古本虫がさまよう 「民主社会主義者」のサンダースは、アウトサイダーだけどナイスガイ?
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「民主社会主義者」のサンダースは、アウトサイダーだけどナイスガイ?
(2016・8・28・日曜日)






バーニー・サンダースの『バーニー・サンダース自伝』 (大月書店)を読んだ。

昔(1997年)出した本(『アメリカ下院のはぐれ者・アウトサイダー・イン・ザ・ハウス』に若干の加筆(「まえがき」と「解説」)をしてまとめたもの。市長選挙、下院選挙を無所属の民主的社会主義者として、共和党&民主党と、いかにして闘ったか。とりわけ議員になってから、共和党に妥協をするクリントン大統領、民主党主流派やギングリッチ保守派共和党の攻勢をいかに跳ね返していったか。そのあたりの筆致が面白い本だった。

しかし、下院議員までの話のみで、そのあと上院議員になった経緯やオバマ大統領時代や、今回の民主党党員となってクリントン(夫人)と大統領予備選を戦った話は、本人の弁では出て来ない。「解説」で出てくる程度なのが物足りなかったが。

彼が「右翼」として毛嫌いするギングリッチなども、経済政策に関しては、ポール・クルーグマン・ジョージ・パパンドレウ&ニュート・ギングリッチ・アーサー・ラッファーの『金持ちは税率70%でもいいVSみんな10%課税がいい―1時間でわかる格差社会の増税論』 (東洋経済新報社)なんて本も出している。この本は積んどくか? いや読破した記憶があるが。
サンダースも何度も金持ちからもっと税金を取るべきだと主張している。そういったサンダースの格差是正論が、正しいかどうかは別問題。そのあたりは議論もあるだろうが、民主的社会主義者としては国際水準から見て、かなりの「左派」にはなるだろう。だが、アメリカ国内の保守的な民主党勢力を批判しつつも、法案によっては、意外と共和党保守派と「共同歩調」を取ることもあったようだ。そのあたりの経緯も書かれている。

解説にも出てくるが、「サンダース下院議員は、ノースカロライナ州選出のウォルター・ジョーンズ下院議員のような共和党保守派と、貿易政策、対外投資、アメリカ軍のイラク撤退工程表策定といった多様な問題でよく共闘した」とのこと。「敵の敵は味方」ということも世の中にはよくある。
そういえば、TPPに関しては、サンダースもトランプも同じく反対ではないか。アメリカ大企業が安い賃金を求めて中国などに進出することによって、国内の工場が閉鎖され、雇用が減り、失業する労働者への支援も呼びかけている。ある意味で、「アメリカファースト」の主張もしている。

ベトナム戦争や湾岸戦争やイラク戦争など、アメリカ軍派兵には一貫して反対しているサンダースだが、「私は不戦主義者ではない。恐ろしい体制のもとで、他にとりうる手段があっても、戦争が正当な場合はあると信じている」とも語っている。このあたり、戦争は絶対反対と叫ぶ単細胞型平和運動屋(空想的平和主義者)とは一線を画しているといえようか。

僕は北朝鮮などを含めて、愚鈍系独裁者が武力をもって他国を威嚇するのは嫌いだから、そういう勢力を民主主義的手法(経済制裁など)で締めつけ打倒することには賛成する。ベトナム戦争とて、やはり国際共産主義勢力の拡大阻止の上で、やむをえない戦争であったと見ることも可能だろう。もちろん、実際に戦場に行くことになるアメリカ人たちが、反対運動をしたくなるのも無理はないことではあっただろうと思う。
そのあたりは、日本で、反戦、ベトナム戦争反対と叫んだり、ベトナム戦争賛成と主張するのとは次元の異なる真剣さがアメリカにはあったことだろう。

それはさておき、国防費の不正な支出に関しても、「おもしろい左右連携をつくりだした」「下院議員クリス・スミスは、保守的な共和党員であり、私はほんの少ししか面識がなかった。彼は妊娠中絶の権利に反対する主な議員としてよく知られている。しかし、ロッキード・マーティンは彼の選挙区の工場を閉鎖し、そこには三千人の労働者が雇われていた。スミスは、この閉鎖はペンタゴンの資金援助によって進められたと確信していた。私がこの解雇促進プログラムを終わらせる修正案を提出すると、スミスは支持してくれた」と。

