古本虫がさまよう 大学新入生が読むべき本とは?
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大学新入生が読むべき本とは?
(2016・4・14・木曜日)






都内では櫻も散り始めたが、入学式が各大学で行なわれているようだ。一昨日の東大の入学式で学長が新入生に対して「みなさんは新聞を読みますか」と問いかけ、国内外の新聞などを読む習慣を身につけるよう呼びかけたということが、一昨日夕刊の各紙に出ていた。高校時代までは、自宅で新聞を購読していれば、手にすることもあったかもしれない。某新聞なんかが、大学入試に出ますよ、当新聞のコラムが…とはやしたてるからということで購読していたかもしれない。しかし、節約時代、上京して一人で生活するようになると、真っ先に新聞代は節約割愛の対象となる学生もいるかも。ネットの無料登録で、大体の新聞はざっとは読めるご時世でもあるようだから。ただ、やはり「紙」で読むほうが、読みやすいといえば読みやすいような気もする。旧世代故の古い感覚かもしれないが。

 僕は大学に入ってからは、産経と朝日の2紙を取っていた。好対照の論調の新聞を読むことによって、まぁ、いい意味で複眼的な視野が養えた(であろうか?)。おおむね、朝日の左翼偏向体質を実感することが多かったような記憶があるが。福田恆存氏監修の『新聞のすべて』 (高木書房)や、ミニコミの「言論人」「月曜評論」も定期購読していたから、まぁ、当時から変な学生だったのかもしれない。しかし、その時の新聞や本代に費やした毎月数千円(数万円?)の「投資」は多少なりとも、そのあとの人生の行路の上では役立ったのではないかと思う。

「新聞を読む」のではなく「新聞を配達する」ことによって、学資を得ている新聞奨学生もいることだろう。この前も、すこし、そのことに触れたけど、新聞奨学生というのは、大学生を対象に、新聞配達をすることによって、住み込みの住居が「無料」で提供され(光熱費は実費負担)、「賃金」として毎月10数万円支給され、かつ返済不要の奨学金が年間100万円程度支給される制度のこと。食事付きの個室を借りられて「給与」や「年間授業料」分のお金もそこそこ稼げる。夕刊の配達がない産経ならいいかな?

各種の奨学金ローンは非人道的だとかいろいろと言われるけど、家が貧しくとも、勉強ができたら防衛大学校や気象大学校を目指すなり中堅私立大学の授業料免除学生になるなり、新聞奨学金を得たりといろいろと工夫することは、日本では可能だろう。

そういう自助努力をしないで、勉強もせずに、ただ、ラクして大学に進学したい、進学できないのは、塾にもいくお金がなく貧乏だから…と責任転嫁している怠惰な人もいるのかもしれない。生活が苦しいからと、水商売で売春しながら学業もそこそこ堅実にやっている女子学生の実態をルポした本もある(中村淳彦氏の『女子大生風俗嬢 若者貧困大国・日本のリアル』朝日新書)。まぁ、人それぞれではあるが……。

ともあれ、加藤秀俊氏の『取材学 探求の技法』 (中公新書)を再読。昭和50年の刊行。1975年。40年以上昔の本。大学時代に一読した覚えがある。

学生向けに、膨大な情報をいかに取捨選択して知的な生活に役立てるかを論じた本だ。新入生が読むと、いろんな面で役立つ本ではないか。

ただ、刊行された時代が時代なだけに、百科事典などをいかに使いこなすかといった記述も出てくる(今ならウィキペディアか……)。新聞は朝夕刊で400字500枚分の情報量がある…とも。新聞の索引として縮刷版をいかに使いこなすべきか…など。
古本屋の効用なども。文字情報だけでなく、インタビューや現地訪問なども調査の上でいかに有効か……。タダで手に入る情報だけで現代社会についての論文を書く、そのために街角で配られるチラシやビラやカタログやマッチを集めて書いたりする若者を紹介したり……。

