古本虫がさまよう みすず書房刊行の「グロスマン」の本は図書館で借りてまで読む価値がない?
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みすず書房刊行の「グロスマン」の本は図書館で借りてまで読む価値がない?
(2015・12・17・木曜日)







東京新聞夕刊(2015・12・16)の一面トップにこんな記事が出ていた(記事はネットウェッブからのコピペ)

貸し出しゼロ 読者を探せ 江戸川の図書館特別コーナー

2015年12月16日 13時58分
 図書館には、何カ月も先まで貸し出しの予約でいっぱいのベストセラーがある一方で、誰にも借りられず眠り続けている本もある。東京都の江戸川区立松江図書館が、そんな「一度も貸し出されたことのない本」ばかりを並べたコーナーをつくり話題を呼んでいる。 (酒井翔平)
 「あなたが一番目の読者です!」。手作りの看板が張られたカウンターに、四十冊ほどの本が並ぶ。館員がつくったポップ広告が添えられている。「晩酌のお供にいかがですか?」と紹介するのは「アラブ飲酒詩選」。岩波文庫の古典だ。「著者はクラゲからあるヒントを得て、二〇〇八年にノーベル賞に輝きました」とあるのは「クラゲに学ぶ」。難解そうな本を楽しくPRしている。
 期間限定のコーナーは松江図書館のサブチーフ、山田愛子さん(33)が発案した。一度も貸し出されていない蔵書の中から館員十人で「ぜひ読んでほしい」と思う本を選んだ。中には十五年間借りられていない本もある。山田さんは「その本の存在自体が知られていないのでしょう」。
 蔵書は、新刊のカタログを見て館員で選ぶ。基準は人気や話題性ではない。「これから保存していくべき価値」があるかどうかだ。
 新刊本は玄関付近の目立つ場所にある「新着コーナー」に置かれるが、一定期間がたつと本棚へと移す。さらに時間が過ぎると書庫に収蔵される。そうなると特集コーナーでの展示や蔵書検索をしないと見つけられない。新着コーナーや本棚で貸し出されなかった本は、利用者の手に取ってもらえるチャンスはさらに少なくなる。そうして「一度も貸し出されていない本」は数百冊はあるという。
 こうした取り組みは各地であり、五年前から毎年続けている青森県八戸市立南郷図書館は、一カ月の期間中に展示の半分以上の約七十冊が貸し出されるという。担当者は「利用者も意外な出合いを毎回楽しみにしていてくれる」と話す。
 蔵書はどれも館員たちが懸命に選び抜いた本だけに、松江図書館の山田さんは「必要とする人は必ずいる」と信じている。「届けるようにするのが私たちの仕事」。吉田琢磨館長も「埋もれていた本を利用者の目に留まるようにした。図書館として意義がある取り組み」と話した。
 「一度も貸し出されたことのない本」のコーナーは二十七日まで。



紙の記事には、一度も貸し出されなかった本の一例として、10冊の書名が出ている。 『駿府城』という本(文化環境計画研究所、駿府城再建準備委員会。2000年)が冒頭出てくるが、まぁ、江戸川区の図書館で、静岡のお城の再建か何かの本を借りる人はゼロでも仕方ないかもしれない。こんな本を蔵書にしているのはおかしいなんて区議から批判も出るかもしれない?

一方、予約の多い本としては又吉直樹氏の『火花』 (文藝春秋)は1660件、東野圭吾氏の『ラプラスの魔女』 (角川書店)は721件、同氏の『人魚の眠る家』(幻冬舎)は638件…とか。

ちなみに、調べると、江戸川区立図書館は『火花』を50冊、『ラプラスの魔女』を38冊、『人魚の眠る家』を23冊も購入している。図書館が「無料貸本屋」と批判されるのも無理はない?

