日の朝夕ラッシュ時の電車はいつもよりは空いていた。東京もこれぐらいの「人口密度」がいいのかも……。
ともあれ、昨日は安倍首相が伊勢神宮に参拝したからというわけでもないが、こちらはなぜか、靖国神社に「初詣」に。しかも、社頭でもなく、通常のお賽銭箱の前でもなく、なんと昇殿、正式参拝をしてきた。
僕はまったくの民間人。国会議員にでもなったら、もちろん、参拝するつもりだったが、この前、母が亡くなった時、その兄弟に戦死した人がいて、靖国に奉られていると知った。ならば、民間人であっても、参拝する必然性が生れたことになる……。
ともあれ、順繰りに中に入り……。テレビで政治家などが歩く木づくりの廊下などを歩いた…。

それはさておき、小熊英二氏の『生きて帰ってきた男 ある日本兵の戦争と戦後』 (岩波新書)を読んだ。著者の父親はシベリアに強制連行・強制労働された人。その強制抑留体験のみならず、その前後の人生の歩みを綴ったもの。オーラルヒストリー的な軌跡は興味深く、面白い本だった。

ただ、ちょっと不可思議な本で、父親の体験・証言を中心に構成しつつも、戦場の近場だった満洲など、日本人女性が「性奴隷」と化した客観的な事実などには一切触れていない。関東軍など、軍関係者やその家族は、我先にと逃げたといった話はよく出てくるのだが。ソ連兵が我先にと日本人女性を襲った事実にはあまり関心がないようだ。

「囚人を労働力として利用することは、明治以後の日本も行なったこと」として、「北海道の道路建設や三池炭鉱の開発などは,囚人労働なくしてありえなかったといわれる」(ダニエル・ボツマン『血塗られた慈悲、笞打つ帝国。』インターシフト)とも紹介する。ふうむ…?
明治と昭和とではかなり時代も異なると思うけど? もっとも、著者はそのあとに「とはいえ」と。 「ソ連の囚人労働の活用は、他国にみないほど大規模であり、一九四九年当時の『奴隷労働者』は一〇〇〇万人以上ともいわれた」と辛うじてバランスは取っている。

また、ソ連側が囚人労働者に対して、凍傷予防の対策をそれなりにしたとか、赤字になるのに、収容所の維持のための支出をしたといったロシア側歴史家などの発言を引用紹介する。
「ソ連内務省の予算収支によると、捕虜労働による収益が収容所の維持管理費にみあわず、一九四六年度には三三〇〇万ルーブルの赤字を連邦予算から補填したという(カルポフ前掲『スターリンの捕虜たち』)

かといって、 「こうした事情を記すのは、ソ連を弁護するためではない」として「捕虜を強制労働させたことの責任は措くとしても、十分な受入れ準備も労働計画もなく、六四万もの捕虜を移送したことは、マネージメントが拙劣であったとしか形容できない。その結果が、非人道的であるにもかかわらず、経済的にはマイナスという愚行となったのである。個々のロシア人に悪意がなかったとしても、国としての責任は免れない」「日本の捕虜たちの境遇が、奴隷的であったことを否定する根拠にはならない」と。両論併記する。

「しかし同時に、こうしたことは日本側にもいえる。大日本帝国の朝鮮統治は赤字だったともいわれるが、それが善行を施した根拠になるわけではない。また日本軍がアジア各地で現地住民から物資を略奪したのも、補給を軽視したマネージメントの拙劣さゆえであり、その最終的責任は国力不相応に戦線を拡大した日本政府にある。現場レベルの兵士たちに悪意がなかったとしても、やはり国としての責任は免れない」「ロシア側歴史家と類似の発言が、現代日本に存在しないか、考えてみてもよいだろう」と。

一見、公正に比較考察しているように読めないこともないが、当時としては合法的に併合を実現し、大学を作ったり民生向上やハングルの普及にそこそこ務め、人口も増えていた日本の植民地統治の「赤字」云々や、戦時中の戦線不利な状況での「緊急避難」的(?)な物資の現地調達と、当時としても、ポツダム協定違反の「戦後」の「捕虜虐待」「強制抑留」「強制労働」の「赤字」とを、どちらも「国としての責任」とみなして「公正」に分析するのが果たして正しいのかどうか? 疑問だ。そのあたりは、よくよく「考えてみてもよいだろう」?

