古本虫がさまよう 官僚主義丸出しの「中央区立図書館」へのお願い?
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官僚主義丸出しの「中央区立図書館」へのお願い?
(2016・8・27・土曜日)




中央区立図書館のホームページを見ていたら、こんな告知があった。

下記の本は現在、予約が集中しているため提供までにかなりの時間を要する状況が続いています。
もし、読み終えてご不要になった本がございましたら、図書館への寄贈をご検討ください。
 寄贈いただける場合は、お手数ですが、中央区内の図書館にお持ちください。
 なお、寄贈いただいた本の返却については応じておりません。
また、汚損・破損・書き込みなどのあるものは、寄贈をお断りする場合がありますので、ご了承ください。

書名 著者名 出版社
火花 又吉直樹 著 文藝春秋
羊と鋼の森 宮下奈都 著 文藝春秋
人魚の眠る家 東野圭吾 著 幻冬舎



さきほどチェックすると、この図書館、『火花』は20冊所蔵し、予約は607件。『羊と~』は15冊購入し、388人予約。『人魚の~』も15冊購入し289件予約あり――となっている。いずれも2015年の刊行。図書館の「新刊寄贈願いやめて。作家を殺すな」という叫びをあげている万城目学さんの記事は以前紹介した(下記再録)。こういう声も中央区立図書館には届いていないようだ。

また、本欄でもしばしば指摘しているが、戦前の本ならともかく、昭和40年以前刊行の本は一切館外貸出はしない、分館への移送もしてやらない、本館まで来たら見せてやるぞ――といった信じられない居丈高な姿勢を取っていることに関して、改善するような要望しているけど、聞く耳を持たないようだ。
例えば、僕はもっているけど、フランク・モラエスの『チベットの反乱』 (時事新書)は1960年の刊行。この本、都内では新宿区立図書館と中央区立図書館が所蔵している。新宿区立図書館は「貸出可能」だが、中央区立図書館は「禁帯出」だ。何故? 官僚主義丸出しのバカ図書館というしかない。そのほか、一部図書館も導入しているとはいえ、図書館の貸し出し作業を完全に利用者に押しつけてもいる。職員はヒマ? 『火花』は積んどくしているけど、読了しても、こんな図書館には絶対寄贈してやらない?

それにしても、図書館利用者から「苦情」でもあるのか? いつになったら借りて読めると? 「言論の自由」以前のレベル。15冊も20冊も買う必要もそもそもないと思うが、それだけ買っていれば十分。読みたければ本屋や古本屋でも買えますと言ったって暴言にはなるまい。
なんでこんな呼びかけまでするのか? この三人の作品は数十万部単位のベストセラーのようだから、図書館で借りて読む人がいても、さほど痛手にはならないかもしれないが、それでもやはり複雑な気持ちになるのでは?

ともあれ、ネバーセイネバー。あとは野となれ山となれ!

万城目学さんの「図書館よ、新刊寄贈願いやめて。作家を殺すな」の訴えは正論か?
(2016・6・14・火曜日)

北陸新幹線が開通してから一年以上が経過。金沢・富山古本屋ツアーも実現できていないが、古女房が一足お先に金沢・富山中年女ツアーを先週末、二泊三日で敢行。旅のおみやげと称して、6・12付けの地方新聞(「北日本新聞」「富山新聞」)をくれた。あと升寿司も。

日下公人氏責任編集の『誰も書かなかった「反日」地方紙の正体』 (産経新聞出版)を一読して以来、反日地方紙の研究は時々やっているが(この前も古女房が沖縄に行き、名高い偏向地方紙をもってきてくれたものだったかと)、富山の地方紙を読むのは初めてか?

