古本虫がさまよう 故人の知的足跡を訪ねるなら、久野収&大内兵衛&丸山真男&若宮啓文ではなく、粕谷一希&大池文雄&中村菊男&気賀健三に学べ!
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故人の知的足跡を訪ねるなら、久野収&大内兵衛&丸山真男&若宮啓文ではなく、粕谷一希&大池文雄&中村菊男&気賀健三に学べ!(2017・平成28年・1・3・火曜日)



この前、「パールハーバーからシベリア、そしてロシア革命・文革&神保町(2016・12・28・水曜日)」というタイトルで、「2016年もあと数日で終わり。今年は、シベリア帰還終了60周年とか、文革発動50周年とか真珠湾攻撃75周年とかいろいろとあった。来年(2017年)は、ロシア革命勃発100周年やら、いろいろとあるようだ。僕にとっては、神保町古本屋巡りから40周年となろうか--」と書いたが、大事なことを忘れていた。

去年(2016年)は、1956年11月のハンガリー反革命から60年でもあったのだ。ということで、2016年10月の刊行で、この前、買ったばかりで、危うくもう積んどくしかけていた、小島亮氏編集の『ただ限りなく発見者 大池文雄著作集』 (風媒社)を読み出した。

(「BOOK」データベースより)→戦後思潮に対峙しながら論壇から消え去った大池文雄の論考・回顧・資料を集大成。ハンガリー事件前後の日本共産党内論争文書から『批評』を経て『論争』に至る思索をここに新編集した。梅本克己の一番弟子と謳われ、若き粕谷一希も私淑した孤高の知識人が再びよみがえる。

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)→大池/文雄
1928(昭3)年11月6日、長野県小諸市に生まれる。陸軍少年航空通信学校から同電波兵器学校で敗戦。1947(昭和22)年、旧制水戸高等学校文科甲類入学。同校中退後、日本共産党水戸市委員長、同国際派全国委員会委員、茨城県常任委員を歴任。1956(昭和31)年、ハンガリー事件をめぐり中央と対立、『批評』誌に依拠して理論闘争。1958(昭和32)年、共産党を除名。のちに論争社では伝説的編集長として采配を揮う。日本ソノサービスセンター、太陽グリーンランドを設立。2013(平成25)年11月1日逝去


帯に「ハンガリー事件60周年記念出版」とある。

大池氏の著作については、すでに何回か何冊かここで触れてきた。
また、彼が編集長も務めた、雑誌「論争」をこの前、五反田の古本市で十数冊購入したことも記した(こういう古雑誌をブックオフが扱っていたら、たいしたものだが。江古田や高田馬場のブックオフなら発見できるかも?)。

ともあれ、本を少し拾い読みをしたところ。雑誌「論争」での編集後記や「論争」にペンネームで書いた論文なども収録されている。
1956年11月に記したアカハタへの投稿、ハンガリー事件に対する武井昭夫批判(没)なども収録されている。

その中で、大変面白く一読したのが「アリーナ」( 2010年第10号 )に掲載されていた、大池氏や粕谷一希氏などによる座談会(「論争社」の時代、幻の出版社、星の時間へ」)だ。

とりわけ、大池氏のあとを追うように亡くなった粕谷氏のコメントが秀逸だ。

「久野収というのは本当にずるい男だよね。一番いいところに行って、いつも威張っているんですよ。最初は鶴見俊輔と藤田省三。最後に彼は小田実と一緒になって、それから五木寛之まで対談をやっていたよね。何とこの人はずるい人だろうと思ったよ。自分では全然原稿を書かないで、いつもおしゃべりばかりしているんだよね。それで、本当にもう嫌になった」
「久野が『いかん』と言うと、翻訳もできない。これは反共雑誌、反共の本だから駄目だって言うんだよ。そのなかにハンナ・アーレントというのも含まれていて、この人はひどい人だなと思った。結局、日本の社会ではこの人が中心にいる限りは、自由な出版はできないんだということがよく分かった」


そのあと、谷川雁が、久野批判をするエピソードを紹介している。関根弘批判も出てくる。ともあれ、久野サンを「師」としてヨイショしている「最後の進歩的文化人」もいたかと。久野さんのおしゃべりをまとめた分厚い本もあったかと。マドラ出版から、『久野収対話史1 1947~1968 語りによる知の戦後史』なんて本が何冊か出ていたかと(持っているが…)。


「そういうインチキな左翼の論理をあまり僕は聞かされ続けたので、つくづく嫌になってね。中央公論にいる限り、『思想の科学』をやらされるのかと思ったら、本当に僕は中央公論を辞めて論争社に行きたいなと思っていた」と語ってもいる。「論争」には、『寒村自伝』も掲載されていたし…と。

