古本虫がさまよう 平成の世に甦る「竹山道雄」は、思想家の「金メダリスト」だ 「司馬史観」を上回る「竹山史観」
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平成の世に甦る「竹山道雄」は、思想家の「金メダリスト」だ 「司馬史観」を上回る「竹山史観」
(2016・11・11・金曜日)





『ビルマの竪琴』 (新潮社)の著者である竹山道雄氏を知る人も少なくなっただろうか。辛うじて僕は謦咳に接したことがある。
ともあれ、 『竹山道雄セレクション Ⅰ 昭和の精神史』 (藤原書店)が刊行された。慶賀のいたり!

『昭和の精神史』は、新潮文庫や講談社学術文庫にも入っていたかと。藤原書店の本には、それ以外にもいろいろとエッセイなどが収録されている。 「ペンクラブの問題」は、パステルナークのノーベル文学賞受賞に対する日本ペンクラブの対応を批判した、来日中のアーサー・ケストラーの言動のことに触れている。一読正論! このころ、逆にケストラーの真摯な問いかけを、軽視したり批判したりしていた進歩的文化人たちが夏のゴキブリほどいたものだ(今も?)。

この前紹介した宮田昇氏の『小尾俊人の戦後 みすず書房出発の頃』 (みすず書房)の中に、小尾氏の日記(1951年)や「月刊みすず」の編集後記などが収録されているが、その中で、 「在日米人の奇矯なる日本趣味は御自由なれど、彼らの鼻持ちならぬ文人趣味と優越感にたいし、これまた劣等感の権化たちジャーナリストが阿諛根性まるだしの万歳。国際的ゴロツキ・ケストラーにしてやられ、何トカ基金のヒモツキで風見鶏を仰付けられている雲助の見分けもつかぬとは、何とお人好しの国であろう!」(1959年9月)と書かれているのには、いささか興ざめ。差別語のオンパレード。土人なみ?

ここで小尾氏が批判しているケストラーとは、アーサー・ケストラーのことであろう。1959年(昭和34年)に来日した際、日本ペンクラブに対する声明で物議をかもしたことがあったかと(この時、ケストラーの通訳をしたのは、たしか高坂正堯さん)。それは、パステルナークの『ドクトル・ジバゴ』 (時事通信社ほか)のノーベル賞受賞にまつわるソ連の嫌がらせに対して、きちんとした態度を示さない日本国内作家たちの「容共リベラル」的対応への批判であり、ケストラーの批判はもっともなことと僕は感じている。
そのあたりの経緯は、石原萠記氏の『戦後日本知識人の発言軌跡』『続・戦後日本知識人の発言軌跡 』 (自由社)に出ていたかと。石原氏はケストラー擁護派だった。「何トカ基金」関係もあったかと? その点で、小尾氏と石原氏とは対比列伝も可能かもしれないけど、 『石原萠記の戦後 自由社出発の頃』なる作品もあってもいいかもしれない? もっとも、石原氏は「反共リベラル」の立場に近い。日本の天皇制度にも一線を引いての立場かと。保守主義者ではなさそう。小尾氏と共通する土壌もあるかもしれない。

ともあれ、小尾氏がそういう知的態度だったから、アーサー・ケストラー の『 ケストラー自伝 目に見えぬ文字』 ( 彩流社、1993 )が、みすず書房から刊行されることはなかった? でも、レイモン・アロンの自叙伝、『レーモン・アロン回想録1&2』 (みすず書房)は訳出されているから感謝? 退社後であろうが、トニー・ジャットの本もみすずから出ている。

それはともかく、秦郁彦氏が解説(「竹山史観」の先駆性)を書いている。ううむ「東京裁判史観」をいち早く批判した「竹山史観」は「司馬史観」や「半藤史観」よりも立派かもしれない? 秦氏は、竹山さんの授業を聴いたこともあるそうな。牛村圭氏も一文(「竹山道雄にめぐり会えて」)を寄せている。

私淑であれ、謦咳に接してであれ、活字を通してであれ、尊敬できる物書きと出会えること喜ばしいことだと思う。僕にとって、竹山道雄さんは、そんな物書きの一人だ(ほかにも数人いる)。

ジキルとハイドではないが、「ハイド氏の裁判」というエッセイも藤原書店版には収録されている。

あぁ、仕事を離れて、こういう重厚長大本(570頁以上・値段4800円・税抜き)を一冊もって、汽車に乗って数日温泉宿にでも出かけるというのもいいものではないか。この本一冊あれば、かなりの時間を潰せるだろう。読み終えたら、再読するのもいい。『昭和の精神史』は何度となく再読した数少ない本だ。

しかし、現実は厳しい? 通勤電車でこの嵩張る本を読むのは物理的に困難だ。

とりあえずは、ジキル本は置いて、読みかけだったハイド本、草凪優氏の『人妻、預かります』 (双葉文庫)はすでに読了ずみ。ハッピーエンド(?)でなにより。引き続き、葉月奏太氏の『奥様は金メダル』 (双葉文庫)を読了。
カバーがイマイチの双葉文庫にしては、岐阜好き、いや義父好きの東凛さんのセミヌードを起用している点は評価できる?

内容紹介→大学卒業後、流されるままに実家の酒屋で働く田代聖一郎は、地元商店街の夏の一大イベント「浅羽サンバカーニバル」にも無関心。だが、配達先で待ち受けていたパン屋の美人妻、美登里から思わぬことを告げられる。「あなたを第18回人妻五輪の審判員に任命します」――実はサンバカーニバルの裏で4年に一度、商店街№1の金メダル奥様を選ぶ秘密イベントが開かれていたのだ。童貞の聖一郎は人妻たちの濃厚な性技を体を張って「ジャッジ」していく!長編書き下ろし。

いやはや、本当にバカバカしいストーリー展開なのだが、こんなことがあったら楽しいなとは思わせてくれる。童貞でないと審判員にはなれないというのもミソ。金メダルを取るためには、手段を選ばないということで、人妻の中には「違法ドラッグ」を使ってでも…(?)。そんなドーピング検査など、パロディも出てくる。「パイズリ早イカセ」競技などもある。ううむ……。4人の人妻相手に、そういうことができるとは……。

ともあれ、ネバーセイネバー。あとは野となれ山となれ!
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