古本虫がさまよう FBI長官フーバーより凄い「長官」がペンタゴンにはいた?
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FBI長官フーバーより凄い「長官」がペンタゴンにはいた?
(2016・9・7・水曜日)





先週末だったか、金曜日ぐらいに一週間先の天気予想をテレビで見た。うろ覚えだが、来週(つまり今週一週間)は、東京周辺はずっと曇り空で晴れ間が(「あまり」・「ほとんど」と言ったかと?)見えないような天気になるとのことだった。「晴れ」がない分、最高気温もそんなに高くならずに30度ぐらいかと。
しかし、まだ今週は「前半」だが、よく晴れていますね? 気象庁長官以下職員以下気象「予想」士の皆様よ? そして、そこそこ暑い。33度ならばそうだろう。
月曜、火曜と朝からおおむね「晴天」では? ところによっては雷雨などもあったようだが……。それにしても、来週(今週)は晴れ間が(ほとんど)見られない云々の「大予言」はノストラダムスもびっくりするような大ハズレ? もういい加減にしてほしい? 競争原理がはたらかず、独占的に気象「予想」を垂れ流す以上、こういう「誤報」「虚報」(?)、予想ハズレは永遠に続くことだろう。
その日の天気も当てられないことがしばしばなのに、一週間「予想」なんてよく出すものだ。小学生たちよ、夏休みの研究は、「気象庁の一週間予想はなぜ当たらないか」にすれば、楽ちんだよ。少なくとも、「気象予報士」という名称は廃止し、より正確な、「競馬予想屋」と同じレベルであるという事実を再確認するためにも、「気象予想士」という名称に変更すべきだろう(「気象予想屋」はさすがに拙いかな?)。僕が国会議員なら、法律改正をして、それを実現するのになぁ?

ともあれ、アンドリュー・クレピネヴィッチ&バリー・ワッツの『帝国の参謀 アンドリュー・マーシャルと米国の軍事戦略』 (日経BP社)を読んだ。

内容紹介→「軍務に就いたことは一度もないのだが、マーシャルはまさに『冷戦の戦士』だった。戦略家として、国防に携わる政府高官の助言者としてのキャリアは、米ソが対立した冷戦時代から中国の台頭、イスラム過激派の出現にいたる長期に及ぶ。 2015年に公職を退いたときには、冷戦を経験した世代の最後の1人だった。」(日本語版への序文) アンドリュー・マーシャルは「ペンタゴン(米国防総省)のヨーダ」と呼ばれた稀代の戦略家。ペンタゴンの総合評価室 (ONA)を率いて、40年以上にわたって対ソ戦略から今日の対アジア、対中戦略をデザインしてきた。マーシャルの 軌跡を通して米国の世界戦略の変遷を描いた。

ネットアセスメント、「軍事における革命」アジア太平洋シフトのスーパー軍師の実像とは?そのコスト強要戦略で旧ソ連を崩壊に導き、「ペンタゴンのヨーダ」と呼ばれた男。93歳で退任するまで40年以上にわたり、国防長官に仕えた天才軍事戦略家の評伝。



マーシャルと聞くと、ついついマーシャル・プランの「マーシャル」を想起するけど、もちろん、まったくの別人。世代も異なる。とはいえ、かなりの高齢。1921年生まれというから、90代まではたらいていたことになるのか? アメリカは定年がないんだっけ?

デトロイトで生まれた時から話が始まるが、シカゴ大学で学んだり、ランド研究所でハーマー・カーンなどと共に研鑽を積んだりしながら、初代国防総省総合評価局局長となり、その地位をずっと務めて官僚としての生涯をまっとうしたようだ(まだ存命中)。「初代」と聞くと、初代内閣安全保障室長の佐々淳行さんを想起するけど、「ミスター危機管理」同様、「ミスターネットアセスメント」といったところか? 日本は「定年」が厳然としてある。官僚の世界も。しかし「定年延長」で、佐々さんのような人が「初代内閣安全保障室長」を定年を超えてもずっと80歳ぐらいまでやり続けていたら、そして内閣が代わってもやり続けていたら、日本の国政もちょっと変わっていたかもしれない。マーシャルも、共和党、民主党区別なく要職を務めあげたようだから。

40年近く同一のポストを占め続けたというのは、FBI長官を長期間務めたフーバーを想起もさせるではないか? フーバーもまた司法省捜査局局長こと初代FBI長官。1924年から1972年に死ぬまで長官(正確には「局長」?)だったというから凄い。フーバーに関する本は多々出ているが、最近だとティム・ワイナーの『FBI秘録 その誕生から今日まで 上下』 (文藝春秋)が手頃かとも。

ともあれ、マーシャルの専門というか、職務である「総合評価局」こと「ネットアセスメント」とは何か?