ともあれ、現時点でも、上記人気本の予約の最後の人は、来年末になって読めるかどうか(借りる人が二週間借りて、返して、次の人が一週間以内に借りるとしても、平均すると一冊の本は2~3週間「保有」されるとしたら‥)。
一方、刊行し図書館の蔵書になってからも何年も経過しているのに、未だに誰一人借りない本があるというのも寂しい話だが、そのリストの中に、グロスマン、みすず書房の名前があったので、おお、なんと嘆かわしいことだ…と思った(一瞬)。

グロスマンといえば、ソ連の反体制派。彼の『万物は流転する…』 (勁草書房)は、学生時代購読し一読した(あれ、積んどくかな?)。それが、最近、みすず書房から新訳(『万物は流転する』)で刊行されたことは知っていたが、まぁ、古い版があるから買わなくてもいいか…とは思った。でも、図書館で借りて読む手はあるかなとも。そのみすず書房から、グロスマンの『人生と運命』 (全3巻)も訳出されたが、 「読みもしない(古)本を買うな」 という古女房の「洗脳」もあり、また、実際、その通り(?)なので、まぁ新刊ではなくて、古本屋で出ていれば買えばいいかなとも(しかし、古本屋でそうして買っても積んどくになることが多いのだが)。

それにしても、そんなグロスマンの素晴らしい本を、江戸川区の住民は、借りてでも読もうとしないのか、なんという教養のない……。いや、待てよ。

記事によると、グロスマンの名前はデイヴィッド・グロスマンになっている。みすず書房の本ではあるが、書名は『死を生きながら』となっている。

僕の好きな(?)グロスマンは、ヴァシリー・グロスマン。『死を生きながら』というのは、ソ連の反体制派として、そういう人生を歩んだとはいえるが、そんな本はあったっけ? 調べるとサブタイトルは「イスラエル1993-2003」となっている。グロスマンは、1964年に死んでいる。そんなタイトルの本が書けるはずがない。グロスマンはグロスマンでも、違う人ではないか。

こちらのデイヴィッドさんは、イスラエル国内では、左派リベラルの文学者で、暴力の応酬はよくないという御立場の人のようだ(イスラエルの大江さん? そうはいっても、ナチスの暴力をストップさせたのは、連合国軍の地上兵力の投入などによる軍事力であっただろうが。もし、あれが空爆だけで、地上兵力を投入しなかったら、ナチスドイツは1945年5月には瓦解はしなかっただろうが。その降伏が遅れた分、アウシュビッツなどでの死者は増えたことだろう。だとしたら‥‥「歴史の教訓」とはこういう点にもあるのでは。日本とて、原爆投下がなければ、本土決戦があったかも? そのあたりの判断に「絶対」は禁物?)。

ともあれ、そのグロスマンさんの本なら、借り手ゼロでもそんなには驚かない?  いやいや、みすず書房にしては、そんなに分厚くはない本であっと驚くほどの高価格でもない。

『スターリンのジェノサイド』 (みすず書房)やヴァシリーさんの本ほどではないかもしれないが(?)、借りてでも読んでも損はしない本であろう。

それにしても……。図書館は貴重な本を取り揃える役割があるのだから、ベストセラー本を何十冊も購入するのは邪道だという批判もあり、それももっともと思うのだが、こういう硬い(?)本の借り手がゼロだったりすると、それはそれで、だからベストセラーを買って何が悪い……という話しにもなりかねない?

『日本古書通信』 (2015年12月号)によれば、三鷹の「古書上々堂」が登場している。店主・古賀太郎氏によると、「最近買取に行くと、貴重な資料を図書館が引取拒否した話をよく聞く」「景気が悪くなると、図書館も運営が厳しい。そういう貴重な資料を引取って、市場に戻していくのも、これからの古本屋の大事な役割なんじゃないか」とのこと。

個々人の図書館への「提供」が無料なのか有料なのかは不明だが、譬え、有償だとしても、ベストセラーを何十冊も買うお金があれば、それを‥とも? 

ともあれ、ネバーセイネバー。あとは野となれ山となれ!

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