古本虫がさまよう 風前の灯火か、「日米安保体制」 消えない「空想的平和主義」…
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風前の灯火か、「日米安保体制」 消えない「空想的平和主義」…
(2016・3・11・金曜日)






昨年10月に刊行されていた高坂哲郎氏の『世界の軍事情勢と日本の危機』 (日本経済新聞出版社)を遅ればせながら読んだ。非常に感銘を受けた。小泉元首相ではないが「感動した!」だ。


内容紹介
いま、なぜ日本の安全保障体制を見直す必要があるのか。
20XX年、複合戦に日本が沈む!? 周辺国や過激派組織が国際秩序の変更に力づくで挑み、
戦争の形態も激変しつつある現在、日本は安全保障体制の弱点を修正できないままでいる。日本が国防の多くを依拠する同盟国・米国は、財政や戦争疲れによる制約が高まっているが、安保政策をめぐる日本の国論は深く分断され、厳しさを増す国際情勢に対応できない状況だ。このままでは日本が危ない。本書は、いま世界では何が起き、どんな安全保障上の脅威があり、 日本人の命と平和を守るために何をすべきなのか、国際政治、軍事バランスの観点から説き明かす。 現実的かつ骨太の軍事・安全保障論を提示する全国民必読の一冊である。



いや、本当に「全国民必読の一冊」だ。余計な解説不要。帯にあるように「脅威を直視せよ」である。

第一章のシミュレーションの「近未来シナリオ」「20XX年、複合戦に沈む日本」「中国とロシア東西ユーラシアで同時侵攻」「自国民の不満を国外にそらした中露、動けない日本」「厭戦の米国、対中融和に傾く」「テロ続発の日本、あっさり無政府状態に」「中国軍特殊部隊、日本各地に突如出現」「日米安保、突然の終焉」「中国の核の恫喝に屈する米国」「自衛隊、まさかの『不戦敗』」「中国傀儡政権下の日本」「日本を足場に北極海を狙う中国」……


沖縄は「琉球人民共和国」として日本から独立するものの、時をおかずにして「琉球人民共和国」の要請という形で、中国への併合が決定される。少なくない日本人住民が中国大陸に強制移住させられ、沖縄は中国共産党エリートたちの保養先となる。移設が進んでいなかった普天間基地は、中国軍の航空基地となり引き続き使用されることになる。


「かつて沖縄で米軍基地反対闘争を繰り広げていた本土出身の運動家の男性は、強制移住先の中国西部新疆ウイグル自治区で『こんなはずじゃなかったのに』と悔し涙を浮かべていた」

戦慄するが、ありうるシナリオだ。石原慎太郎氏の傑作小説(?) 『日本の突然の死 亡国』 (角川文庫・上下二巻。単行本版→『亡国 日本の突然の死 上下』にも、それと似たシーンがあったかと。今だと志位さんが中共の独裁者に殺されるのかな?
そういえば、今日は3・11だけど、原発稼働を続けた場合の最悪のシナリオを描いた北野慶氏の『亡国記』 (現代書館)や、若杉冽氏の『東京ブラックアウト』 『原発ホワイトアウト』 (講談社)に感銘を受ける人なら、こういうシナリオにも感動してもおかしくないはずだ。片方しか見ないのはおかしいだろう。

そのほか、「ネバーセイネバー」の言葉も紹介されているが、同感。原発も攻撃の対象として考えれば「少なくする」べきだと。同感。いや、「少なくする」より「なくする」ほうがいいだろう。一刻も早く。左翼的な価値観ではなく、国防上の観点からも「原発ゼロ」のほうがいい。フクシマを見て、いざとなったら原発を通常ミサイルで攻撃することを思い浮かべない軍人がいるのだろうか?(もっとも、攻撃後、支配するために、ことさら汚染された地域を拡大することは得策ではないだろうから、限定的に威嚇などのためにやる程度にすることもありうるが)。

