古本虫がさまよう 『昭和天皇独白録』より面白い『小泉純一郎独白』?
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『昭和天皇独白録』より面白い『小泉純一郎独白』?
(2016・2・26・金曜日)






常井健一氏の『小泉純一郎独白』 (文藝春秋)を読んだ。「独白」というと、 『昭和天皇独白録』 (文春文庫)を思い出すが、酒席での数時間の小泉元首相のインタビューをまとめたもの。いい感じで、「時事放談」というのか「政経論談」が語られている(女体遍歴告白はなし?)。そのほか著者の追記的な小泉論も収録されている。

即原発廃止に関しても、おおむね同感。首相の時には靖国参拝したけど、そのあとはしていないというのもなるほど。
「総理だったから行ったんだ。外交問題になるから行かないっていうのはどうかしている」というのは正論。チリでAPECがあった時、中国が「今、十一月だから、来年靖国神社に参拝しなければ会談する」というのでどうするかと外務省がいうので、 「来年の小泉は必ず靖国神社に参拝します。それで嫌なら会談しなくて結構です」と返事しろと指示したという。

そしたら、「(中国が)オーケーしました」「ただし、会談前後に新聞記者に聞かれても、来年参拝すると言わないでくれ」とのことで、靖国参拝は「適切に判断する」とコメントすることにして首脳会談は実現したという。これも「適切な判断」であったといえよう。

本書には出てこないが、初めて首相になった年に靖国参拝をする日を8・15ではなく変更して前倒しにしたことがあった。加藤紘一などの「容喙」だったのか知らないが、ここで躓いたのが残念だった。これを当初通りの日程でこなしていたら、そのあと、拉致問題の「前進」もあったし(外務大臣に田中真紀子起用の失策があったにせよ)、対中外交では一定以上の成果を残したことになったであろう。

それにしても、本書(『小泉純一郎独白』)にも名前の出てくる毎日の山田孝男氏の「原発言っておきたいこと」(毎日新聞・2016・2・22)は注目すべき記事だった。脱原発派の今中哲二「助教」の「最終講義」を聴講しての感想を綴っている。その中で、中国には56の原発があるとのこと。これについて、今中氏は「じつは、福島事故以前から中国が心配だった。新たなフクシマが起きるんだろうな、と思う。原子力をエネルギー源として利用するということは、同じような事故がまた起きると覚悟することですよ」と。

沖縄には原発がないからということで、また本州などの原発から離れているからということで、沖縄に移住しても、その分、中国に近くなるというリスクもあることを認識しておく必要があろう。「西へ」逃げればというわけにはいかない事態もありうる。
この前、紹介した俵万智氏の『オレがマリオ』 (文藝春秋)を見ても、彼女が息子のために仙台から「西へ」(石垣島)と逃避したことが歌われてもいたが……。

簡単に安心させてくれぬゆえ水野解説委員信じる

まだ恋も知らぬ我が子と思うとき「直ちには」とは意味なき言葉

子を連れて西へ西へと逃げてゆく愚かな母と言うならば言え


たしかに、日本国内の原発への某国のテロや、宇宙人襲来(?)や隕石衝突の可能性よりも、中国内のチェルノブイリ的、フクシマ的事故発生のほうが、可能性は高いだろう。その時は、石垣島も危うくなるかもしれない。

だからこそ、山田氏が指摘しているように「原発輸出どころか、原発の世界規模の縮小・制御を主導することこそ、日本が担うべき歴史的役割であると私は思う」というのには同感。「次世代エネルギー開発」「脱原発」(即時ゼロ?)に邁進すべきであろうに‥‥。

脱原発に関しては、左翼側ではない立場から、小泉氏や、本書にも出てくる加藤寛(『日本再生最終勧告 原発即時ゼロで未来を拓く』 ビジネス社)がいる。小泉氏は、慶應経済学部出身ということもあり、加藤ゼミではなかったものの、「経済原論」の講義を聞いて影響を受けていたそうな。自分の結婚式に、加藤氏を「恩師」として招いたとも。ううむ、うらやましい。僕なんか、「強制連行」ならぬ「強制講義」で、近経ではなく、時代錯誤のマルクス経済学者による「経済原論」を聞かされたものだ。近経とマル経とどちらかを選ぶという「選択の自由」がなかった。失業対策(?)としてのマル経強制講義だったのだから?

そのほか非左翼の竹田恒泰氏の『原発はなぜ日本にふさわしくないのか』 (小学館)や西尾幹二氏の『平和主義ではない「脱原発」』 (文藝春秋)もある。

ともあれ、ネバーセイネバー。あとは野となれ山となれ!
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