古本虫がさまよう (閑話休題)アンチ・ゴルフの竹内宏さん、さらば!
2017 07 / 06 last month≪ 12345678910111213141516171819202122232425262728293031≫08 next month




(閑話休題)
アンチ・ゴルフの竹内宏さん、さらば!

(2016・5・6・金曜日)




帰宅して、強靱(狂人?)国家・北朝鮮の党大会云々のニュースを、ラジオで聞いていたら(テレビ音声を)、竹内宏さんが4月30日に亡くなっていた、享年85とのニュースが流れた。

ネットには以下のようなニュースが。

竹内宏氏死去 静岡県立大地域センター長 85歳
@S[アットエス] by 静岡新聞 5月6日(金)17時7分配信
 静岡県立大は6日、同大グローバル地域センター長の竹内宏(たけうち・ひろし)氏=静岡新聞社客員論説委員=が4月30日、慢性閉塞(へいそく)性肺疾患のため神奈川県内の自宅で死去したと発表した。85歳。葬儀は近親者のみで行った。県立大が後日、「お別れの会」の開催を予定する。
 竹内氏は静岡市清水区(旧清水市)生まれ。旧制静岡高、東京大経済学部卒。1954年に日本長期信用銀行(現新生銀行)に入行し、専務取締役調査部長、長銀総合研究所理事長などを歴任。84年の設立当初から県のシンクタンク静岡総合研究機構理事長も務めた。
 2011年に県公立大学法人理事長に就任し、12年から現職。
 経済、産業分野の専門家として第一線で活躍し、県の“ふじのくに”づくりリーディング・アドバイザー顧問、県経済産業政策会議諮問委員などとして本県の発展にも尽力した。清水次郎長を研究する「次郎長翁を知る会」の最高顧問という顔もあった。
 ■本県の発展に寄与 鬼頭宏県立大学長のコメント
 突然の訃報に接し、心からお悔やみを申し上げる。竹内氏は大学法人の経営を統括するほか、本県が抱える地域課題についてグローバルな視点で研究を行い、成果を国内外に広く情報発信して地域の発展に大きく寄与した。功績に心から敬意を表し、冥福をお祈りする。静岡新聞社



以前、彼の自叙伝を読んで、以下のような感想を綴っていた。再録をもってご冥福を祈る次第。アンチ・ゴルフということで好きだった?



   

「週末ゴルフはブルジョアジーの遊び」と喝破した竹内宏2011/09/05(月) 06:46:11

竹内宏氏の『エコノミストたちの栄光と挫折 路地裏の経済学最終章』 (東洋経済新報社)を読んだ。懐かしい名前である。日本長期信用銀行に入社して調査部長として活躍したエコノミストである。テレビにもよく出ていて訛りのあるというか独特のしゃべり口を記憶している。路地裏シリーズの経済本を出していて何冊か読んだかと思うが、内容はもう覚えていない。長銀が「潰れた」との印象もあったが、その後もいろいろとやっていたようである。

 本書は自叙伝。大学で経済学を学び、マルクス経済学にもそれなりの魅力を感じつつも、実社会に出てからは調査部畑でリサーチの仕事に携わる。高度成長やらバブルやらもあって、海外出張も華やかだったようだ。特に書いていないが、ビジネスクラスで優雅に出張したのかもしれない。 「元気な時間を銀行の仕事に取られるのは損だと思い、銀行から下宿に帰るとすぐに寝て、朝三時頃起きて、マルクスの『資本論』や『ドイチェ・イデオロギー』などを読み、くたびれた頃出勤した」こともあったそうな。
 
 早寝早起きは僕もよくやってはいる。毎日というわけにはいかないが、夜十時に寝て、朝四時に起きて、趣味の読書やら仕事やら……。

「大会社の管理職にはゴルフをする人が増えた。しかし、マル経出身のエコノミストは、ゴルフをしないという暗黙の約束を交わしていた。ゴルフはブルジョアジーの遊びであること、社会の動向を批判的に観察すべきであるにもかかわらず、自ら社会の軽佻浮薄な動きにはまり込むのは許されないこと、週末を遊びに費やすのは時間の空費になること、などがその理由だった。私はずっとこの時代遅れの約束を守った」と記しているのには共感を覚えた。
 
