古本虫がさまよう アベノミクス、キシノミクス、安倍イズムに見る新国家主義は、新国民主義でもあるのかも?
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アベノミクス、キシノミクス、安倍イズムに見る新国家主義は、新国民主義でもあるのかも?
(2015・11・9・日曜日)



1961年生まれの柿﨑明二氏の『検証・安倍イズム  胎動する新国家主義』 (岩波新書)を読んだ。

「美しく誇りある」父のような国家が国民一人ひとりを子のように指導し、守っていく――。異次元緩和や賃上げ税制など経済政策から教育、憲法改正、安保法制まで、安倍流国家介入型政治に通底するのは「国家の善意」である。その思考と意志を、国会審議や諮問会議議事録など「首相自身の言葉」から探る。



岩波新書で、この前読んだ中野晃一氏の『右傾化する日本政治』が、あまりにもリベラル左派的な内容で、安倍首相などを「歴史修正主義者」と決めつけて議論したりしているのには疑問を感じた記憶がある(東京新聞でさえ、この前、ある記事で安倍首相にたいしては、「歴史修正主義者」と見られがちだが……といった趣旨の指摘をしていたが、断定まではしていなかったし)。この本も、そんな内容かな‥‥とあまり期待せずに、でも、一応「岩波リベラル」的な筆者の見解を知ることも大事だと思って読み始めたら‥‥。

いや、この本はというか、著者は冷静な筆致で、「安倍イズム」を検証しており、参考になる本だった(中野晃一氏のお名前もちょこっと出てくるけど、櫻井よしこ氏や長谷川三千子氏や佐伯啓思氏や櫻田淳氏のお名前なども‥)。

あとがき的な「おわりに」で、あるロックバンドの歌「ここは天国じゃないんだ かと言って地獄でもない いい奴ばかりじゃないけど 悪い奴ばかりでもない」を引用している。1990年にこの歌を聴いたという(著者とほぼ同世代だが、僕は知らない歌手、歌詞)。
著者は衝撃を受けたという。

「その世界観が、当時の、未熟だが、変化しつつあった私の社会像と重なったからだ」と。

新聞記者として取材をして6年が経過し、「世の中には様々な人間がおり、個々の人間は『すごくいい奴』にも、『とんでもなく悪い奴』にもなり得ることに、気づき始めていたところだった。そんなあたりまえのことも知らずに能天気に大学を卒業、一人前の顔をして記事を書いていたことが今では恥ずかしい」「『天使と悪魔が共存している』などとも表現される人間の両面性。人間がそうであれば、この世界は天国にも地獄にもなり得る。逆に言えば、どちらであり続けることはない。人間と世界の極端な両面性は、社会と相対していく時に持たなければならない認識だと思う。特に、国家を考えるときには必要な視点だろう」‥‥。

僕も、いつごろからか、人間、みなジキルとハイド、ネバーセイネバーの精神を持つようになった。多分、曽野綾子氏のエッセイなどを学生時代のころから愛読したからであろう。彼女は、「戦争」に対しても、そういう認識を有していたかと。

ヒトラーやスターリンや毛沢東や金日成でさえ、何かいいところはあるのだろう。北朝鮮とて、僕は、地獄に近い国家だと思うけと、いいところもなきにしもあらず‥‥ではあろう。昭和天皇だって、悪いところもあるだろう。
ただ、大事なのは、その比重をよくよく観察すること。悪は9割、善は一割なのか、悪は半分五割程度、善も半分五割程度なのか‥‥。その上で、善悪、勧善懲悪の判断基準なり、好悪の評価レベルを見ていく‥。評価する、批判する‥‥と。

ともあれ、祖父・岸信介との国家観、経済観(キシノミクス)などとの比較も含めて、「安倍イズム」をさまざまな角度から、感情的に決めつけることなく、冷静に多角的に検証している。
感情論がしばしば展開されていた『右傾化する日本政治』よりは、知的刺激を受ける本であった。

安倍首相がやっている「アベノミクス」のひとつともいえる、経済への一定の関与(女性重役を増やせ、給与を上げよ‥)を、アメ(法人税引き下げなど)とムチで要求するのは、国家政策として当然考慮していいものであろう。
本書によると、一部保守派女性論客(長谷川三千子氏、櫻井よしこ氏)の反発がそうした政策に向けられているそうな‥‥。このあたりは‥‥。

