古本虫がさまよう 『夢を売る男』にも『マイストーリー』あり 人間はジキルとハイドに尽きる!
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『夢を売る男』にも『マイストーリー』あり 人間はジキルとハイドに尽きる!
(2015・11・30・月曜日)





林真理子氏の『マイストーリー 私の物語』 (朝日新聞出版)を読んだ。

内容紹介
自費出版専門の出版社ユアーズ社の編集者太田恭一(バツ1)は、人生を本にしたい中高年の様々な依頼に応対する日々。ある日、芥川賞作家である漆多香子から母エリナの自伝を出版して欲しいという依頼が来る。その原稿には、娘の担当編集者と性的関係を持ったことなどが赤裸々に描かれており、出版後、にわかに話題になりはじめる。また、死んだ夫の人生を本として残したいと高橋由貴という美しい女性が現れる。美貌も相まって、出版後すぐにドラマ化され部数も伸びるが、彼女がAV作品に出ていた過去がネットで騒がれて…。
出版をめぐる人々の欲望を鮮やかに描く、朝日新聞連載小説の書籍化。



以前読んで紹介した百田尚樹氏の『夢を売る男』 (太田出版)も、自費企画出版社をテーマにした本だった(以下、その点に関しては再録的になるが‥)。

こちらは、大手出版社を辞めて、自費企画出版社の会社の出版部長になった男が主人公(林真理子氏の小説のほうにも、大手出版社を「下半身問題」で辞めて、自費企画出版社の重役として入り、テレビの連続ドラマの作品として売り出していくにはオレのコネがあれば大丈夫‥と景気のいい話を次から次へと持ち込んで、ノンビリした社風を改革するシーンがある)。自社主催のナントカ賞で「大賞」を受賞した作品は無料で出版するものの、そこにはいたらない特別賞などの作品の作者に、あれやこれやとうまく誘って、ジョイント・プレス(半分社が負担、半分は書き手負担)で本を売っていく。出版社と著者が半々で負担し、優れた本でありながら種種の事情で刊行が難しい本を世に出す…と。かなり高めの価格になるが、広告宣伝バーコードもある本だからといって誤魔化す?…。

相手が意欲だけが売り物の若者か、小金を持っていそうな高慢な主婦か…等々で、ジョイント・プレスの売り込み方も異なる。相手を見て法を説けではないが、振込詐欺にも似た誘導方法でもある。

その騙しの話術のノウハウというか、書き手をその気にさせ夢を見させるようにしつつも、裏ではバカにしている構図が面白おかしく描かれている。

また、二番手の低価格路線を打ち出す自費出版会社を蹴落とすために、老大家の絶版文庫を広告塔として収録し、負担が軽くなる文庫での出版を進めたりもする。また、五十歩百歩とはいえ、自分たちはまだ印刷部数などを誤魔化したりしていないのに、その二番手出版社が誤魔化していると察知し、それをスキャンダルに仕立て上げていく…。

さらに、新市場開拓ということで、ブログの書き手相手に「ジョイント・プレス」の売り込み…などもしていく。内容はつまらなくても日々更新しているブロガーは自意識が高いからそこを突けば金になるといわんばかりに……。ふうむ? 何故か(?)本欄「古本虫がさまよう」宛にはまだそういう提案はないが、要注意? 
電話セールスなどの世界でも、こうしたノウハウがあるのだろう。

僕の知人でも、こういう自費企画出版社に300万払って本を出した人もいた。手書き原稿故ということもあっただろうが、今からするとかなりの暴利か? 毎日新聞に何十人かと一緒に「広告」も出ていた。この自費企画出版社、新宿御苑近くに高層自社ビルが建っていたなぁ?

いやはや、実際の自費企画出版社の「出版ウォーズ」もこんなものではなかったかと思われるほどの迫真性がある。

最後はほろ苦くというか、甘く、ハッピーエンドにもなる。ジョイント・プレスの売り込み一途の「鬼」の出版部長の目にも涙!?

林氏の小説も、そういう自費企画出版の内部事情も描かれているが、芥川賞作家の母の作品、そして、地方で映画館を切り盛りしていた夫が若くして急逝した美貌の未亡人の夫への追悼手記をめぐって起こる騒動などが描かれていて面白く読める作品だった。
なぜか、読んでいると、自分が主人公のような気分にもなってくる(離婚していないのに?)。いやいや、僕の知っている人で、もう故人だが、担当した物書き(女性)の本を刊行する過程で、出来てしまったとの伝聞を聞いたことがある。その女性は結構美人だったか? 
林氏の本、いやな奴にもいいところもあったり‥と、人間、ジキルとハイドを描いた佳作だった。特定嗜好分野ではなく(?)、ちゃんとした普通の小説を読むのもまた楽しいもの?

ともあれ、ネバーセイネバー。あとは野となれ山となれ!
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