古本虫がさまよう 沖縄の新聞が偏向しているかどうかは、海兵隊員の「美談」を報じるか報じないかにある?
2017 11 / 10 last month≪ 123456789101112131415161718192021222324252627282930≫12 next month








沖縄の新聞が偏向しているかどうかは、海兵隊員の「美談」を報じるか報じないかにある?
(2016・8・2・火曜日)





安田浩一氏の『沖縄の新聞は本当に「偏向」しているのか』 (朝日新聞出版)を読んだ。

百田尚樹氏が、沖縄の二つの地元紙(琉球新報&沖縄タイムス)の報道は偏向しているからつぶさなあかんなどといった趣旨の発言をして、批判された地元紙は当然のことながら反発した。そのあたりを取っかかりにした取材ルポ本。
二紙の関係者への取材、地元で反基地運動をしている人への取材、また、百田さんの意見に賛成する人々への取材など、幅広く取材をしている。著者の立ち位置は中庸リベラルというか、百田氏の見解には疑問を抱く立場に近いようであるが、それはそれとして、前著『ネットと愛国 在特会の「闇」を追いかけて』 (講談社)同様、この問題を現地で取材することのできない我々のような一般読者には、隅々までといった感じで、ことの経緯を伝えてくれる。その点で、大変参考になる本だった。

とはいえ、僕自身は、この前、沖縄の地元新聞を初めて手にしたぐらいで、某大新聞のように何十年もウォッチはしていないので、下手なことはいえないが、やはり「偏向」はあるのではないか?

何かの本で読んだので、すぐに引用紹介できないが、別に反米、反基地の論調とか、基地がなくても沖縄経済がやっていけるといったオピニオンを主張するのが偏向というわけではない。

ただ、金日成や金正日やスターリンだって、毛沢東だって、ヒトラーだって、悪い奴であっても、消費税分ぐらいの割合とはいえ、何かいいこともしてきたであろう。海兵隊もそう。時に、海兵隊員が、人命救助を沖縄でして、感謝状なり表彰される時もあると聞いた。そういう時、地元新聞なら、一面トップとか社会面トップとはいかないだろうが、そこそこの大きさで、「海兵隊員、日本人救う、県警、感謝状を…」といった報道がされてもいいと思う。もし、そうした「美談」があっても、決して紙面に一行たりとも掲載しないとか、せいぜいでベタ記事扱い程度という地元新聞があったとしたら、その新聞はいささか「偏向」していると批判されて当然だろう。そのあたりはどうなのか? 安田氏の本では追究はされていなかった(もちろん、何かでそういう事例があったと読んだ記憶がある程度で、海兵隊員は沖縄では強姦や飲酒運転事故ばかり起こしていて、救命活動をした隊員は一人もいない、美談の一つもないのだから報道のしようがない…というなら別だが?)。

考えてもごらん。イマジン! 海兵隊が救助活動をしたのを一面トップで報じる新聞が、海兵隊員が小学生の女の子をレイプしたのをいっさい報じないとしたら、それは偏向ざんまい。でも、その逆も偏向ではないか。二重基準は取らない。沖縄の地元新聞の記者たちも、かつてそんな対応をしなかったか、胸に手をあててよく考えるべきだろう。

「ヘイトスピーチ」に関して、沖縄米軍基地に対して基地反対派が「米軍は日本から出ていけ」という言葉は「強者たる軍隊に向けてのものなのだから、ヘイトスピーチでも何でもない」と著者はみなしている。 「ヘイトスピーチとは社会的力関係を背景に、人種、民族、国籍などの抗弁不可能な属性に対する差別煽動をいう。いうなればマイノリティー差別を煽る言葉や行動である」と。

とはいえ、「もちろんそれが米軍人の家族や子どもに向けられたものであれば、意味合いは違ってくるし、私個人としては米軍に対して『ヤンキー・ゴー・ホーム』と叫ぶことにも、抵抗はある。必ずしも適切なものだとは思えない」としている。

一理ある見解だろう。ネットなどの映像をみていると、基地反対派が、超えてはいけない「境」を超えて、米軍基地領域に入ってまで抗議活動をしたり、聞くに耐えない言葉で罵っているのを見たことがある。なんとなく、あれも「ヘイトスピーチ」の一種かなとも(僕は、「内容」ではなく、「音量」で取り締まったほうがいいと思う。騒音防止条例などで。駿河台のキャンパスで大学入試を受けていた時、試験中だというのに、試験反対だったか何か叫んでいる左翼学生がキャンパス周辺にいて、うるさいなぁと思ったことがある。どんなヘイトスピーチも、拡声器による「拡散」がなければ、あまり相手の耳に響かないから?)。

こうした著者の筆致からも分かるように、著者は、リベラル左派的な御立場ではあるが、バランスを取っての取材をしており、僕のような人間が読んでも、そんなに違和感がない(この前、紹介した和田春樹さんのような、北朝鮮などに対して甘い筆致を使うような著作には大いなる疑問を感じることが多いが)。

ただ、酒席での防衛局関係者のオフレコ発言(「犯す前に、これから犯しますよと言いますか」)を報道した沖縄地元紙の記者の動向が詳しく好意的に描写されているが、あれはやはり邪道だったような気がする。中国外交官の「厳命」か「言明」かではないが、「犯す」か「侵す」かということもあっただろうから。酒席での発言はやはり少々言いっぱなしになったりするから……。それを活字にされたら紳士協定違反にはなるだろう。

八重山日報教科書問題取材班・仲新城誠 (なかしんじょう・まこと)氏の『国境の島の「反日」教科書キャンペーン 沖縄と八重山の無法イデオロギー』 (産経新聞出版)という本は紹介したことがあるが、その仲新城誠氏への取材もなされており、彼の沖縄の二紙に対する批判的見解も紹介もされている。

沖縄米軍基地前の「ヘイトスピーチ」などと戦ってクビになったロバート・D.エルドリッヂさんは安田さんの本には登場していないが、彼の『オキナワ論 在沖縄海兵隊元幹部の告白』 (新潮新書)なども併読するといいだろう。

ともあれ、ネバーセイネバー。あとは野となれ山となれ!
スポンサーサイト
 | 新聞論調  | TB(0)  | CM(0) | Page Top↑
Secret




TrackBack URL
→http://kesutora.blog103.fc2.com/tb.php/2609-63f121c0

プロフィール

最新記事

最新コメント

最新トラックバック

月別アーカイブ

検索フォーム

RSSリンクの表示

リンク

ブロとも申請フォーム

QRコード

カテゴリ