古本虫がさまよう 夏休みに読破すべき「ジキル的読書本」はこれに決めた! バークからカミュからスターリン、ナボコフまで――政治家の公約と同じく実現できるかどうかは、神のみぞ知る!?
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夏休みに読破すべき「ジキル的読書本」はこれに決めた! バークからカミュからスターリン、ナボコフまで――政治家の公約と同じく実現できるかどうかは、神のみぞ知る!?
(2016・7・26・火曜日)





今年はいつもより長めの夏休み(お盆休みの前後に+α)を大胆に取り、質・量ともに「重厚長大本」にチャレンジしようかと決意。中学生高校生時代の夏休み中の朝6時台の「基礎英語」~「英会話」講座から始まり、夜11時ごろまでの綿密な勉強計画表に匹敵するプランを……。といっても、人生体験も10代の無垢な少年時代と違って、いまやそこそこ豊富な我が身? そしてリアリスト! 分単位の読書計画表などは作ってもナンセンスと分かっている。実行できるわけがない?

そこで、とりあえずは、食卓の上に読もうかと思っている重厚長大本を十数冊積み上げることにした。これを夏休み(8月上旬~中旬にかけて?)、一日一冊読破していけば、教養は高まり、知識は深まっていくのは間違いあるまい。

①千々岩靖子氏の『カミュ 歴史の裁きに抗して』 (名古屋大学出版会) →カミュといえば、なんといっても僕にとっては『反抗的人間』 (新潮社)である。糞サルトル相手に「歴史論争」を展開。当時の容共糞馬鹿フランス知識人には不評の作であったが……。本書でも「第六章」で「『反抗的人間』と歴史をめぐる論争」で取り上げられている。 『革命か反抗か カミュ=サルトル論争』 (新潮文庫)なんて本もあったかと。懐かしい!?

「『反抗的人間』は、カミュの著作のなかで最も不幸な運命を辿った作品である。特にこの書物で明確に示された挑発的なスターリン批判やマルクス・共産主義批判は、当時まだ共産主義信奉が濃厚だったフランス知識人界においては、共感以上に猛烈な反発を引き起こした」「当時フランス共産党に急接近したサルトルらによって、歴史の名のもとに断罪され、その後カミュが孤立し、政治的発言力を低下させていく契機となった」「カミュの作品のなかで、最も読まれない、最も理解されない著作となってしまった」 (千々岩靖子氏)

ううむ、ケシカラン、戦後の日本の思想界に見られるような、容共リベラル主導のホンモノの「反知性主義」が当時のフランスの知識人界をおおっていたのだ! 「収容所列島」を「楽園」とみなすような……。とりあえずは「第六章」を拾い読みした。あとは……。

②和田春樹氏の『スターリン批判 1953~56年 一人の独裁者の死が、いかに20世紀世界を揺り動かしたか』 (作品社)
えぇっ? 和田春樹さんがスターリン批判? 証文の出し遅れ? ともあれ、冒頭の「本書をお読みになる、21世紀のみなさんへ」という一文を拝読。

おやおや、満洲国をつくった日本の軍国主義とヒトラーのナチス国家によって、スターリン・ソ連は「東西から挟み撃ちにあうことを警戒して、極度の緊張状態にありました」と書く。そのために国内の日独の手先が国内各層に浸透していると考え、大テロルを実行したと書いている。行間のニュアンスとして、スターリンの大粛清は、日独がいけないのよと言いたそうに読めないこともないが……。もっとも「ほとんどすべての人が不当に逮捕され、罪なくして殺害されました」とは明記。

だが、そこにはノーマン・ネイマークの『スターリンのジェノサイド』 (みすず書房)という視点はあまりなさそうだ。

「スターリンとヒトラーの類似点、ナチズムとスターリニズムの類似点は無視するにはあまりに多すぎる。両者は独裁者として欧州大陸で莫大な数の人びとを殺害した。二人は根本的改造をめざすユートピア社会の名において、人間の生命を噛み殺した。二人は自分たちの国と社会を、そして国の内外の膨大な数の人びとを破滅させた。二人は、つまるところジェノサイド実行者だったのである」(ノーマン・ネイマーク)

また、そもそもポーランドをナチスと仲良く「分割統治占領」した事実も、この冒頭の和田氏の一文には出てこないのだ。フィンランドに侵攻して国際連盟から追い出されたことも書いてない。

「ソ連は、日本とは一九三九年ノモンハンで死闘を行ない、その勢いを抑えることに成功しましたが、一九四一年にはついにナチス・ドイツの侵攻をうけ、生死をかけた戦争に突入しました」と。 「ソ連の勝利は、連合軍の勝利に対する決定的な貢献となりました」とちょっとヨイショも。