中絶問題でも、サンダースはその権利擁護を主張している。同性愛問題でも。

普通の日本人としては、まぁ、中絶などに関しては、強姦などそういう妊娠は当然、中絶の対象にしていいと思うが、アメリカの保守派は、中絶でも産むべきという人が少なくないようだ。そのあたりはキリスト教的信念の故なのか理解できないが…。もっとも、事前診察でダウン症の子供が生まれると分かっても、そういう人は中絶をしないというから、それはそれで首尾一貫していて立派な考え? 尊重はできる。でも、中絶する医者を襲ったりするのは行き過ぎ?
通常の夫婦関係がありながら中絶するという手合いには、まぁ、なるべく医療保険を適用しないとか、嫌がらせではないが、経済的負担をそういう中絶夫婦に強要するのは、そんなに間違ったことではないような気もするのだが(個々人の「快楽」の結果を、「税金」使ってまで安易に処理するのは税金の無駄遣いでは?)。
「中絶天国」と言われる日本にいると、そういう中絶を減らすだけでも、人口増加につながるのではないかと思うのだが。まぁ、中絶は、貧困、保育園が少ないからだとか言い出す人もいるのだろう。

外国人旅行客が増えてきたからホテル不足になるので、これからは「民泊」だとか騒いだりしているけど、そんなことするより、ラブホを適宜「改造」するなり、ユニークな日本文化施設として外国人観光客(新婚客?)に「推進」することをすれば、部屋不足もすぐに解消するのではないか。ラブホを「格下」に見て考えるお役所仕事からは、そういう発想が浮かばないのかもしれないが、放っていても、民間のラブホ業界が、「草食化」している層以外の「需要先」として追求するようになるだろう。むしろお役所が考えるべき対策は、ラブホへの「規制緩和」ではないか。一般の住民の施設より、ラブホのほうがはるかに宿泊専用施設として効率的ではないか。JR同様、アタマが硬いと、つまらぬ民泊対策などに時間と金を費やすのだろうが。僕がサンダースのような議員なら、国会で、ラブホの有効活用によって、外国人宿泊不足問題を解消するように質問するだろうに?

ともあれ、サンダースは共産主義者ではなく、「容共リベラル」でもなく、最左派の民主的社会主義者なのだろう。この本の原題は「アウトサイダー・イン・ザ・ホワイトハウス」。「アウトサイダー」は「はぐれ者」ということだが、まぁ、英国では、こういう感じの人(?)コービンが英国労働党党首になった(その地位の継続は危ぶまれているが)。サンダースとてあと一歩で,少なくとも民主党の大統領候補者になったかもしれない。

民主主義のいいところは、こういうことが「投票」によって表現(実現?)できることだ。共産圏や独裁国家ではありえないことだ。だから、民主主義に絶望することなく、信念をもって、明日の多数派になりうるということを信じて一歩一歩改革していくことが肝要だろう。

僕はレーガンも好きだったし、サッチャーも支持していた。サンダースはレーガンもギングリッチも嫌いなようだが、それはさておき、労組が尊大だった時代には、アンチ労組の視点での改革が必要だった。今は? 事情変更の原則というか、国際情勢、国内情勢の変更により、政策の比重は常に「修正」主義的に変更されるもの。

僕のような「つむじ曲がり」的な人間は、アメリカの政界だと、立ち位置が微妙かもしれない。ネオコンが一番近いような気もするが、内政に関しては民主社会主義も悪くはない? 中絶に関しては、独身、未成年、強姦の場合、容認することもありうるとの立場。しかし、既婚者などの中絶は容認するとしても医療保険などの適用外にすべき…と考えるし。

昨日買ったばかりの久野収の『久野収対話集・戦後の渦の中で1 新しい市民戦線』 (人文書院)をめくっていたら、「改革者」編集部が聞き手となった彼の「感動的説得力の乏しい民社運動――民主社会主義を批判する」というコメントがあった。1965年8月号に掲載されたようだ。民主社会主義とは、民主主義と社会主義のいいところ取りを目指す折衷主義だとして、「思想内容としては非常にいいものです」「これの最大の欠点は、創造力に乏しい」「現実のダイナミックスの中では、まかり間違えば非生産的になって、絶えずいろいろあるものの中からいいものを抽象してきて、つじつまを合わせるような態度になりかねない。ぼくなんかが民主社会主義について感じる不満はそれですね」と。

久野さんにしては「正論」?

ともあれ、ネバーセイネバー。あとは野となれ山となれ!
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