古本虫がさまよう 大宅賞作家・塚本哲也さんと椎名誠さんに共通する「処女体験」とは?
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大宅賞作家・塚本哲也さんと椎名誠さんに共通する「処女体験」とは?
(2016・6・1・水曜日)






しばらく前に、5月の連休休みに「重厚長大本」にチャレンジしようとしてほぼ挫折したことは書いた通り。そのあとも、本屋で、白水社のイアン・カーショーの『ヒトラー(下)1936-1945 天罰 』 『ヒトラー(上)1889-1936 傲慢』を見かけて、その分厚さ、お値段の高さに唖然としたことも記した通り。

それに比べれば、スリムに見えるが、塚本哲也氏の『我が家の昭和平成史 がん医師とその妻、ピアニストと新聞記者の四重奏』  (文藝春秋企画出版) を入手。お値段は4000円(税込・2冊。分売不可)。二冊あわせての頁は二段組で1000頁を少し越える。やはりこれも大著、重厚長大本だ。

(内容紹介)は以下の通り。

塚本 哲也 著
――大宅壮一ノンフィクション賞作家が記す
家族の歩みと激動の中欧近現代史
がんセンター総長の父憲甫とそれを妻として支えた母、ウィーンでピアノ奏者として名を上げた妻ルリ子と欧州の変革を取材した著者。時代の大きなうねりを綴った渾身の集大成
毎日新聞社特派員としてプラハの春や分裂ドイツの真実を報道し続け、後年は『ガンと戦った昭和史― 塚本憲甫と医師たち』『エリザベート― ハプスブルク家最後の皇女』などノンフィクション作家として活躍する著者が時代をまとめる
――この本を『我が家の昭和平成史』としたのは、人間は社会の中で、一人では生きてゆけないと経験しているからである。「我が家」の中には、われわれと家内の両親のほかに、多くの知り合いとの付き合いという意味が入っている。(「おわりに」より)



読み始めたばかりだが、毎日新聞記者として、ヨーロッパ(ウィーン)に留学したく、先に音楽家として留学していた女性(塚本ルリ子さん)に向こうの様子を聴こうとして接近(?)。一目惚れしてしまい…といった個人史やら、試験に合格しウィーンに無事留学し、欧州の特派員の仕事もこなし、現地でのソ連からの亡命者たちと遭遇し、冷戦の実態を垣間見るようにもなる。そんな個人史を交えつつ、20世紀の現代史も綴られた希有な自叙伝であろうか。

ちなみに、塚本哲也さんはウィキペディアによると、こんな人(一部略)。

塚本 哲也(つかもと てつや、1929年4月29日 - )は、ノンフィクション作家。

群馬県生まれ。旧姓・木村。木村裕主は実兄。東京大学経済学部卒。毎日新聞社に入社し、政治記者として岸信介を担当する。1959年、オーストリア政府給費留学生として首都ウィーンに留学することになり、ウィーン留学経験のある人に話を聞きたいといって紹介されたのがピアニストの塚本ルリ子で、哲也のあとからルリ子は二度目のウィーン留学、1962年に結婚し塚本姓となった。ルリ子の父(塚本憲甫)は国立がんセンター総長などを務めた医師だった。

ウィーンで国際法を勉強して、その後毎日新聞ウィーン支局長として再度渡墺、のちプラハ支局長として68年のソ連軍プラハ侵攻を取材した。その後ボン支局長を経て帰国、論説委員、毎日新聞連載「学者の森」(共同執筆)で日本新聞協会賞を受賞、退職後は、防衛大学校教授、同図書館長を務めながら執筆活動を行い、1987年に『ガンと戦った昭和史』で講談社ノンフィクション賞(これはルリ子の父を描いたものである)。兄木村裕主も、1990年に講談社ノンフィクション賞を受賞し兄弟受賞となった。
1992年、『エリザベート』で大宅壮一ノンフィクション賞受賞、99年より東洋英和女学院大学学長を2003年まで務めた。オーストリア共和国文化功労勲章、オーストリア共和国有功大栄誉銀章受章。
2002年、脳出血で倒れ、右半身麻痺となる。群馬県のケアホーム新生会に移住し、リハビリを兼ねて左手で打つパソコンを始め著述活動を再開、『マリー・ルイーゼ』を執筆中の2005年に、ルリ子夫人は、腹部大動脈瘤破裂で急逝している。

著書[編集]
フィンランド化 ソ連外交の論理と現実 (教育社、1978年)
ガンと戦った昭和史 塚本憲甫と医師たち (文藝春秋、1986年/文春文庫、1995年)
平和ドイツの時代 (文藝春秋、1991年)
エリザベート ハプスブルク家最後の皇女 (文藝春秋、1992年/文春文庫上下、2003年)
わが青春のハプスブルク 皇妃エリザベートとその時代 (文藝春秋、1996年/文春文庫1999年)
マリー・ルイーゼ ナポレオンの皇妃からパルマ公国女王へ (文藝春秋、2006年/文春文庫上下、2009年12月)
メッテルニヒ 危機と混迷を乗り切った保守政治家 (文藝春秋、2009年11月)




ウィキペディアに出ている塚本氏の本は全部読んだ記憶がある。『エリザベート ハプスブルク家最後の皇女』は、赤いというかピンクというか、社会民主主義的な皇女エリザベートを介在にした面白い歴史物語だった。『メッテルニヒ』も、教科書に出てくる人物としてしか名前を知らなかったが、エドマンド・バークなども出てきて、なるほど、権謀術数の外交とはこうやるものかと納得したりした次第。いずれも重厚長大本。