ソ連に手痛い眼にあっているフィンランドが、核攻撃や原発事故などにも対応可能な「地下室」完備の施設をいかにして建設しているかのレポートも秀逸だ。

また、普通の軍事常識を超えた「異常」「超」の軍事攻撃、謀略をする中共に如何に警戒するべきか。かといって、戦前の軍国主義の反省を欠いてはダメだとの指摘もなるほどとも。

「危機管理の基本的な心得として、しばしば言われるのが『考えられないことを考えよ(シンク・アンシンカブル)』『そんなことは決して起きない、とは決して言うな(ネバー・セイ・ネバー)』といった警句である」

それにしても、ロバート・エルドリッヂの『オキナワ論 在沖縄海兵隊元幹部の告白』 (新潮新書)でも指摘されていたが、危機の時の「お役所的対応」には呆れる。

高坂氏によれば、東日本大震災の時も、自衛隊がヘリから支援物資を投下しようとすると、国土省の担当者から「物資の投下は航空法に違反する」との指摘を受けたという。津波の犠牲者の遺体を収容しようとすると、「事故で死亡した遺体を正規の検死手続きを経ずに動かしたら法律違反だ。どうしても動かすならあなたを逮捕する」という警官もいたそうな。

エルドリッヂさんも、大震災の時、「薬一つにも細々とした規制があり、例えば『海外製アスピリンは500グラムだが、日本製は250グラムだから厚生省として受け入れられない』と言われる。非常時なんだから、真ん中の線で錠剤を半分に割ればいいじゃないか、と苛立ったりしました」とのこと。

エルドリッヂさんは、沖縄の海兵隊の文官であったが、米軍基地前での反基地闘争の違法行為を撮影した映像を公開したということで解任された人だ。もともとは学者肌。リベラル系学者の五百旗頭真さんの門下生。御厨貴さんなどとも交遊があったようだ。沖縄の地元新聞関係者ともつきあいがあったという。学問的に沖縄、尖閣問題などを分析した学術書も刊行している。 『沖縄問題の起源』 (名古屋大学出版会)、 『奄美返還と日米関係』 (南方新社)、 『硫黄島・小笠原をめぐる日米関係』 (南方新社)など。これらはまぁ、学術書で分厚くお値段も高いので図書館で借りて読むとしても、新潮新書はお買い得だ。

高坂氏とエルドリッヂさんの本。さらにはすでに紹介ずみだが、春名幹男氏の『仮面の日米同盟 米外交機密文書が明かす真実』 (文春新書)や伊藤貫氏の『自滅するアメリカ帝国 日本よ、独立せよ』 (文春新書)など、さまざまな日米安保体制弱体化論を前にして、「いつまでも極楽トンボの平和論が続くと思うなよ」というところであろうか。非武装中立論も、日米安保タダ乗り論も、吉田ドクトリンも、もう遠いむかしの「理論」でしかない。いずれも空想的平和主義に基づく妄想でしかない。

「文藝春秋」(2016年4月号)の中西輝政氏の『日本はもはや米国を頼れない』という論文も示唆に富む内容だった。

『日米安保肯定論』が勇気ある正論だった時代は、もう遠い彼方のこととなった。日本から「日米安保解消論」を言い出すまでもなく、事実上の「日米安保解体(解消)論」が、左右から、日米双方から「合唱団」となって声高に謳われるようになってくるのかもしれない。

それを阻止するためには、日米海軍共同製造・運用の「原子力空母五十六マッカーサー」「核ミサイル搭載の原潜」を、無利息無記名(完成時には試乗会ご招待付き?)の「空母国債」を発行して製造するとか、発想の転換で国防力強化をやるしかないのではないか。オリンピックの新スタジアム建設より、そういう建造のほうが肝要だ(保育園も必要でしょうが……)。そんな「建造(建設)国債」なら、僕でも100万ぐらい購入しますよ。

永田町に米軍住宅を建設するのもいい? 高級公務員の宿舎はどんどん売地になってしまっているが、そういうところに、「人質」として?

ともあれ、ネバーセイネバー。あとは野となれ山となれ!
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