富山新聞一面のコラム(産経抄みたいなところ)が、「総ルビ」なのが目にとまった(一度出てきた漢字で、また出てきた時には二度目はルビなし)。小学生にも読めるようにとの心がけかな? 結構なこと。

北日本新聞では、社会面に「新刊寄贈願いやめて」「作家・万城目さんツィッターつぶやき」「高岡市立図書館に苦言」という記事が出ていた。

作家の万城目学さんが5月19日のツィッターでこう書いたそうな。

図書館の新作の貸し出しについては、寛容であろうと思っています。文化の多様性を支える一翼でありたいからです。でも、これをやられると、やはり心が冷えます。もしも、すべての図書館がこのやり方で本を集め、タダで貸し続けたら、作家は死にます。http://www.city.takaoka.toyama.jp/library/riyo/kizo/ …


それを受けての記事。以下電子版より。




06月12日 00:29北日本新聞
 「新刊の寄贈願いはやめて」。人気作家、万城目学(まきめまなぶ)さんのツイッターのつぶやきが、県内の図書館関係者の間で話題になっている。高岡市立図書館がホームページ(HP)で、予約件数の多い新作「バベル九朔(きゅうさく)」の寄贈を市民らに求めているのを見つけ、「作家が死ぬ」と名指しで批判したからだ。同館は急きょHPの内容を書き換えた。限られた購入予算の中で、少しでも利用者ニーズに応えようと、同様のお願いをする公立図書館は全国でも多く、図書収蔵の在り方を巡って議論を呼びそうだ。 (文化部次長・近江龍一郎) 「鴨川ホルモー」「鹿男あをによし」などで知られる万城目さんがツイッターに批判を書き込んだのは、5月19日。高岡市立図書館がHPで、読み終えた新刊の寄贈を求めているのを見つけ、「すべての図書館がこのやり方で本を集め、タダで貸し続けたら、作家は死にます」とつぶやいた。HPには、万城目さんの新作のほか、ことし本屋大賞に選ばれた宮下奈都さんの「羊と鋼の森」など、話題作が並んでいた。 同館が新刊の寄贈を呼び掛けるようになったのは2、3年前から。人気作の予約に対応しようとしても、図書購入費は限られ、何冊も同じ本を購入できない事情があった。万城目さんにツイッターで指摘されたことを知り、HPの内容を変更。特定のタイトルを掲げるのをやめ、「出版から5年以内の本」と改めた。 野村剛館長は「窮余の策だったが、作家の心証を害してまでやるべきではないと判断した。市民のニーズも無視できず、頭が痛い」と話した。県内では南砺、魚津市の図書館がHPに書名を挙げて新刊の寄贈を呼び掛けている。 万城目さんはツイッターなどで、図書館が新作を購入して貸し出すことには理解を示しているものの、無償で寄贈を受けてまで貸す姿勢に以前から疑問を向けていた。県図書館を考える会の江藤裕子代表(富山市)は「図書館は未来の読者を育てる大切な場所。問題の本質は、予算が削減され、寄贈に頼らなければならない現状にあるのではないか」と指摘する。


江藤氏は、予算が削減され云々といって寄贈を半ば肯定しているようだが、図書館はそこそこの作家の本なら、少なくとも「一冊」は、購入しているはず。

ちなみに、彼のその作品、都内図書館だと、6月13日朝調べで、品川区立図書館は10冊購入し175人が予約。新宿区は9冊購入し、111人予約。千代田区でさえ、3冊購入し49人予約、江東区は7冊購入し166人予約となっている。富山の問題(?)の高岡図書館は3冊「購入」し、予約は20人。魚津図書館は1冊「購入」しており9人が予約しているようだ。

まぁ、痛し痒しであろうが、購入した人も、手元に蔵書として長年置かなくとも、図書館に寄贈するよりはブックオフにでも売ったほうが、経済学的にはまだいいのでは? 