東京裁判史観や憲法に対する安倍氏の認識が、親米か反米かの議論も取り上げられているが、所詮、これらは、憲法制定時のアメリカ側と日本側の高揚した単細胞的リベラル意識による誤解(?)が構築したものと考えれば、9条の改正などに関しては、アメリカ側とて、共和党も民主党も「ゼッタイ反対」を唱えることもあるまい。

そもそも、国家主権制限条項でしかない「9条」を、自由世界に共通する穏健な適正な条項に改めることは危険なことでもなんでもあるまい。針小棒大に「ゼッタイ反対」を唱えているのは、いささか時代錯誤の旧左翼か、日本を「仮想敵」とみなすことが国益になる一部の極端な国家でしかない(そんな「絶対的護憲論者」の中からも、9条をより理想的に変えるべきだとの「護憲的改憲論」も出てきている。これは、所詮は「変種」でしかないものが多いようだが、知的には「一歩前身」とはいえよう)。

本書で若干物足りないのは、例えば、いまの天皇が、原発や歴史認識で「リベラル」的だとされていることに対しての「安倍イズム」との矛盾があるのかないのかの詳しい分析評価がなかったことぐらいか。

あと、安倍首相が、自らの国家観に対抗する相手(敵?)としているのが、「台頭する中国」「日本人拉致事件をひき起こした北朝鮮」と並んで、「社会主義的な思想傾向とその具現者としての労働組合、そして労組が支持する政党なのではないか」と指摘していたが、中国、北朝鮮は頷けるとしても、「労組」が敵対勢力なのか?
もちろん、日教組や自治労などは「容共リベラル的な思想」に毒された労組故に、毛嫌いするべき相手ではあろうが、連合内の旧同盟・民社系労組、総評右派系民間労組に対しては、そういう考えは持っていないのではないか?

ともあれ、ネバーセイネバー。あとは野となれ山となれ!




台風の進路の「右傾化」はありますが、日本の政治の「右傾化」はどこに?
(2015・8・24・月曜日)




中野晃一氏の『右傾化する日本政治』 (岩波新書)を読んだ。
中野氏は、1970年生まれで博士号も取っている大学教授である。
昨今の日本政治経済体制は、右傾化、歴史修正主義、新自由主義に向かっていると決めつけている。

「みんなの党」を「新右派政党」とみなしているのはまだいいとしても、日本維新の会を、「新右派・極右政党」とまでレッテルを貼っている(151頁)のには、いささか唖然とした。「極右政党」? 「次世代の党」に対して言うならまだしも(いや、それもおかしいだろうが)。
安倍首相などを「歴史修正主義者」と決めつけて議論したりしている。

昔読んだ、ソ連中共バンザイの大内兵衛氏の『社会主義はどういう現実か ソ連・中国旅日記』 (岩波新書)や、レーガンの軍拡は危険、西側の一方的軍縮こそ肝要と説いた坂本義和氏の『軍拡の政治学』 (岩波新書)などと同じような読後感を僕は覚えたが、共感する読者もいることだろう。

そういう読者も、こういう本と、この前紹介した、酒井亨氏の『戦後七〇年「右傾化」批判の正体』 (イースト新書)とを読み比べるといいのではないか。タイトル的にも同じようなテーマを追究しているから。僕は、酒井氏のほうが、はるかに論理的で面白くてタメになると思う。そう思わない人もいるだろうが、それはそれでいい。異なる見解を読み比べることが肝要だから。

及川智洋氏の『左翼はなぜ衰退したのか』 (祥伝社新書)も参考になるだろう。古くさい左翼教条イデオロギーに毒されていると、正しい政治認識が持てない現状を学ぶことができる良書。

それと、保坂政和氏の『左にいると真ん中も右に見える』 (日本工業新聞社)も一読するといいかも。

それにつけても、本土への影響はあまりなかった台風14号は父島あたりから激しく「右傾化」した。関東には上陸することもなく、右傾化故に、太平洋をぐるりの右寄りに進路をススメていった。

台風16号も小笠原周辺にはやってきたが、右傾化しつつあるようだ。
「右傾化」はこのような使い方は正しいが……。

中曽根時代の防衛費GNP一%突破や「大きな航空母艦(不沈空母)」論あたりから、「右傾化」や「軍国主義復活」と言われてきたが、あれはもう何十年前のことやら? 

ともあれ、ネバーセイネバー。あとは野となれ山となれ!

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