古本虫がさまよう 「右傾エンタメ」の何処が悪いのか?
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「右傾エンタメ」の何処が悪いのか?
(2016・10・17・火曜日)





2013年の「本屋大賞」を受賞していた、百田尚樹氏の『海賊とよばれた男(上)』  (講談社文庫)を読んだ(下巻は読み進めているところ)。12月に映画化されるとのこと。どこかの街角で、映画ポスターも見かけた。ということもあって、手にした次第。

ちょうどいま合併するかしないかで、話題になっている出光興産創業者の出光佐三がモデル。小説では、国岡商店の国岡鐡造として描かれている。敗戦によって、海外にあった「支店」が全滅。石油を取り扱うこともできなくなり、四苦八苦の状況にもかかわらず、社員をクビにすることなく、ラジオ修理やらなんでもやって、糊口をしのぐ。そのうちに……といったストーリー。

昨今の東京都庁の都議会界隈に潜む(?)タカリの輩のような、競争が嫌いな官僚やらと同様の無責任な構図が、戦前、戦中、戦後の石油業界にも蠢いていたようだ。そういう対立の中で、時にはGHQ・占領軍が良識を発揮して、国岡を手助けることもある。上巻は主に、彼が志を抱いて「石油」に手を染めていく戦前、戦中の活躍が描かれている。GHQなども内部にいろいろな対立があり、時には日本がストロングであってもいいと考え、時には日本を徹底的に足腰たたないようにしてやろうと考えたりもする。

『永遠の0』 (講談社文庫)は面白く(しかし涙と共に)読める娯楽戦争小説であったが、それと同様、楽しく読める娯楽経済小説だ。「現代史」を知る上でも、手頃な入門書ともなりうるではなか。この作品も「右傾エンタメ」なのか? そういうふうに貶める人たちがいるとしたら、発想が貧困なのだろう。こういう小説に「事実」も書かれていることに腹立たしくなるのかもしれない。
エロエンタメも、右傾エンタメも左傾エンタメもあっていいではないか。

いまは亡き五味川純平氏の小説『人間の條件』『戦争と人間』 (三一新書)なども、いまにして思えば「左傾エンタメ」だったのでは? 大ベストセラーになったのだから、筆力もあったのだろう。
ただ、あの人のエッセイ本『怒り、八つ当たり』 (三一新書)は、かなり昔に一読し、その共産圏に甘い認識には唖然呆然とした記憶だけが残っている。その点、百田氏の『大放言』 (新潮新書)はナイスブックでした。百田氏の次回作は『国士と呼ばれた男』などがいいのではないか? 国士といえば……。内田良平とか、勝野金政とか、岸信介とか……。

ともあれ、ネバーセイネバー。あとは野となれ山となれ!
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