ウィキペディア的には、マーシャルの考えるネットアセスメントとは以下のことを意味しているという。

戦車の数、原子力潜水艦の数、核弾頭の数などをいちいち数え上げて機械的に比較する「ビーンカウンティング」の手法では、ソビエト連邦との差を比較評価できないと主張した[2]。そのうえで、戦車の数の比較だけではなく、軍隊の士気、将校と兵卒との関係性、通信系統の効率性、通信系統を支える技術力などといった要素も勘案して総合的に比較評価する「ネットアセスメント」の手法を導入した[2]。冷戦後は、中華人民共和国に対する研究にも積極的に取り組んでいる。公開されている情報が少ないことから「うーん、中国は分からん」[3]とこぼしながらも、人口動態、水の需給、世論の変化、さらには、中国の歴代王朝の行動なども調査し、それらを勘案して分析を試みている[3]。

東西冷戦下の80年代、核も通常戦力もソ連が西欧を上回っていると考えられていたときに、そういう「ネットアセスメント」の視点からソ連の総合力・軍事力を分析し、ソ連の経済力はいわれているほど大きくはなく、その軍事負担はかなりの重荷になっており、通常戦力でも決して西欧は弱くないと見ていたという。CIAが、ソ連の経済力を過大に見ていたのは間違っているとの指摘もしていたそうな。

「レーガン時代のアメリカの軍備増強が一九九一年のソ連崩壊を招いたと主張するのは言いすぎだが、マーシャルは八〇年代後半には、私的な場では、ソ連経済は「連邦破産法代1章」適用寸前に見えると語っていた。ソ連の国防負担を正確に推定するというマーシャルの試みは、ONAの特権とマーシャル自身の在任機関の長さによって実現した。マーシャルは、目の前の喫緊の課題の先を見据え、冷戦の最後の一〇年にアメリカの戦略にきわめて重要な貢献を行うことができたのである」

キッシンジャーよりマーシャルの分析のほうが的確だったともいえようか。そして、今、中国の野蛮な威嚇政策が問題になっているが、ソ連同様、本当の「国防費」の実態が分からない。経済力も、その発表される経済数字がどこまで本当かが怪しいといわれている。

この前紹介した CIAのエージェントとなったロシア人スパイの生涯を追ったデイヴィッド・ホフマンの『最高機密エージェント CIAモスクワ諜報戦』 (原書房)に出てくるトルカチョフも、ソ連の国防費の実際額を突き止めるようなことはできなかった。もし、トルカチョフがソ連の国防費の正確な額、その内訳を明らかにする機密情報を入手してCIAに渡し、それがアメリカ政府、ひいてはマーシャルにもたらされていれば、マーシャルは、「信じられない、どうやって手に入れたんだ? なんとかしてもっと手に入れてくれ!」とCIAに怒鳴ったのではないか? いや、跪いて哀願したかもしれない?

中共のみかけの経済力や軍事力にばかり幻惑されることなく、「民族対立」の実態や、士気の動向や海外観光などを通じて増大する海外諸国への認識力の高まり等々が、近い将来の中国共産党独裁体制にどのような作用するか、環境アセスメントならぬネットアセスメント、政治アセスメントを十分科学的にやっておく必要があるだろう。そういう手法の提唱者としてのマーシャルの視点、実績を知る上で、本書は役立つ本だった。

関連書として、マーシャルから知的影響を受けたというフリードバーグの『支配への競争 米中対立の構図とアジアの将来』 (日本評論社)、 『アメリカの対中軍事戦略 エアシー・バトルの先にあるもの』 (芙蓉書房)という本もあるそうな。読んでみたくなる。

またランド研究所(ランドコーポレーション)に関しては、以前紹介ずみだが、アレックス・アベラの『ランド 世界を支配した研究所』 (文春文庫)がある。おもしろい本だった。マーシャルのことも出てきてたっけ? それは記憶には残っていないが。

ともあれ、ネバーセイネバー。あとは野となれ山となれ!

以下ランドに関する本の再録。

考えられないことを考える(想定外)研究所・ランドの攻防
2011/08/01(月) 06:58:06
 アレックス・アベラの『ランド 世界を支配した研究所』 (文春文庫)を読了。アメリカにあって日本にないものというと、ランドやヘリテージなどの「シンクタンク」だろうか? 研究所というのは日本でも大学や銀行証券などの付属機関として〇〇研究所という名称で一応存在もしているが、その規模や政治・政策実現への影響力を考えるとやはり「ない」というしかないかという読後感が残る一冊だった。

 1946年に発足したランドコーポレーションというのは、レーガン政権時代の頃からよく聞いていたが、「ランド」が「リサーチ&ディベェロフメント」(研究と開発)から由来しているとか、サンタモニカにあるということは知らなかった。ベトナム戦争当時、国防総省の機密資料をランドの金庫から盗み出して告発したエルスバーグもランドの研究員だったとのこと。

  本書には、さまざまなランドの関係者が登場してくるが、アルバート・ウォルステッターなる核戦略家を中心に描かれている。この名前も知らなかった。ハーマン・カーンは日本でも翻訳書(『考えられないことを考える 現代文明と核戦争の可能性』ぺりかん社)が出て知られていたが、彼もランド出身。後にランドを出てバドソン研究所をつくっていたようだが。

   アルバートは元トロツキストでネオコンとのこと。ソ連に対する強烈な批判精神を有していて、ポール・ウォルフォウィッツやリチャード・パールなどとの興味深い「ネオコンの輪」的な交流も描かれている。

   ランドは、ソ連との核ミサイルギャップ論争、核戦争への対応など、さまざまな難問への解決策を提示したりする。とりわけレーガン政権時代におけるランドの活躍は画期的だったともいえようか。
一応ランドの許可を得て、内部資料への接触や関係者へのインタビューなども可能になった背景もあるが、著者は客観的にランドの歴史を綴っている。米ソ戦後攻防史の流れを知る上で大変参考になる本だった。


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