古本虫がさまよう 大澤正道さんの回想録が出るらしい?
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大澤正道さんの回想録が出るらしい?
(2016・9・27・火曜日)





村元武氏の『プレイガイドジャーナルへの道 大阪労音-フォークリポート-プレイガイドジャーナル』 (東方出版)を読んだ。

内容紹介→1971年大阪で創刊された情報誌のさきがけ月刊「プレイガイドジャーナル」。その誕生に至る前後6年間の激動を創刊編集長が初めて明かすドキュメント。70年代関西の若者文化をリードした「プレイガイドジャーナル」はいかにして創刊されたのか。「第3部 大阪労音での最後の2年間」は、この間の大阪労音の混乱について書かれたものがなく、貴重な記録となっている。
著者について→1943年生まれ。1964~1969年大阪勤労者音楽評議会(大阪労音)事務局、1969年~1971年アート音楽出版、1971年~1985年プレイガイドジャーナル社、1985年~ビレッジプレス。この間に、「新音楽」「フォークリポート」「プレイガイドジャーナル」「雲遊天下」の編集や、単行本、CD、コンサート、海外旅行などのプロデュースに携わった。

『プレイガイドジャーナル』は、1971年から1987年まで、日本の大阪で刊行された、関西圏の情報誌、及び、その雑誌を刊行していた出版社(プレイガイドジャーナル社)である。通称「プガジャ」。また、末期は雑誌名自身が『ぷがじゃ』となった。「日本で最初の情報誌」と言われ、その独特の誌面や主催イベントなどは、1970年代 - 1980年代の関西のサブカルチャーに大きな影響を与えた。



『プレイガイドジャーナル』って、てっきり、いしいひさいち氏の『バイトくん』が連載された雑誌かと思ったのだが、それは関西(近畿地方)のアルバイト情報誌『日刊アルバイト情報』(情報センター刊)だったか? とはいえ、単行本はプレイガイドジャーナル社から刊行されていたかと?

もう記憶が薄れているが……。ともあれ、その雑誌の初代編集長による回想録。とはいえ、その雑誌本体を手にしたことがないので、読んでいても、どうも頭にピンとこない。「ぴあ」や「少年ジャンプ」や「少年マガジン」などの雑誌編集長などによる回顧録などは、リアルタイムでそれぞれの雑誌を手にしているからピンとくるのだが。「労音」などにも関与していて、共産党がらみのいろんなハプニングもあったそうな。

その点では、似た感じの回想録がある。以前紹介したのを再録的に。

(以下再録)
小林祥一郎と大沢正道と長島陽子と山本夏彦とに共通する「死ぬまでの編集者気分・魂」とは?
2012/05/07(月) 05:13:51


1928年生まれの小林祥一郎氏の『死ぬまで編集者気分 新日本文学会・平凡社・マイクロソフト』 (新宿書房)を読んだ。新日本文学会は共産党系団体で『新日本文学』の発行元。マイクロソフトではデジタル百科事典云々などで参画し、あの成毛真氏との接点もあったようだ。

名古屋大学で水田洋ゼミだったとのこと。学生時代は、あのソ連製(!)のストックホルム反核アピールにも賛同もし署名活動もしていたというから、著者の「出身母体」はいうまでもない? 共産党党員→除名のコースを辿っている。

当時の日共内の国際派、所感派の対立が新日本文学会にも及び、宮本顕治・大西巨人との論争などもあり、花田清輝編集長が中西重治に代わったりした騒動なども詳述されている。
そのあたりのことにはあまり関心がないが(どっちもどっちだし?)、そういうこともあって、小林氏は新日本文学会をやめて1954年に平凡社に入社する。
その平凡社を1985年に退社し、その後子会社やフリー編集者などをへて、マイクロソフト電子百科事典の編集顧問をやったりもした。
そういう編集者「放浪」生活を詳述した回顧録であるが、メインは平凡社である(だが、在社中に新日本文学の編集長や執筆など、二足の草鞋を履いたりもしている)。入社に関してはコネがあるようなないような状況であったが、学科試験をちゃんと受けての採用。平凡社といえば百科事典のイメージが強い。我が家でも子供のころ、平凡社の『世界大百科事典』があっただろうか? 別の社のものであっただろうか? 思い出せないが(まだ実家にあるかも?)、中学生のころ、そうした事典を手にして、ここに書いてあることをすべて記憶認識しなくては…と思って、「あ」から読み始めたものの、すぐに断念したものだった。

山本夏彦氏の『ダメの人』 (文藝春秋)に「木口小平」なるエッセイがあって、平凡社の『世界大百科事典』では昭和31年初版、昭和34年初版第5刷には彼が出てこないとの指摘がしてあったのを学生時代に知り、ううむ、なるほどと思ったことがあった。
その前の版には「木口小平」は出ていたとのこと。軍国主義の象徴のようなこんな人物は、相応しくないということで削除されたのではないかと山本氏はみていた。さらに「教育勅語」や「軍人勅諭」は、出てくるものの、「この勅語がいかに教育を毒したか、いかに天皇制国家の精神的支柱であったか、いかに自然法思想、基本的人権思想を欠いたものであったか――というようなことが書いてあって、ついに勅語そのもののテキストが出てないのである」「肝腎なテキストなしで意見を述べられても読者は抵抗できない」「一夜にして変る意見は、再び三たび変る恐れがある。後世が必要とするのはテキストである。事典をひらいて、その項目がありながら、原文がなくてその悪口があるなら、その編集方針は疑われても仕方がない」と。
おっしゃる通り!