図書館の「無料貸本屋」的状況に関しては、作家や出版社からも批判が相次いでいることは本欄でも触れた通り。


再録的だが、「本の雑誌」(2014年4月号)でも図書館批判をしていた新潮社常務の石井 昂氏が、『新潮45』(2015年2月号)でも「図書館の”錦の御旗”が出版社を潰す」と題して図書館批判(「図書館の貸出冊数が販売冊数を上回り、出版社は絶滅の危機にある。それはつまり『本』の絶滅に他ならない」)を展開している(「本の雑誌」では「昴という字だったと思うが、「新潮45」では少し異なる漢字になっているが、打ち出せない)。

石井氏は、「日本文藝家協会理事の永江朗さんは、図書館に文句をつけるのは出版社や作家の儲けが減るというずいぶん下品な主張だと著書の中で論じている」「(それは)本を消費する側の論理だけで、生産する側の事情にいささかの配慮もないことである。何故私が複本の自制と貸出猶予をして欲しいと、土下座をしてでもお願いしたいかを全く理解してもらえない」と述懐している。

以前、作家の樋口毅宏氏が自著『雑司ヶ谷R.I.P. 』 (新潮社)の奥付手前に、図書館さまへということで本書の貸し出しは2011年8月25日まで見合わせてほしいと明記していることが話題になっていた。2011年2月に刊行された本だから要は半年間は本屋(乃至古本屋)でしか購入購読出来ないシステムにしたいとのことだ。図書館が新刊をすぐに購入して貸し出す現状が続けば印税収入が減り、著者はやせ細り、死んでしまうと訴えているとのこと(2011年5月11日読売夕刊)。すると高崎市立図書館がこの樋口氏の要望を受け入れるとの見解を出したという。樋口氏のような新刊貸し出し制限は林望氏や逢坂剛氏も主張している。

佐藤優氏が「週刊新潮」(2012・3・1号)で、『「図書館司書」は出版社・書店でご奉公』なるエッセイを書いていた。公共図書館がベストセラーの類を数十冊も購入し、無料貸し出しをすることへの苦言を呈している。
 タダで本を読むことができるのは、一見素晴らしいことのように見えるが、そうではなく、本という商品を造る作家や出版社や流通機関が割を食っている現状を指摘し、「資本主義社会で、タダのサービスは本来ない。図書館が行っているタダのサービスが、結果として、本をつくるシステムを破壊しているのである」と。こういう事実を理解していない図書館関係者に対して、司書の資格を取るときに、その者たちに、出版社、取次ぎ、書店で無給研修をさせよと。

 佐藤氏は、古本屋のネットで古典作品(洋書もあり)を購入することが多いそうだが、最近、そうしたものの中に図書館の除籍本が相当数あるそうな。図書館が廃棄除籍したのを古本屋が購入し販売しているわけだ。本来は、そういう本こそ、図書館がちゃんと保存し、万人向けに貸し出しすべきだと。正論だろう。


またデータは古いが、以前、墨田区立図書館はこんな訴えをしていた(今もしているかは未確認)。



予約が集中している図書の寄贈をお願いいたします
2013年6月6日
墨田区立図書館・コミュニティ会館では、利用者の皆様の多様なご要望にお応えするため、幅広い資料の収集を心がけています。一時的に予約が集中するものについては、複数冊購入していますが、早期の提供ができない状況にあります。現在予約多数となっている下の一覧の図書で、読み終えてご家庭でお持ちのものがありましたら、図書館への寄贈をご検討ください。ご寄贈いただける場合は、お手数ですが、図書館・コミュニティ会館にお越しの際にお持ちください。
予約多数図書
No 書名 著者名 出版社
1 色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年 村上春樹著 文藝春秋
2 海賊とよばれた男 上 百田尚樹著 講談社
3 舟を編む 三浦しをん著 光文社
4 64 横山秀夫著 文藝春秋
5 海賊とよばれた男 下 百田尚樹著 講談社
6 夢幻花 東野圭吾著 PHP研究所
7 ソロモンの偽証 第1部 事件 宮部みゆき著 新潮社
8 禁断の魔術(ガリレオ 8) 東野圭吾著 文藝春秋
9 空飛ぶ広報室 有川浩著 幻冬舎
10 ソロモンの偽証 第2部 決意 宮部みゆき著 新潮社
11 桜ほうさら 宮部みゆき著 PHP研究所
12 ソロモンの偽証 第3部 法廷 宮部みゆき著 新潮社
13 虚像の道化師(ガリレオ 7) 東野圭吾著 文藝春秋
14 聞く力 阿川佐和子著 文藝春秋
15 ハピネス  桐野夏生著 光文社
16 世界から猫が消えたなら 川村元気著 マガジンハウス
17 何者 朝井リョウ著 新潮社
18 ナミヤ雑貨店の奇蹟 東野圭吾著 角川書店
19 母性 湊かなえ著 新潮社
20 白ゆき姫殺人事件 湊かなえ著 集英社