 ゴルフを通じての友情だのお仲間意識形成だの、勿論得るものもあるだろうが、一人で古本屋に出掛ける方がはるかに時間と金の有効な使い方だろう。運動量だって、ゴルフも結構あるだろうが、運動後にビールを飲んだりしたら消費カロリーも大したことはあるまい。こっちは学生時代からテクテク歩いて一日二万歩弱。昔も今も煙草飲みがわんさかいる喫茶店など御免被るし、コーヒー代でさらに古本の文庫が何冊か買えるかと思うと立ち寄ることもあまりなかった。収穫はさっさと帰宅して家でビールを飲みながら(?)眺めるのをモットーとしていた。消費カロリー総体ではゴルフに劣ることもあるまい。コストは……。
 
 時々、ゴルフ場のロッカーに入れていたキャッシュカードなどが盗まれたりして悪用される例が多いという新聞記事を見ると、犯人はケシカランと思うと同時に、まぁ、こんなブルジョアスポーツをしている故の因果応報の面もあるなと感じたりもしたものだった。カードぐらいポケットに入れて肌身離さず持ち歩くぐらいの「危機管理」意識もないのか、と言いたくもなる。

 調査部のさまざまなメンバーとの交遊や活躍ぶりを描いているのも回顧的ではあるが、日本経済との関連もあって、それはそれで面白くは読めた。「秋岡栄子」という中国がらみでよく出てくる人は、もしかして、かの有名(悪名?)な人の娘さんなんだろうかとも思ったが?

 個人としては長銀ときくとワイドが思い浮かぶ。少しは利息というか利子か何かがよくて少し買っていた。頭取か何かが我が銀行はオープンです、消費者の皆様のために……とかチラシで書いていて、後日逮捕されて「?」と思ったりもしたような記憶がかすかに残っているのだが、最高裁では無罪になったとか(本書を読むまで知らなかった)。
 
 竹内氏の回想録を読みつつ、まぁ、色々とあったにせよ、恵まれた状況下で研鑽研究に務められたのは不幸中の幸いであったとはいえようか。竹内氏も六十代過ぎになった時とはいえ、月給が十万円になっていた時期があったという。
 
 同僚の小沢雅子『新「階層消費」の時代』 (日本経済新聞社)も読んだ記憶があるが、右翼がこの発想は共産党と同じだと文句を言って強請ってきたという。
「長銀の総務部にしてみると、右翼に店頭で暴れられたならば、銀行の信用は失墜すると考え、金銭で解決した」という。
 こんなことをするから、ヤクザがらみの不良債権も出てきて「公的資金」に頼り、低金利で預金者を「搾取」せざるをえなくなるのだろう。ただ階層消費と言っても、当時もそういうものかいなと疑問に感じたし、今でもそうだが、所詮は「趣味消費」の時代であって、高級サラリーマンであっても、腕時計に何百万も注ぐ人もいれば、腕時計は八千円の中国製セイコーの自動巻きで十分という人も出てくるだろう。洋服だって、欧州メイドではなくユニクロで十分だという人もいる。腕時計や服装だけなら、年収数千万円と新入社員、フリーターとて格差のないことだってありうるわけだ。昔は貧乏人は継ぎ接ぎだらけの服を身につけていたが、今はお金をかけて継ぎ接ぎだらけのジーンズなんか着て喜んでいるバカが少なくない。
 
 音楽の趣味だって、読書だって、図書館を利用すれば、知的格差はあまりないことになる。だから、何でも階層間の消費の格差が生じるとワンパターンで考えるのもヘンな単細胞的発想ではないかと感じる。
 
 そんなことを感じながら、通読した次第。長銀は、竹内氏以外にも日下公人氏やら「顔の見える真っ当なエコノミスト」を結構輩出していた点で、他行よりはマシだったといえようか。竹内氏らと交遊関係のあった飯田経夫氏や香西泰氏なども好きなタイプの経済学者だった。そんな古き時代を思い出させてくれる回顧録だった。


ともあれ、ネバーセイネバー。あとは野となれ山となれ!


スポンサーサイト
 | 訃報  | TB(0)  | CM(0) | Page Top↑
Secret




TrackBack URL
→http://kesutora.blog103.fc2.com/tb.php/2508-4771a8ed

プロフィール

最新記事

最新コメント

最新トラックバック

月別アーカイブ

検索フォーム

RSSリンクの表示

リンク

ブロとも申請フォーム

QRコード

カテゴリ