古本虫がさまよう さらば五月書房&ゾルゲの亡霊&南沙織「春の予感」?
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さらば五月書房&ゾルゲの亡霊&南沙織「春の予感」?
(2016・4・5・火曜日)






太田尚樹氏の新刊の『尾崎秀実とゾルゲ事件 近衛文麿の影で暗躍した男』 (吉川弘文館)と、佐々淳行氏の『私を通りすぎたスパイたち』 (文藝春秋)に触発されて読み始めた尾崎秀樹氏の『生きているユダ ゾルゲ事件-その戦後への証言』 (角川文庫)を読了した。

朝鮮戦争は韓国側の侵略によって始まったという認識を示したりしていて、いささか共産党(細胞)らしい筆致には若干辟易とした。ところどころに傍線を引きながら、 「そんなアホな!?」という文句を書き加えたりした。
しかし、「裏切り者・伊藤律」に対する恨みというか不信から、兄秀実の実像を探求しようとし、病身で生活保護を受けながら執念で書き上げたノンフィクションとして、それなりに面白く読める一冊ではあった。

もっとも、伊藤への批判に関しては、尾崎ゾルゲ事件では当てはまらないといった視点からの批判本も何冊かあるようだ。
加藤哲郎氏の『ゾルゲ事件 覆された神話』 (平凡社新書)や、渡部富哉氏の『偽りの烙印 伊藤律・スパイ説の崩壊』 (五月書房)など。

突然だが、五月書房といえば、ネットにこんなニュースがあったのに昨日気づいた。

東京の出版社「五月書房」が破産手続の開始決定受け倒産
2015年12月12日 04:31 | 国内倒産 | 倒産, 出版, 官報, 破産
東京の出版社「五月書房」が破産手続の開始決定受け倒産
官報によると、東京都千代田区に本拠を置く出版社の「株式会社五月書房」は、12月2日付で東京地方裁判所より破産手続の開始決定を受け倒産したことが明らかになりました。同社のホームページによると、1946年に創業の同社は、シュペングラー「西洋の没落」の完訳や「魯山人著作集」などユニークな視点の出版を主力に事業を展開していました。事件番号は平成27年(フ)第10063号で、破産債権の届出期間は2016年1月6日まで、財産状況報告集会・一般調査・廃止意見聴取・計算報告の期日は2016年3月7日までです。



五月書房は左翼的な出版物も数多く出しているが、ハーヴェイ・クレア& ジョン・アール・ヘインズ& フイルソフの『アメリカ共産党とコミンテルン 地下活動の記録』 (五月書房)は、訳者の解説の一部にいただけないものがあったが、本編自体はまともな内容。
というのも、『ヴェノナ 解読されたソ連の暗号とスパイ活動』 (PHP研究所)の著者の一人であるジョン・アール・ヘインズ(&ハーヴェイ・クレア)も関与しているからだ。

尾崎ゾルゲ事件にしても、アメリカ国内の共産主義者の暗躍にしても、やはり無視できない謀略の数々があった事実を見落としはなるまい。尾崎やゾルゲは「平和」のために活動したのではなく、日本の向かう矛先をソ連ではなくアメリカに向かわせ、ソ連や中共(中国共産党)が「漁夫の利」を得るようにするために、「南進」を煽動したのだから真の意味での「平和主義者」でもない。もちろん英雄でもなんでもない(ソ連にとっては「英雄」になろう。もう30年以上前に、バクーにあったゾルゲを顕彰する、彼の目を形どった不気味な記念碑のある公園を訪れたことがある。こいつのためにスターリンは安心してシベリアの軍勢を対独戦線に引き戻せたのかと感慨深く眺めたものだった?)。

そのほかにも、五月書房は、『なぜリーダーはウソをつくのか:国際政治で使われる“5つの戦略的なウソ”』『大国政治の悲劇 米中は必ず衝突する!』 (ジョン・ミアシャイマー)、『胎動する地政学---英、米、独そしてロシアへ』 (コリン・グレイ、ジェフリー・スローン編)、 『幻想の平和---1940年から現在までのアメリカの大戦略』 (クリストファー・レイン)などの国際政治を学ぶ上での良書を出していた。

五月書房は、10年ぐらい前に、一度、本を買いに出掛けたことがある。神保町駅から歩いて数分のところにあった。古本屋街とは少し離れた通り。水道橋寄りだったか。たまたま、昨夜、神保町の某禁煙パブにて知人と歓談のため、神保町界隈を歩いたが、芳林堂書店の「倒産」といい、五月書房の「倒産」といい、酒場に向かうところに咲いていた櫻並木の櫻が寒風(夕方以降冷えてきた)に散るのを見ながら、なぜか南沙織の「春の予感」を口ずさんでいた。

尾崎亜美さんの作詩だったか。

皮肉なジョーク 追いかけるのはもうおしまいにしましょう ほおづえつく ふたりのドラマ ワインに揺られて春の予感 そんな気分 時を止めてしまえば 春に誘われたわけじゃない だけど 気づいてI've been mellow グラス越しに あなたの視線感じて心波立つ今なら 素直に……

そういえば、これらの本の訳者である奥山真司氏が聞き手となってまとめたであろう、エドワード・ルトワックの『中国4.0 暴発する中華帝国』 (文春新書)を読んだ。 『自滅する中国 なぜ世界帝国になれないのか』 (芙蓉書房)の要約版といった感じか?


内容紹介→2000年以降、「平和的台頭」(中国1.0)路線を採ってきた中国は、2009年頃、「対外強硬」(中国2.0)にシフトし、2014年秋以降、「選択的攻撃」(中国3.0)に転換した。来たる「中国4.0」は? 危険な隣国の未来を世界最強の戦略家が予言する!

一読すると、なんとなく、まだまだ日本、大丈夫、中国を不必要に恐れるな?という感じにもなる本であった。

ともあれ、ネバーセイネバー。あとは野となれ山となれ!
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