古本虫がさまよう 「イアン」といえば、「慰安(婦)」? いやいや、イアン・フレミングならぬイヤーン・フラミンゴ? いやいや、「重厚長大」作家のこと? イアン・カーショーの『ヒトラー(下):1936-1945 天罰 』には驚いた?
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「イアン」といえば、「慰安(婦)」? いやいや、イアン・フレミングならぬイヤーン・フラミンゴ? いやいや、「重厚長大」作家のこと? イアン・カーショーの『ヒトラー(下):1936-1945 天罰 』には驚いた?
(2016・5・11・水曜日)





先日、某書店で、驚くほど分厚い新刊本を手にした。イアン・カーショーの『ヒトラー(下)1936-1945 天罰 』 (白水社)という本だ。連休前に出たばかりのようだ。パラパラとめくると2段組。ざっと1150頁! お値段が本体価格11000円。税込だと11880円だ。
あぁ、こんな本を作る編集者は、藤波健さんだろう(と思った。訳者あとがきなどにお名前が出ているかもしれないが、それを読んで買いたくなると拙い、怖い、古女房に怒られる――から見もしなかった?)。

この本、下巻だが、上巻は数カ月前に出ていたようだ。気づかなかった。こちらは下巻より少し薄くて安い。 『ヒトラー(上)1889-1936 傲慢』8,640円。800頁程度。

それにしても、 なんという重厚長大本だ。普通、本といえば、少々分厚くとも、500頁前後ぐらいが普通。

イアンといえば、同じイアンであるが、全くの別人のイアン・トールという人の『太平洋の試練 ガダルカナルからサイパン陥落まで』 (上下・文藝春秋)は、400頁(上)と480頁(下)ぐらいの分量。お値段もどちらも本体価格1900円。これとても、活字ギッシリ本(45字×20行)で重厚長大本といえそうだが、白水社のイアン・カーショーの本が重厚長大度(本の分厚さ・分量・活字量)からして「大学生」としたら、イアン・トールの本は「小学生」といえようか? 

以前、白水社の「重厚長大」本にこんなエールを送ったことがある。


「駅弁古本屋」時代だが、重厚長大・白水社頑張れ!
2011/08/09(火) 06:16:43
  産業・経済は重厚長大ではダメ、軽薄短小がイイんだということが20~30年ぐらい前から言われるようになった(と記憶している)。ラジカセにしても昔は「重厚」な方が有り難みがあったが、段々スリム化していき、いまは…。

 出版、本も重厚長大ではなく軽薄短小の時代で、文庫や新書などが辛うじてそこそこ売れているようだ。通勤電車の中で読むにしてもハンディなのが助かる。そういう時代にあって、白水社が分厚い歴史書を続々と出しているのには近年注目していた。

 フィリップ・ショートの『毛沢東 ある人生上下』『ポル・ポト ある悪夢の歴史』、デイヴィッド・レムニックの『レーニンの墓 ソ連帝国最期の日々上下』、アントニー・ビーヴァーの『ベルリン陥落1945』、アン・アプルポームの『グラーグ ソ連集中収容所の歴史』……と。アプルポームさんが来日した時、講演を聴きに行ったことがある(が、この本も前半を読んで、後は積んどく中?)。

 これらの重厚長大本の訳者あとがきに出てくるのが、決まって白水社編集者・藤波健という名前。何者だろう?と思っていたら、昨日の毎日の夕刊に登場していた(「白水社近現代史本を続々刊行」「延べ1万ページ」「編集者・藤波健さんに聞く」)。

「これらの本をほぼ一人で手掛ける」「藤波さんは、英米の高級紙の書評などを参考に、邦訳する本を選ぶ」「ソ連崩壊後に公開された資料を駆使しており水準が高い」本を選んでいるとのこと。
 彼の写真が出ているが、ちょっと「異様?」。いやいや。パンクファッションに身を包む異色の編集者でもあるとのこと。同志社大学出身のようだ。「私の編集した本は、枕としても使いやすい。今後も、さらなる厚みに挑みます」と洒落ている。

 毎日の記事の本のリストには出ていないが、この前少し触れた『ジョージ・オーウェル日記』も彼の担当本のようだ。これは上下二冊ではなく一冊本だから枕にするよりは漬け物石にしたほうがいいのかもしれない。