小林氏は1954年(昭和29年)に平凡社に入り、すぐにこの『世界大百科事典』編集部に配属されている。当初は芸能・遊戯・雑部門を担当、やがて人類学・民俗学・神話も担当したとなっている。だが、後年知ったであろう、山本夏彦氏の事典批判に関しては、本書では特に反論もなにもなく、事典製作にあたっての苦労話が中心である。自分自身はむろんのこと(?)同僚の中には、除名されていない正式党員やコミニュストもやはりいたようで、そういう人が編纂・校正すると、「テキスト」無視の批判オンリーの片寄った内容の百科事典になるのも無理はないのかもしれない。

小林氏はやがて『太陽』の編集長にもなる。編集後記でベトナム戦争における米軍の毒ガス作戦をやんわり批判したところ、営業や広告から問題にもされたことがあったという。それはともかく、『太陽』は創刊当時横書き雑誌だったとのこと。それは知らなかった。古本屋でよく見かける雑誌だから、今度見てみようかと?

入社してからも安保反対闘争などに参画したりもするし、新日本文学会にも関与したりもする。書籍編集者としてさまざまな学者との交流なども描かれている。平凡社の経営悪化、銀行資本の介入、女性誌「フリー」の創刊・休刊の経緯など、著者自身の体験が淡々と綴られている。そのあたりはそれなりに面白く拝読。
以前、80年代初期のころ、麹町あたりを歩いていて、平凡社の本社らしき建物を見た記憶がある。こんなところにあるんだと(その後、碑文谷あたりに引っ越し? 今は…)。平凡社の本は、それなりに手にしていた。
小林氏の本では出てこないが『オーウェル著作集』などもあったし、回想録など、いろいろと「良書」を刊行してきたのはいうまでもないだろう。

平凡社の「挫折」に関しては、すでに1927年生まれで1952年(昭和27年)平凡社入社の大沢正道(大澤正道)氏(大原緑峯氏名義)の『平凡社における失敗の研究』『平凡社における人間の研究』 (ぱる出版)という本が、1987年~88年に刊行されている。

小林氏が、大沢氏の本で自分が批判されていることへの反論を若干してあったので、再読してみた。たしかに大沢氏が、名指しやらイニシャルで小林氏を批判している箇所があった。「K氏問題のお粗末なてんまつ」(失敗の研究)などがそれである。
日本軍の信賞必罰を無視した恩情人事と同じことを平凡社が小林氏に対して行なったとの批判である。ううむ、このあたり、元日共党員小林氏とアナーキスト大沢氏との対立も遠因としてあるのかも? 一読者としては、双方の書を読み比べるしかないのだが……。
大沢氏は、その後も活発な言論を展開しており、 『くたばれ!朝日新聞 国民を欺く卑怯なメディア』 (日新報道)や『戦後が戦後でなくなるとき』 (中央公論新社)、 『忘れられぬ人々』 (論創社)などは大変面白く読んだ。アナーキズムはコミュニズムよりは評価できるなと思うのも、大沢正道氏が存在するからでもあるのだが。


ともあれ、特異な体験をした編集者回想録としては、それなりに面白く一読にあたいする本といえよう。大沢氏の本も面白かった。
また、すでに紹介済みだが、安保反対闘争に参加し、チベット弾圧をしていた中共にもあこがれていた元岩波書店社員の長島陽子さんの『中国に夢を紡いだ日々 さらば「日中友好」』 (論創社)も貴重。彼女の場合は、コペルニクス的転回(?)をして、反共リベラル派となり、若い時の左翼礼賛の己の思想的立場を真摯に悔悟もしている点が高く評価もできる。
そういえば、山本夏彦氏も『室内』編集長であり、編集者であった。そのエッセイの数々もかつて読破したものの、しばらくは遠ざかっている。ワックが何冊か復刊もしていたが。



それはさておき、某左派系出版社から大澤正道氏の回顧録が刊行される予定があるとか。これは必読の一冊ではないか? 大澤氏には『忘れられぬ人々』 (論創社)のような回想録もすでにあるが……。

ともあれ、ネバーセイネバー。あとは野となれ山となれ!
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