しかし、塚本さんの本で、とりわけ、懐かしいのは『フィンランド化 ソ連外交の理論と現実』 (教育社)だ。これは教育社が一時出していた「新書」シリーズ(分量は薄いが中味は重厚)。1978年12月に刊行されている。意外なことに塚本氏の処女作であろうか。これはリアルタイムでは読んでないかと思う。当時、僕は未成年で大学生だったか。そのころ、「ソ連脅威論」が高まっていた。にもかかわらず、「ソ連を祖国」とみなしていた某新聞や某進歩的知識人は、ソ連は脅威ではないと言い募り、「日本はフィンランド化している」という見解には、いや、フィンランド化や東欧化は悪いものではないなどと妄言を吐いていたものだった。ということで、そのあと、古本屋で安く購入し、一読した。冷静に「フィンランド化」の実態を論じた本だった。当時の国際政治学者が見て見ぬフリをしていた「フィンランド化」を小冊子とはいえ、取り上げたのは知的勇気も必要だったと思う。

ところで、教育社のこの新書シリーズで思い出すのは、椎名誠氏も処女作をここから出していたことだ。『クレジットとキャッシュレス社会』 (教育社)。1979年12月の刊行。塚本さんからおくれること一年。
椎名氏は、自著『自走式漂流記 1944-1996』 (新潮文庫)で、たしか、この本がなかなか手に入らず、早稲田の古本屋で30円で購入したと書いてあったかと。

塚本氏と椎名氏のこの2冊の本の古本価格について以前、このように論じたことがあった(一部略)。


(2015・10・7・水曜日)
「日本の古本屋」でも唯一こんな風に売りに出ていた。

『クレジットとキャッシュレス社会』 (教育社)◇入門新書
金沢文圃閣 石川県金沢市長土塀 ¥16,200
椎名誠(『本の雑誌』編集長他)、教育社、1979

金沢文圃閣という古本屋はいささか(?)強気の価格で売っている? でも品数は多そう? 「金沢・富山古本市ツアー」の時は寄ってみたいものと思っている。この前、高遠古本市ツアーをした時、蟻屋書房で、買い求めようとした古本も、蟻屋では1000円程度だったが、金沢文圃閣では3000円ぐらいしていたかと。

椎名氏の処女作は、都内の区立図書館で所蔵しているところもあるようだから、それを借りて読むので十分であろうか。教育社の新書は、当時いろんな分野のものが出ていたと記憶している。椎名氏の処女作も、あのシリーズの一冊であろうか。
あの中には、塚本哲也氏の『フィンランド化 ソ連外交の論理と現実』 (教育社)など、面白いものもあった(これもなかなか手に入らないが、十数年前に格安で購入し読了済み。今朝チェックしてみたら「日本の古本屋」にはなく、アマゾンでなんと31999円で出しているところがあった。ううむ。塚本氏のこの本をブックオフでもう一冊見つけて金沢文圃閣にもっていけば高く売れるかも。いや、自分でアマゾンに20000円ぐらいで出品すればいいのかも? 高円寺などの古書会館などで、携帯機器を駆使して「せどり」をしている人も、こういう古本を対象にしていることだろうか。ちなみに、椎名氏の本も、塚本氏の本も、どちらも杉並区立図書館は所蔵している。でも、この杉並区、近年、杉並区&周辺区しか図書カードを作成しなくなったケチケチ図書館。でも、相互貸し出しシステムはあるはずだから、嫌がらせ(?)に、杉並区民や周辺区民でなくても、リクエストして、自分の居住地の図書館まで取り寄せて一読するのもいいかも?)。



ところが、さっき調べてみると、塚本氏の本、相変わらず、「日本の古本屋」にはなくて、アマゾンで同一価格で出しているところがあった。この半年間、売れていないのか。売れて、新たに入手しまた売っているのか?

椎名氏の作品も、「日本の古本屋」では相変わらず、金沢文圃閣が同一価格で売っていた。5000円で売っている古本屋もあったが……。

ともあれ、いくら著名人の処女作とはいえ、「高過ぎ晋作」。教育社の新書本はきわめて薄い本だったから、こんな万単位もするのはいくらなんでも「暴利」? 図書館で借りて読むので十分ではないか。その点、図書館にはまず置いてなくて、それなりのボリュームのあるカジノ=リブモンテーニュの『ポルの王子さま』 (ニトリア書房)が8000円から15000円ぐらいで「日本の古本屋」で売りに出ているのは安い?

ところで、塚本氏と同じく毎日新聞出身の徳岡孝夫さんも奥さんを先になくしている。 『妻の肖像』 (文春文庫)という追悼本を書いている。感動的な一冊だ。
川本三郎さんも奥さんを先になくし、追悼本『いまも、君を想う』 (新潮社)などを上梓している。二人とも、もちろん、塚本さんも再婚などしていない。
誰かさんのように、浮気したりせず(?)、妻をひたすら愛する人は、離婚することもなく、二人を分かつのはただ「死別」のみか。
我が家の古女房は、元気で食欲旺盛で、日々、体格の向上に励んでいる。このままだと向こうが「未亡人」になる可能性が高く、「男やもめ」にはなれそうにない。これから先の我がセカンドライフ、どうなることやら。

この前も「お互いに葬儀はしないでいよう、戒名も不要でいいよな」といっていたら、古女房が、「でも家であなたの葬式しようかしら。お香典はいただき、ただし、お返しはなし、その代わり、家にある本、好きなだけもっていってくださいとやろうかしら。古本屋やブックオフに売却する前に、少しでも減らしたいから……」と。ううむ、お好きなように……。でも「エロス本」コーナーの本は、お返しの品にしないほうがいいかもよ。

ともあれ、ネバーセイネバー。あとは野となれ山となれ!
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