古本虫がさまよう 『原発護衛論』なき今、『海上護衛論』を読み、歴史は繰り返す?
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『原発護衛論』なき今、『海上護衛論』を読み、歴史は繰り返す?
(2016・1・2・土曜日)




出版(単行本や雑誌など)の売り上げが低下する一方だとの新聞記事を見たが、刊行点数は増える一方? 
我が家では日経と産経を購読しているが、両紙とも出版の広告は少なめ。そもそも週刊誌の広告は、週刊現代、ポスト、プレイボーイや写真週刊誌などは両紙には出ないのでは? ニューズウィークは小さめの広告が、日経には出ていただろうか(だが、目立たないから気づかない?)。週刊文春や週刊新潮の広告は日経や産経にも載るようだが。単行本などの広告は少ない。昔なら週刊誌の広告は、全国紙全部に載ったものだが。売り上げが低下するから、広告代も減っているのだろう。だから、広告の出稿も減る。書籍広告も、昔に比べて半分の大きさになったりもしているようだ。

ということもあって、おや、こんな本が文庫に入っていたのかということに、刊行されて大分たってから気づくことがある。

例えば、最近、おやっと思ったのが、大井篤氏の『海上護衛論』 (角川文庫)。平成26年5月の刊行。僕が読んだのは、同年11月刊行の再版。
単行本(日本出版協同)から出たのが1953年。そのあと、朝日ソノラマ文庫や学研M文庫などにも入ったのに、さらに角川文庫だ。角川文庫も学術文庫みたいなソフィア文庫ではなく一般文庫としての刊行。この本、たしか単行本版を持っていたかと思うが、長年積んどくしていた(当然行方不明?)。今回角川文庫版で一読したが大変面白い。マハンの艦隊決戦思想にとらわれすぎて、地味な海上護衛思想をおろそかにした明治の海軍軍人(秋山真之)のことなどが先ず指摘されている。このあたり、マハンが日米海軍軍人に影響を与えたことから論じている、イアン・トールの『太平洋の試練 真珠湾からミッドウエイまで』上下(文藝春秋)をこの前読んだが、それと関連して読むとなお面白かった。どちらも海軍中心の話だから。

石油などの運搬に欠かせなかった商船などのインドネシアから内地へのシーレーン、「海上護衛」を軽視し、対潜水艦対策を怠った日本海軍の欠陥を鋭く追求している。

1939年のアメリカの潜水艦戦術書では、「商船を目標にしてはいけない」という趣旨の記述があったそうな。しかし、真珠湾奇襲を受けて、その日、即日、「日本に対して無制限の潜水艦戦および航空戦を実施すべし」とアメリカは宣告する。要は、商船を手当たり次第攻撃撃沈せよということになった。大西洋にはドイツやイタリアの商船はなく、太平洋では、真珠湾で戦艦をやられ、潜水艦の補助的役割を発揮する余地がなくなり、だったら、商船破壊を最優先せよとなったわけだ。必要に迫られての転換だが、合理的である。

とはいえ、当時、アメリカの魚雷は命中しても爆発しない代物も多く、日本の駆逐艦の酸素魚雷に比べて貧弱だったという。そして開戦初期は、日本軍は連戦連勝で、商船などの破壊もあまりなかったという。だが、やがてアメリカの魚雷も改良され、商船どころか、潜水艦の敵である駆逐艦をも正面攻撃で撃破する潜水艦も出てくる。空母すらやっつける(完成したばかりの空母信濃が実戦に参加するまもなく曳航中に米潜水艦に撃沈されるという悲劇)。

戦局が不利になり、やっと商船保護のための海防艦の建造などに取りかかったりもするのだが‥‥。時遅し?

海上護衛司令部をつくって、護衛の全般指揮を取るようにしなくては‥となる。軍部より政府のほうがそうすべきだと促しもする。


「海上輸送に陸上輸送を少しでも多く協力させるようにする見地から、海上輸送を受け持つ逓信省と、陸上輸送を受け持つ鉄道省を合併し、運輸通信省をつくるという大改革を、十一月一日、早くも断行した。航空機増産のための軍需省もこのとき同時につくった。それなのに肝心の海上護衛については海軍当局がグズグズやっていて、まだその新司令部につける名称さえどうしよう、こうしようと迷っていた」
おお、どっかで聞いた話ではないか?

佐々淳行氏の『わが上司 後藤田正晴』 (文春文庫)にこんな官僚の世界が描かれている。

1983年の三宅島大噴火の時の住民避難の「危機管理」についての話。国土庁が担当だが、19関係省庁の担当課長を防災局に集めて延々と会議。内閣官房副長官が問い合わせをしても「会議中です」の一点張り。後藤田官房長官が何をしているかと問い合わせると、その対策会議の名称をどうするかで各省庁で議論しているとのこと‥‥。今も昔も官僚というのは、政治家が適切なリードをしないと、バカなことをやっているという証明であろうか。

原発の危険性が実証され、その対策(津波のみならずテロ攻撃など)を考えれば、原発護衛戦を真剣に準備しなくてはならなくなった。にもかかわらず‥‥。原発再稼働? じゃ、自衛隊などを常駐させなくていいのか? 原発廃止のほうが、合理的な対策ではないのか? 津波の対策などは多少は意識されても、根本的な被害対策を考えれば、津波対策以外にテロ対策などをもっとやらなくてはならないはずなのに、太平洋戦争(大東亜戦争)中の対潜水艦対策、海上護衛戦同様、あいまいな中途半端な対応しかしていないのではないか。リベラル左派(&左翼)も、原発のテロ対策云々というと、大好きな「あの国」のことが浮かんで、そんなことを言うのは「祖国」に対して拙いと内心思う人が少なくないのだろう?

『海上護衛論』を読み、「原発護衛論」なき現状を考え、寒々とした思いにとらわれた次第。日本、大丈夫なのか? 

ともあれ、ネバーセイネバー。あとは野となれ山となれ!
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