古本虫がさまよう 昭和33年当時、月収30万も稼いでいたリベラルな学者文化人といえば……?
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昭和33年当時、月収30万も稼いでいたリベラルな学者文化人といえば……?
(2016・12・19・月曜日)






昨日(日曜日)は東京周辺は暖かな冬の日だった。ということもあり(?)、また神田古書会館で、新宿展(日曜日~月曜日開催)が開催中なので覗きに行くことにした。土曜夜の忘年会、ちょっと飲みすぎたみたいで二日酔いの感じだったが……。

古書会館、そこそこ賑わっていた。山口仲美氏の『ちんちん千鳥のなく声は 日本人が聴いた鳥の声』 (大修館書店)をまずゲット。ううむ…。女性学者の書く本としては…。『ちんちん…』がちょっと気になるところ? 『ちんちんかいかい陳怪さん』という本もあったっけ?

ほかに買いたい本はないな…と思っていたら、 『主婦日記1958』というのを発見。山一證券制作の「日記」。パラパラと立ち読み。大体、日記というのは、元旦から一週間ぐらい書いていて、あとは空白ということが多い。いままで何冊か購入したことがあるが、この『主婦日記』も同様。

ただ、おやっ?と思ったのは……。山一證券作成ということもあってか、二日分で一ページだが、文章を書くスペースは半分。残り半分に「摘要」「収入金額」「支出金額」の欄があり、家計簿がわりにもなる日記。その金額が異様に高いのだ!

なにせ、1958年。昭和33年だ。源氏鶏太のサラリーマン小説だと、当時、新入社員の月給は15000円ぐらいの設定で書かれていたと記憶している。ところが、この日記の持ち主(主婦)、パパ(夫)の日々の収入を事細かく記しているが、NHKの原稿書きで1万円とか、東京新聞から21250円とか、ABCから92000円とか、河出から2076円とか、成人の日の講演謝礼が10200円とか、小学館から1万円とか、中山書店から2万円とか、ラジオ東京から5100円とか、中央公論から18500円とか、日本セメントから3375円(配当のようだ)とか、最高裁調査課より12000円とか、電通から11764円とか、景気のいい数字が数日おきぐらいに出てくるのだ。そして支出とて、12万円なんてあるのだが、それは「三井銀行預金」のための「支出」となっている。

1958年1月の「収入」だけで、30万弱もあるのだ。この当時の物価は、今から見て、十分の一以下とみていいのでは。日記の中に、新聞購読料の領収書が入っている。朝日、毎日、東京の三紙を取っていたようで、合計671円となっている。ただ、軽井沢の新聞販売店名義の発行。夏、別荘にいた時の購読料金なのかも。まるごと一カ月分ではないかもしれないが、一紙だと200円ちょっと。いま、新聞の月額購読料は3000円から4000円ちょっとぐらい。初任給が15000円だったとすると、いまは20万ぐらいか。やはり十分の一以下といえそう。ということは、いまだと月収300万以上稼いでいたということにもなろうか。

そして日記の文章では、三井銀行には家族合わせて400万円の定期預金があることになる…とも。ううむ……。どうやら、この奥さんの夫は、有名な学者で物書きのようだ。河出や小学館や中山書店などから印税が定期的に入っているのだろう。成人の日の講演に招かれたりNHKでも仕事をしているようだ。ほかにも岩波より『●●』(日記には書名あり)が9刷りになり、3000円とか…とも。
日記の「本文」は、2月以降はほぼ白紙だが、収入支出欄はマメに金額が1月から12月まで書かれている。いやはや、うらやましいほどの高収入家庭だったというしかない。12月15日は「某大学」よりボーナス10万円が支給もされている。

日記の中には、診断書や株主申込受付票(東京瓦斯862株)なども入っている。ということで、この日記の筆者はすぐに判明。そして、その夫の名前も判明した……。ううむ、なるほど、僕でも知っているリベラルな売れっ子の有名教授ならばそれだけ稼いでいたのも当然…と納得(清水幾太郎氏ではありません!!!)。

それにしても、個人情報の最たる「日記」が、古本屋や古本市で堂々と売られているのをどう評価したらよいものか。きっと本人が亡くなったりした時、遺族が本を処分した際、本棚にあった日記なども一緒に処分してしまい、それがこういう風に流通していくことになるのだろう。裕福な学者文化人の家計状況を知る上では貴重な資料といえようか? それにしても、僕が生まれる前に書かれた60年近く前の赤の他人の日記が、我が手元に届くとは……。不思議な縁ではあるが……。そしてまた僕が死ねば、この日記もどこかに旅立つのであろうか。日記の管理にはご注意を?

ともあれ、ネバーセイネバー。あとは野となれ山となれ!
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