古本虫がさまよう 図書館の功罪が問われる名作? 木山捷平氏の『酔いざめ日記』は買って読むべきか、図書館で十分か? それが問題だ?
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図書館の功罪が問われる名作? 木山捷平氏の『酔いざめ日記』は買って読むべきか、図書館で十分か? それが問題だ?(2016・3・1・火曜日)







木山捷平氏の『酔いざめ日記』 (講談社文芸文庫)を読んだ。


内容紹介→昭和七年(二七歳)から、亡くなる直前の昭和四三年(六四歳)までの木山捷平の日記、初文庫化。詩から始まり、昭和八年に太宰治たちと同人誌「海豹」創刊後、小説を発表し、様々な作家と交遊を深めた木山。
生活は困窮をきわめ、体調をくずしながらも書き続けた日々。
作家の心情、家庭生活、そして何よりも、自らの死までも、じっと作家の眼で冷静に描ききった生涯の記。



750頁もあって、本体価格2500円。文庫としては破格の値段。内容紹介では、「困窮」と書かれているが、たしかに、戦前戦時中戦後まもないころの日記を読むとそんな雰囲気もあるが、あとはまずまず。金策で四苦八苦しつつも家を購入。原稿料収入も金額を時々明記しているが、そこそこの金額。昔は原稿料も高かった?

昭和16年12月8日は、正午過ぎ(午後一時)に起床。「近所のラジオがシンガポールとか、ホンコン爆撃とか言っている。それで戦争の始まったのを知った」と。

昭和19年、20年の日記は焼失したので、当時交わした手紙などが代わりに収録されている。
日記ということもあり、さまざまな知人友人などの消息が記されている。

新居格氏死去(昭和26年11月16日付け。死亡日は11・15)など。

指揮権発動の犬養健が、文芸家協会に復帰しようとして反対が多かったとか。政治と文学は別だという作家もいれば‥など。へぇ、犬養さんて、元白樺派作家だったんだ。知らなかった。そんないろんな面白い話も出てくる。

夏の暑い時、 「室内で汗をふき、金玉行水をやる」 (昭和35年7月14日)
昭和36年4月11日には、銀座のバーで、 「ビール一本、一、八〇〇円」とのこと。昭和36年で1800円? 高過ぎ晋作? 帝国ホテルでもそんなにしない? いや、する?
ある出版社の新築ビル落成披露パーティに出席したら記念品が双眼鏡だったそうな(昭和41年3月7日)。双眼鏡?
自宅にはよく「オートバイ青年」がやってきては、数枚の原稿を回収(いまや、存在しない職業? いや、バイク便はまだある?)。

ビートルズ来日の際には、東京新聞の依頼で武道館にも行き観戦記(見聞記)を書いている。

古本屋山王書房店主の関口良雄の名前もチラホラ。

晩年、最後は「闘病記」に。手術やコバルト照射など。最後の最後は奥さんが日記を「代筆」。まもなく出る新刊のことを気にして「キソーメーボ」と紙に記したり。

図書館の棚にあったのをふと手にして一読。買って読んでも損はない一冊だったが‥‥。ゴメンなさい。講談社さん。でも、この本一冊で、図書館に絶対置いてない(?)某特定嗜好分野の小説が、新刊なら4冊、ブックオフなら7冊、小田原の某古本屋なら、11冊は買えるからなぁ?

この『酔いざめ日記』、古本屋では、絶版だった単行本は4000円前後で売られていたようだ。それに比べると、文庫はまだ安い。でも、単行本も図書館にはそこそこ置かれていたようだ。図書館の功罪が問われる一作であった?

そういえば、以前紹介した、つげ義春氏の『つげ義春日記』 (講談社・昭和58年刊行)も「日本の古本屋」などでは八〇〇〇円前後のお値段がついてもいる。文芸文庫に入るといいのに? でも、つげ日記も、図書館で読めるのでは。古書価格があまりにも高いと図書館で十分という層もいる。消費縮小社会では、こういうふうに図書館は「活用」されていく?

ともあれ、ネバーセイネバー。あとは野となれ山となれ!
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