大池氏の回想として、当時の若手経済学者として気賀健三や加藤寛や原豊や丸尾直美の名前が出ていた。政治学者としては中村菊男の名前は出てこないが、論争社からの刊行物として訳書も含めて何冊か刊行もされているから交友もあったのではないか。編者の小島さんは「論争社のある部分というのは、粕谷編集長時代の『中央公論』が継承したようなかたちに、結果的にはなりましたよね」とも。

さらに粕谷さんのコメントとして、これから先、新聞や雑誌がいろいろと大変だと指摘し、 「文藝春秋がいつダウンするか。実際の部数はいいときは50万部、今では30万部を切っているらしい。だから、『文春』も遅かれ早かれ駄目になると思うんですよ。でも、それに代わるものが出てくると思う。代わるものは『論争』と同じようにそれ自体は成功するかしないか分からない。でもいろいろ試行錯誤的で、やっている当人もよく分からないのだけども、その時代の気分がよく出ているものが現れる」との予言を残している。ううむ…、「文藝春秋」に代わる21世紀の「論争」か…? 「その時代の気分がよく出ているもの」か……。どんな雑誌だろう?

そのほか、大池氏の「丸山(真男)はリベラルではないですよ。マルクスですよ」「あの人はマルクス主義者ですよ」との指摘も。

さらに、粕谷氏が、大内兵衛の批判も展開。丸山が大内の『経済学』をいいと褒めるのに「愕然とした」と。久野同様、大内も「ある意味では非常に世渡りのうまい人で、法政大学の学長になって、厚生省に隠然たる勢力を持っていた。ただ、彼は全然本を書いたことがないんですよね。『経済学』というのは久しぶりに書いた彼の啓蒙的な本で、あと、『財政学大綱』というのを上下でやっと最後に出した」と。

「本当に大内兵衛というのは、僕に言わせればくだらない男ですよ」とも。まぁ,岩波新書から出ている彼の『社会主義はどういう現実か ソ連・中国旅日記』を読めば、この人、本当にバカだったというしかないだろう。こういう大内や久野を「良心的知識人」とみなしている人たちの知的水準はかなり酷いものがあろう。

ソ連のハンガリー「弾圧」も「介入」と言い換えられたり、「反革命」も「動乱」と言われたり……。共産主義に甘い風潮は…。映画「君の涙ドナウに流れ ハンガリー1956」を見れば、自由な選挙もない、従属国家で、大学生など若者たちが権力と戦うにはどういう覚悟が必要なのかがわかるだろうに。「シールズ」なんてお遊びでしかあるまい。

それはさておき、昨日は朝、英国バースペールエールビールを飲み、日中は、大池氏の本を拾い読みをし、夕方、外食に出かけついでに、近所のブックオフを覗くものの、買いたいものはなし。夜は、本を読みながら、BS朝日の討論会を「ながら」視聴。

「朝日新聞」提供にしては、比較的マトナな内容。井沢元彦氏や上念司氏も登場しているから。朝日新聞ではめったに登場することのない論客たち。もちろん、リベラル側ゲストには、ウンザリするような人もお見かけしたが、それでも議論はそこそこかみ合っていた。午後7時から11時までの放送。日頃は、平日の夜8時から10時まで、BSフジが討論番組をやっているので、それを見ることがたまにある。以前、若宮啓文と櫻井よしこ のお二人が議論しあっていたのを見たことがある。若宮さんは、大内や久野のお二人ほどはひどくはないだろうが、その系譜かな?とは思ったものだった、議論を聞いて。

ともあれ、上念氏には、 『テレビ局はなぜ「放送法」を守らないのか ―民主主義の意味を問う 』 (ベストセラーズ)という、小川 榮太郎 氏との共著もある。井沢氏は、朝日新聞を名指しして批判した本を何冊も出している。 『虚報の構造オオカミ少年の系譜 朝日ジャーナリズムに異議あり』 (小学館)など。
地上波と違って、衛星放送は自由闊達? 以前、ペマ・ギャルポさんがNHKBSに出て、中国問題についてコメントしていたのを見た時も驚いたことがあったが。日本は「言論の自由」がある、いい国だと思う。こういう討論番組を見て聞いて、どの論者の言い分がマトモかと思ったり、その人の本を読んでみようかと…いった対応をそれぞれの人が取ることによって、言論状況は深まっていくのだろう。

その意味でも、大池氏の著作は、重要な視点を与えてくれる。僕はこの本を買ったけど、図書館なんか、ちゃんと所蔵すべき本。ベストセラーを何十冊も買うお金があれば、その中の2~3冊程度で購入できるのだから。もっとも、図書館司書(や館長?)の中には、久野収みたいに「これは反共雑誌、反共の本だから駄目だって」ということで、購入せずと言ったり、購入してもすぐに「焚書」してしまう輩もいるかもしれない。千葉方面の図書館にそんな図書館関係者がいたっけ? 要注意!

ともあれ、ネバーセイネバー。あとは野となれ山となれ!
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