一九五〇年勃発の朝鮮戦争についても、「一九五〇年には朝鮮戦争が起こり、スターリンはこの戦争に支持を与え、深く関与しました。この間のスターリンの緊張はたいへんなものでした」と。相も変わらず、朝鮮戦争をどっちが起こしたのかの「主語」を書くこともできない。
もっとも序章では、「もとよりこの戦争は、北朝鮮指導部の武力統一の意思からはじまったのであり、朝鮮人民軍が南で米軍に壊滅的な打撃を受けたあとは、中国人民志願軍が参戦し、主力となって米軍と戦っていた…」とは記している。

「北朝鮮指導部の武力統一の意思からはじまった」とは、要は「北朝鮮の侵略ではじまった」ということでしょうが、このもってまわった言い回しには失笑するしかない。

③ブレイン・ハーデンの『金日成と亡命パイロット』 (白水社)この人の本としては『北朝鮮 14号管理所からの脱出』 (白水社)を紹介ずみ。北朝鮮に甘い認識を示しがちな和田春樹先生とは「月とスッポン」の人だ。北朝鮮からの亡命パイロットの人生を描きつつのノンフィクションのようだ。

《脱出計画に5年半、飛行時間は17分》
朝鮮戦争の休戦協定が締結された直後の1953年9月、朝鮮人民軍のパイロット、盧今錫(ノ・クムソク)中尉の操縦するミグ15戦闘機が軍事境界線を越え、突如、韓国の金浦空軍基地に着陸。北朝鮮軍の現役パイロットが亡命したというニュースは、瞬く間に世界中を駆け巡った。
本書は、のちに渡米し、アメリカの市民権を得る盧今錫の半生と、抗日ゲリラから北朝鮮の最高指導者となり、独裁体制を確立して「偉大なる首領」と呼ばれるようになった金日成の成り上がりぶりを並行して描いたノンフィクションである。本書で主に描かれるのは、金日成が抗日パルチザンとして頭角を現しはじめた1938年から、第二次世界大戦を経て朝鮮戦争休戦に至るまでの間。一人の亡命者の足跡を主眼として、北朝鮮の欺瞞に満ちた成立過程を描いた現代史の記録ともいえる。
金日成のなりふり構わぬエゴと指導者としての無能ぶりに加え、米中ソのパワーゲームの駒にされながらも、逆にそれを利用して独裁を確立しようとするしぶとさが際立つ。
新たに公開された資料や証言によって数々のエピソードを積み重ね、冷戦期における巨頭たちの思惑と一亡命者の数奇な運命を重層的に描いた傑作。



④海野洋氏の『食料も大丈夫也 開戦・終戦の決断と食糧』 (農林統計出版)。

(内容紹介)→「大東亜戦争」開戦を決断した御前会議の場で、天皇からの質問に、ときの農相は「食糧も大丈夫也」と答えたという。この言葉は本当であったのか?日本の為政者は、果たして食糧問題をどれほど検討してきたのか?膨大な戦中・戦後の歴史資料から戦争前夜から戦中における食糧事情を検証する。



開戦直前、石油の備蓄に関してどうだったかという点については、以前、高橋健夫氏の『油断の幻影 一技術将校の見た日米開戦の内幕』 (時事通信社)を読んだことがある。日本国内での石油精製はほぼゼロ状態だったが、食糧はもちろん、そこそこ生産していたわけだから、石油ほど逼迫感はなかったのかもしれないが、戦争遂行にあたっては、当然、絶対的に必要な項目。その点、どうだったかについて、考察した書のようだ。面白いテーマではないか。

⑤岡本勝氏の『アメリカにおけるタバコ戦争の軌跡 文化と健康をめぐる論争』 (ミネルヴァ書房)。これは少し読み始めているのだが……。アメリカに於けるタバコをめぐる論争は独立戦争ころからあったようだ。健康被害より悪臭のほうを僕は問題にするのだが……。

⑥小島秀信氏の『伝統主義と文明社会 エドマンド・バークの政治経済哲学』 (京都大学学術出版会)

内容(「BOOK」データベースより)
保守主義の父から文明社会の隠された“構造”を学ぶ。エドマンド・バーク(1729‐97)は、封建的階層制秩序の擁護と自由市場の擁護という一見相容れない立場の両立を唱える。文明社会が不可避的に生み出す悲惨な労働者の存在と、何としても文明社会の恩恵は必要だという固い信念との間で悩み抜いたバークの思想は、今日の格差社会を考えるにあたっても学ぶべき点は限りなく多い。



我がゼミの恩師は英国史・バークの研究家であったが……。教え子はバーク流保守主義には走らず? 小島氏の参考文献にはなぜか、中川八洋氏の『正統の憲法 バークの哲学』 (中央公論新社)が出てこないけど、まぁ、バークを論じた日本語文献はなるべく一読ないし積んどくはしておきたいと思っている……。
あとバークって、「家族愛」などを優先する?  それとは直接関係ないのだが、2016・7・23の日経新聞一面コラムにこういう文が掲載された。