ここでは、幸いにも万城目学氏の著作はなし? でも、高岡市立図書館、墨田区図書館同様のことを全国の図書館はやっているのだろう。

ともあれ、雑誌同様、複数本を購入した図書に関しては、少なくとも「奥付刊行日」より一カ月(ないし2カ月)は、館内閲覧のみ認めて、貸出は一カ月後(2カ月後)からするという手もあろう。すでに週刊誌や月刊誌は、次号が出るまでは館内閲覧のみにしているではないか。同様の扱いを単行本や文庫に課してもおかしくはない。館内閲覧はできるのだから。「一冊」のみ購入した本は、図書館に届き次第の貸出は容認するとして。一冊のみはすぐに貸出をスタートさせても、残りの「複数本」は一、二カ月は館内閲覧のみ容認するとか。そういうシステムも可能では? 映画だって、映画館の上映のあと、しばらくしてからDVDが出て、それが図書館に一部やってくるのはかなり月日がたっているのでは。図書館でのCD貸出も本と同様の問題点があるかも?

初版から何十万も出せるようなベストセラー作家ならともかく、初版1万部前後からスタートする中堅作家にとって、図書館が図書館流通センターなど経由で1000冊前後購入するということはいろいろと思案もさせられよう。

昔と違ってパソコンを通じてボタンひとつで予約もできる。自宅周辺のみならず勤務先周辺の図書館を利用することもできる。駅前図書館やコンビニでも貸出返却可能。電車で見ていると、スマホいじりに熱中している人(まぁ、必死こいてゲームボタンを押している人たち。煩い!)の中に、本を読んでいる人もまれにいるが、図書館ラベルがついていることが多い。雨の日でも、無造作に読んで、本に向かってくしゃみをしたりしているから……。図書館の本は布カバーをつけて丁寧に読もうといった公共心は衰退気味?

ともあれ、定価1500円前後で初版1万部前後の作家にとって、図書館が1000~2000冊購入するということは、やはり痛手であろう。初版1000-2000部以下の高額専門書(5000円前後から1万円弱程度)を図書館が100冊でも購入してくれるのは恩の字かもしれないが。専門書を書く人は大学の教師としての「収入」がまずあり、図書も印税なしということも多いかもしれないが、まだ余裕があるのでは? 

その点、職業作家は、それが唯一の収入である。定価1500円で、一万部で、印税が150万円。雑誌連載をまとめる本なら、雑誌掲載時に原稿料も入るとしても、400字400枚で、一枚5000円で200万円? あわせて年間一冊で350万円。書き下ろしだと150万円だけ。一万部スタートで、増刷になり2万部までいけば、これまた恩の字。少し前ならそれぐらい行けたのに、不況やら図書館の充実(?)で、初版止まり。その初版部数も右肩下がり…と。

佐野眞一さんや林真理子さんなどに、いつも楽しく読んでいます、でも先生の本は人気があって、図書館でかなり順番待ちなので…と面と向かって公言する自称「愛読者」もいるそうな。面食らう?

とはいえ、高めで、宮田昇氏の『図書館に通う 当世「公立無料貸本屋」事情』 (みすず書房)のような本は、書名からして図書館で借りて読むのが礼儀というものかもしれないが?(僕もこの本は図書館で借りて読みました。それで十分な内容でしたから。2400円程度の節約にはなったかと? そのお金を古本屋に落とす? )。



ともあれ、ネバーセイネバー。あとは野となれ山となれ!
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