インターネットの時代になっては、ちょっと古臭く、今では通用しないものもあるかもしれないが、探求の技法のノウハウとしては、まだまだ参考になるだろう。


いくらネットで、タダの情報が氾濫し、昔と比べて品切れ絶版本が入手しやすくなったとしても、例えば、ジェームズ・ヒルトンを研究していれば、ヒルトンの生誕の地や墓場を詣でたくもなるだろう。現地訪問は、やるとやらないとではインスピレーションが違うだろう(と思う)。そうしたことも加藤氏は指摘している。


引き続き、藤井誠二氏の『大学生からの「取材学」 他人とつながるコミュニケーション力の育て方』 (徳間文庫カレッジ)を読んだ。ノンフィクション作家として活躍しながら、大学の講師として「取材学」を講義。その授業内容などについて書いた本。加藤氏の本と重複するところもあるが、21世紀版取材学といったところだ。徳間文庫といえば、通俗小説(?)を読むことが多いが、以前の「徳間教養文庫」が形を変えて、「徳間文庫カレッジ」として最近スタートしているようだ。その中の一冊が本書。

取材のノウハウを自らの体験から論じたり、また、知人のジャーナリストなどを紹介したり…と。まぁ、その知人の中には、僕の嫌いなタイプの人もいるけど、著者自身、加害者、被害者の人権問題などに関して、現場での取材を通じていろいろと変遷もあり、重厚な視点を有しているので、特に気にならずに一読できた次第。手紙をまずは出して、取材の意図を相手に伝える…。それで成功する事例もあるようだ。「電話」「メール」では「ダメ」でも、手紙(なるべく肉筆がいい?)なら、突破口が開けることもあるのかもしれない。

さらに黒田清氏の『体験的取材学 いい仕事をするための主観技術』 (情報センター出版局)なる本もあったなと、ひもとく。読売新聞大阪本社社会部記者出身で、若干リベラル左派的なところもあるジャーナリストであったが、いろいろと。だが、加藤氏並みに「昭和」の新聞記者であるから、浪花節というのか、義理人情というのか、いろいろと、クラシックな体験談も少なくない。イマドキの若い人にどれだけ感銘を与えられるか…。でも、一読して損はない本。大学の図書館にもあるのではないか。


少し新しい形の知的読書のノウハウなどを学ぶ上で新入生のみならず一般人向けに役立つのは、成毛眞氏の『実践! 多読術 本は「組み合わせ」で読みこなせ』 (角川oneテーマ21)、 『情報の「捨て方」 知的生産、私の方法』 (角川新書)。最近、読んだばかり。

成毛氏も子供時代、百科事典をじっくり読んでいたとのこと(『情報の「捨て方」』)。「暮らしの手帖」も愛読していたとか。そのあたり、僕も似たような体験を。また学生時代には古本屋をよく歩いたとのことだが、近年は、新刊書が多くて古本を読む暇がないとのこと(『実践!~』)。そういう人もいる。

池田信夫氏の『使える経済書 『資本論』から『ブラック・スワン』まで』 (NHK出版生活人新書)も、書評本であるが、アマゾンなどの利用術にも触れている。

たしかに「アマゾン」は本の入手方法を大きく変えた。ネットの「日本の古本屋」なども、図書館の横断検索などもである。

成毛氏も本屋で本を見て、アマゾンで注文することが多いという(本屋で購入して持って帰るのが重くて大変だからと)。ううむ…。神田三省堂などは15000円以上購入すると、無料で自宅まで配送してくれるサービスを以前やっていたかと思うが、いまはどうなっているのだろうか?

古本市を行脚していても、重くて困ることはある。最近お見かけしないが、古本市などに年輩の男性(70代後半)が若い女性を連れて来ているのをよく見かけた。どこかの大学の先生か。教え子を連れて研究テーマの本を物色しているような雰囲気。買った本は女性が持ち運んでいた? そんなふうに、僕も古本運びをやってくれる人と同行できればいいのだが。古女房はそんなことをするわけもない。お金持ちの古本ハンターの老人たちが、土曜日のそうした古本担ぎのバイトとして学生を採用するといいかもしれない。そういうバイトなら、喜んでしたことだろうが。そんな中年男と若い女性の古本ラブロマンス小説などを書く人はいないのか?

ともあれ、ネバーセイネバー。あとは野となれ山となれ!
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