 こうした重厚長大本は、3000円~5000円、初版は2500~3500部程度だが、「高価なため通常の新書以上の売り上げになる」とのこと。しかし、やはり大変ではないか。草思社も、以前、こうした「反共リベラル」的色彩の濃い歴史書をよく出していたが「倒産」。文芸社の「子会社」となって再起してからも、相変わらずそうした路線のいい本を訳出しているのは結構なことだが、僕などでもついつい新刊としてではなく古本屋などで購入したりすることが少なくない。図書館でパラパラとめくって、これは買わなくていいかと判断することもある。

  白水社の本も新刊として購入したり、古本屋で見つけたり、古本屋で出るのを待とうとしたり…(どうせ積んどくするから?)と。いい読者とは言えないかもしれない(8000円以上する白水社の本を購入した直後、某セコハン古本屋で5000円で売っているのを見て、思わず「……」となってしまったこともある?)。

  みすず書房や原書房もこうした重厚長大本をまだ出している出版社。みすずから出たアントニー・ビーヴァーの『スペイン内戦上下』は珍しくちゃんと読んだ。旧来の単細胞的なファシスト対民主主義として「内戦」を見るのではなく、ソ連の傀儡としての「民主主義」にも踏み込んで分析していた。この本が白水社ではなくみすず書房から出たのは「?」と思っていたが、翻訳権を巡る闘争? トニー・ジャットの本もみすずが出しているが、白水社から出てもおかしくない?

 かつての大宅壮一時代の「駅弁大学」ならぬ「駅弁古本屋」(ブックオフなど)の時代となり、図書館もヘタに充実し、新刊本を定価で購入する人が減少もしてきている。それでも図書館で借りても二週間(三週間)で読みきれないだろう、買え!という迫力のある本は立派? 
 神保町の古書会館のそばに白水社があり、その社看板をいつも見上げている。学生時代は、ドイツ語やフランス語のテキスト関係の本やら文庫クセジュの出版元というイメージが強かったが、今や重厚長大出版社か。頑張れ、せいぜい協力しまっせ。



「せいぜい協力しまっせ」と書いたものの、上下二冊買えば、2万円を越える。アマゾンのレビューなどを見ると、読みごたえがあるのは間違いなさそうだ。しかし、問題が……。

『ジョージ・オーウェル日記』は読了した。だが、 『ジョージ・オーウェル書簡集』は、途中まで読んだものの、行方不明になってしまった(古女房が古本屋に売ったかもしれない? だが、売れないように、とにもかくにも傍線を引きながら読むから…)。フィリップ・ショートの『毛沢東 ある人生上下』『ポル・ポト ある悪夢の歴史』、デイヴィッド・レムニックの『レーニンの墓 ソ連帝国最期の日々上下』、アントニー・ビーヴァーの『ベルリン陥落1945』、アン・アプルポームの『グラーグ ソ連集中収容所の歴史』は、拾い読みはしているものの、「完読」した記憶はない(と思う)。これも行方不明になって久しい。

ちなみに、イアンといえば、007シリーズの著者、イアン・フレミングの名前が浮かぶが、彼の本にこんな重厚長大本はなかったかと。また、清水正二郎訳の、イヤーン・フラミンゴの『女体のルーレット』(浪速書房)、『俺は女に弱いんだ』(浪速書房)、『ピンク07号の好色作戦』 (浪速書房)なども薄い本。同じ「イアン」でも、おお違い?

ところで、イアン・カーショーの今回の本に匹敵する本といえば、バーネット・ボロテンの『スペイン内戦 上下―革命と反革命』 (晶文社)だろう。これも上下二冊本。上巻は744頁で9720円、下巻は、836頁で11800円(のようだ。手元に本は見当たらない。これは横一段組だったか?)。こちらも2冊買えば2万円を越える。この前、神田古書会館の古本市で、上下二冊あわせて半額の1万円ぐらいで売っていたかと。半額でも二冊10000円。しかし、このボロテン、こちらは「完読」している。これは言うまでもなく「名著」。是非とも購読・一読する価値がある(図書館にもあるから借りて読むのも手ではあるが。上下二冊、普通の図書館なら延長すれば一カ月ぐらい借りられるから、ならば読破も可能?)。

それにしても、上には上がある。先日の書店、イアン・カーショーの本から少し離れたところに、小林公氏の『ウィリアム・オッカム研究 政治思想と神学思想』 (勁草書房)なる本があった。1118頁の15120円だ。もはや……。この本、区立図書館で所蔵しているのは文京区。借りて読むことは可能だ。

ともあれ、ネバーセイネバー。あとは野となれ山となれ!
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