また若槻泰雄氏の『シベリア捕虜収容所』 (サイマル出版会)にも何度か言及引用もしているが、この本の要ともいうべき「世界」的な進歩的文化人のシベリア強制連行擁護論の数々を引き出そうとはしていない。

そういえば、大内兵衛は、ソ連が大好きだったようで、戦後になって、ソ連が満洲などでさまざまな施設などを 収奪した事実は、小熊氏の本の中でも事実であったと「認定」されているのに、こんな妄言を「世界」(1955年8月号「ソヴェト・中国を旅して」南原繁との対談)でしていた。

「日本ではソ連が東北の設備を持っていったという説があるでしょう。その点どうか、といってその人たちに聞いたら、そんなことは全然ない。日本軍がこわしたものを全部復旧したのみならず、その復旧の補充をしているのは全部ソ連の機械だそうです」

向こうに出かけて、当局の用意した関係者のコメントをそのまま無邪気に信じて、それを検証もしないまま、日本国内のメディアで語り、それをそのまま掲載するというのは、曲学阿世の徒というしかあるまい。朝日の某記者も、中国に出かけ同じことをしていたのでは?

ともあれ、小熊氏の本では、この点では、大内氏のような妄言はない。父親自身のコメントとして、 「略奪物資が山のように積んであった。関東軍の軍需物資だった電線ケーブル、アルミニウムの棒、電話機など、貨車で運んできたものが、ただ放り出すように積んである。日本家屋のふすまの取っ手が、仕入れ用の箱に数十個入っているのを見つけたときはあきれた。何でも手当たり次第に持ってきたのだろう」と。

大内は、岩波新書からも『社会主義はどういう現実か ソ連・中国旅日記』という「迷著」を出している。でも、その末裔ということはあるまいが(?)、小熊氏はこの本では、ソ連が占領地のモノをあきれるほど大量に何でも収奪していった事実を、このようにちゃんと指摘している。立派な心がけだ。 「とはいえ」、ならば、ついでに、大内の「迷言」「妄言」にもちょっと触れてしかるべきではないのかしら? やはり、同じ進歩的文化人の大先輩である大御所には遠慮しているのかな?と邪推もしたくなる?
大内も長生きしていれば、自著と同じ岩波新書から出た、同じ進歩系知識人の本の中に出てくる「証言」を信じたことであろうか?

小熊氏の本の中には、北朝鮮拉致家族への連帯感はさほどなし。ただ、アムネスティの活動を父親はやっているそうな。僕もアムネスティだったかが作成したハガキは出したことがある。国際郵便代金分の切手を貼って。岩波「世界」にもアムネスティの広告がよく出ていたかと(編集部そのものは、北朝鮮の人権弾圧には関心はなかったような人がいたようだが? 安江良介編集長とか)。

この前紹介した、小島亮氏編集の『ただ限りなく発見者 大池文雄著作集』 (風媒社)の中で、粕谷一希氏が、大内のことを「ある意味では非常に世渡りのうまい人で、法政大学の学長になって、厚生省に隠然たる勢力を持っていた。ただ、彼は全然本を書いたことがないんですよね。『経済学』というのは久しぶりに書いた彼の啓蒙的な本で、あと、『財政学大綱』というのを上下でやっと最後に出した」と。

「本当に大内兵衛というのは、僕に言わせればくだらない男ですよ」とも。

ともあれ、こういった若槻さんが糾弾した人々の流れから、「シベリア強制抑留」問題を、「抑留問題」として認識する向きが少しでも広がってきていることは、喜ばしい限りだ。小熊氏の父の、とりわけ戦後の歩みは、戦争で酷い目にあった国民の歩みであり、自民党には投票しない、社会党などに投票する、でもソ連や共産主義は嫌いだという信条や、晩年、抑留者への補償問題をめぐって、韓国籍となった人への共感や同情を示す態度は、なるほど、無理もないと感得した次第。

靖国神社のホームページによると、


靖国神社には、戊辰戦争やその後に起こった佐賀の乱、西南戦争といった国内の戦いで、近代日本の出発点となった明治維新の大事業遂行のために命を落とされた方々をはじめ、明治維新のさきがけとなって斃れた坂本龍馬・吉田松陰・高杉晋作・橋本左内といった歴史的に著名な幕末の志士達、さらには日清戦争・日露戦争・第一次世界大戦・満洲事変・支那事変・大東亜戦争(第二次世界大戦)などの対外事変や戦争に際して国家防衛のために亡くなられた方々の神霊が祀られており、その数は246万6千余柱に及びます。
靖国神社に祀られているのは軍人ばかりでなく、戦場で救護のために活躍した従軍看護婦や女学生、学徒動員中に軍需工場で亡くなられた学徒など、軍属・文官・民間の方々も数多く含まれており、その当時、日本人として戦い亡くなった台湾及び朝鮮半島出身者やシベリア抑留中に死亡した軍人・軍属、大東亜戦争終結時にいわゆる戦争犯罪人として処刑された方々などの神霊も祀られています(参考資料)。


とのこと。民間人はともかくとして、シベリアで「戦後」殺された軍人は、靖国に眠っているということか。

ともあれ、ネバーセイネバー。あとは野となれ山となれ!
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