ボーナスでも出たのか、子どもをすし屋に連れてきたお父さんが気前のいいところを見せていた。「さあ、どんどん注文していいぞ」「わーい。やったー」。が、父親はふと不安になったらしく、あわててクギを刺した。「高いものはダメだぞ。パパを困らすなよ……」
▼カウンターのなかで店主が苦笑していたが、自民党の憲法改正草案だって似たようなものかもしれぬ。たとえば言論や表現の自由を保障した第21条には、こういう抑えが続く。「前項の規定にかかわらず、公益及び公の秩序を害することを目的とした活動を行い、並びにそれを目的として結社をすることは、認められない」
▼こんな言い足しをしているようでは、集会や結社や、いっさいの表現の自由をこれまで通り保障します――と書いてあっても眉につばをつけたくなる。「公益及び公の秩序」を守れというくだりは第12条にも見えるが、へたをすれば何でもかんでもそれに縛られよう。草案のコワモテぶりは、時代遅れの校則みたいである。
▼野党時代につくった草案だけにいきおい保守的になったらしいが、冷静な改憲論議のためには棚にでも上げて置くほうがいい。ほかにも草案には妙な条文が多く、第24条にいわく「家族は、互いに助け合わなければならない」。すし屋で親を困らせる注文もこれで防げるなどと喜ぶなかれ。およそ憲法の言うことではない。



どちらかというと、日経のこの指摘には「共感」する。憲法に「家族は、互いに助け合わなければならない」なんて加筆する必要はあるまい。余計なお世話。「前項の規定にかかわらず、公益及び公の秩序を害することを目的とした活動を行い、並びにそれを目的として結社をすることは、認められない」なんていう加筆も、明治時代や共産圏憲法を想起させかねない。それより、憲法9条の改正。おかしな「空想的平和運動屋」たちの存立根拠を喪失させるためにも、これを最優先に取り組むべきだと思う。あとは、「前文」はもう少しまともなものに変えたほうがいいとは思うが、なにはともあれ、国家主権制限条項でしかない9条改正が第一。

⑦上田篤盛氏の『戦略的インテリジェンス入門 分析手法の手引き』 (並木書房)。
著者は元防衛省情報分析官。少し教科書的なところもあるようだが、新聞記事など具体的な題材を利用しながら、さまざまな「インテリジェンス」を論じている点が参考になりそうな本だ。

⑧ノーマン・M.ナイマークの『民族浄化のヨーロッパ史 憎しみの連鎖の20世紀』 (刀水書房)。
先のノーマン・ネイマーク表記の『スターリンのジェノサイド』 (みすず書房)は紹介ずみ。この著者のもう一冊の本。


⑨山内昭人氏の『戦争と平和,そして革命の時代のインタナショナル 』 (九州大学出版会)。コミンテルンにも触れている。

⑩ ナボコフの『ナボコフの塊 エッセイ集1921-1975』 (作品社)。
面白そう。 『ナボコフ自伝 記憶よ、語れ』 (晶文社)は以前読んだことがあるが……。

⑪佐瀬昌盛氏の『朝日新聞は真実を伝えているのか? ねじ曲げられた報道はもういらない』 (海竜社)もいいね。

⑫張競氏&村田雄二郎氏編の『断交と連帯 1945-1971』 (岩波書店)もいいかも。
中共文革あこがれ論のエッセイなども収録されているようだ。岩波には日共関係者が多かったから、意外なことに、「世界」などは、中共と日共が対立した時期以降は、中共文革には朝日新聞よりクールだった面もある(その分、北朝鮮にイカレテイタ編集者が多かったようですが)。「過去に目を閉ざす者は現在にも盲目となる」のだから、こういう本で、過去のさまざまな文革言説を再確認することは大事だろう。

⑬立花隆氏の『武満徹・音楽創造への旅』 (文藝春秋)。

26字×24行で二段組(ということは52字×24行一段組)で800頁近い大著(「はじめに」「おわりに」は一段組だが)。とりわけ「おわりに」が、おお!?……という感じの某女性への献辞があり。ううむ……。人生イロイロ?
武満徹という音楽家の名前を聞くと、あぁ、オーウェルを歪曲した人だっけ?というイメージが浮かんでくるが……(志水速雄氏「ジョージ・オーウェルが怒るぞ!」諸君! 1984年3月号参照)。

⑭『西尾幹二全集 第15巻 少年記』 (国書刊行会)。
あとがき(後記)で触れている朝鮮戦争について、北からの侵略か、南からの侵略か、リアルタイムの少年時代よく分からず悩んでいたとのこと。和田春樹さんはまだ悩んでいるのかもしれない? 西尾さんは、神谷不二氏の『朝鮮戦争』 (中公新書)が1966年に出てからはその迷いはなくなったとのことだが。

さぁ、お盆休み前後に、上記の本を一日一冊、一気呵成に読む(つもり?)。計画立案は自由。計画倒れも自由?

ともあれ、ネバーセイネバー。あとは野となれ山となれ!
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