古本虫がさまよう 新刊書店、古本屋、図書館‥‥日本では本の読破・蒐集に関して「選択の自由」が万民に保障されているか?
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新刊書店、古本屋、図書館‥‥日本では本の読破・蒐集に関して「選択の自由」が万民に保障されているか?(2015・10・30・金曜日)






ここ1~2週間、都内周辺は、日中はほぼ晴れ(&曇り)。夕方、夜の間に少し雨が降ったりしていたようだが、傘をさした記憶がない。だからというわけではないが、ぼちぼちこの週末あたりに雨がやってくるのではと期待、いや不安?
残念ながら、いや幸いにして、日本近くで台風も発生せず、古本まつりの期間中、おおむね好天で、日中も寒くなく古本屋行脚するのには、最適であったが……。

この週末は、神田古本まつり以外、都内近くではあまり古本市はないみたい。神田古書会館も、週末(10・30~31)は「洋書」古本市。それにしても、神田古本まつりは11月1日まで、午前10時から午後7時までやっているのだから、この洋書市も、10・30の金曜日はせめて午後7時までやればいいのに、いつものように午後6時閉館。土曜日も午後7時(せめて午後6時?)までやればいいのに、午後5時閉館。本当にあしき官僚主義というしかない? 天罰、天譴が神田に落ちることを期待、いや心配します? 

それにしても、11月2日は月曜日・平日だけど、飛び石で11月3日は祝日で休みなのだから、古本まつりもケチらずに、10月23日から11月3日まで開催すればいいのに……。本当に「世界一の古本屋」街ならば、地方から来る人も、来たい人もいただろうに……。

それはさておき、新刊本を「複本」として所有し、「無料貸本屋」と化している「公共図書館」をめぐる批判に関しては、この前「スパ」に載った新潮社の石井氏の見解を紹介した。先ずはそれを引用(一部略)

「スパ」(2015・10・27号)に出ている、図書館批判派の急先鋒として知られる新潮社常務の石井昂氏が「このままじゃ出版社は絶滅?」「現場の悲鳴と図書館問題」について語っているのもなるほどと?
「出版社のインフラを支えている本が、公立図書館の貸し出しのおかけで、芽が出た途端に摘まれちゃうってことなんです。ここ2~3年はもう、スマホで簡単に調べて予約ができるようになってるから、図書館の利便性がすごく上がってるんだよね。全体の複本が少なくても貸し出しの効率が飛躍的に向上した」「今はもう、『タダで読むのが当然』という感覚になってきてる」
本欄でも、石井氏の嘆きを以前紹介したことがある。そのほかにも、たしか佐野真一氏や林真理子氏などが、講演会などで愛読者と名乗り出た裕福な人が、いつも図書館で借りて読んでいます、でも先生の本は人気なのでなかなか順番が廻ってこなくて‥という趣旨のことを言われて絶句したかと‥‥。
週刊ダイヤモンドによれば、又吉直樹氏の『火花』 (文藝春秋)は、岡山市立中央図書館は94冊も購入し、1082人が予約しているとのこと。大阪市立中央図書館は87冊購入し、3582人が予約しているとのこと。予約末尾の人が読めるのは1~2年先?
あと、千代田区立図書館が「いい図書館」として紹介されているが、広報チーフが「千代田区の図書館は狭く蔵書が少ないため、電子書籍を購入し、オンラインで貸し出している」とのこと。ふ~ん? それにしても、区民でさえ、10冊しか貸し出しせず、区民でない人には5冊しか貸し出ししないのは少なすぎないか? もう少し改革しようという気にならないのかしら?
「本探しだけでなく、近隣の昼食や喫茶のお薦めの店も案内してくれる」コンシェルジュを置いているのが自慢のようだが、本館図書館の自動貸し出し機の脇に、荷物を置くちょっとしたデスク一つ置くぐらいのサービス感覚がないのかしら? 所詮は、お役所仕事、官僚主義にまみれた不便な図書館というしかない?



それに関連する話題として、朝日新聞(2015・10・29朝刊)にこんな記事が出ていた。


本が売れぬのは図書館のせい? 新刊貸し出し「待った」
朝日新聞デジタル 10月29日(木)5時16分配信
公共図書館の個人貸出冊数と書籍売上額の推移(記事にはあるが略)

 公立図書館の貸し出しにより本が売れなくなっているとして、大手出版社や作家らが、発売から一定期間、新刊本の貸し出しをやめるよう求める動きがある。背景には、深刻化する出版不況に、図書館の増加、サービス拡充もある。本を売る者と貸す者、相反する利害のはざまで、出版文化のあり方が問われている。
 「増刷できたはずのものができなくなり、出版社が非常に苦労している」。10月半ば、東京都内で開かれた全国図書館大会の「出版と図書館」分科会。図書館関係者が多くを占める会場で、新潮社の佐藤隆信社長が、売れるべき本が売れない要因の一つは図書館の貸し出しにある、と口火を切った。

 佐藤社長は、ある人気作家の過去作品を例に、全国の図書館が発売から数カ月で貸し出した延べ冊数の数万部のうち、少しでも売れていれば増刷できていた計算になると説明。司会役の調布市立図書館(東京都)の小池信彦館長が「それは微妙な問題で……」と言葉を濁す場面もあった。
 新潮社を旗振り役に大手書店やエンターテインメント系作家らが、著者と版元の合意がある新刊について「貸し出しの1年猶予」を求める文書を、11月にも図書館側に送る予定だ。
■困惑する図書館協会
 背景には、2000年代以降、深刻化する出版不況がある。国内の書籍(雑誌を除く)の売り上げはピークの1996年から減る一方で、14年は7割弱に落ち込んだ。漫画などを持たない文芸系出版社はとりわけ苦境にある。
 大手出版社の文芸作品は一般的に、最初に刷った部数(初版)の9割が売れて採算ラインに乗り、増刷分が利益となるといわれる。数十万部に到達するベストセラーはまれで、大御所から中堅人気作家による初版2万~3万程度の作品で収益を確保できるかが死活問題だ。だが、近年はこれらの作品でなかなか増刷が出ないという。
 出版不況の一方、全国の公共図書館(ほぼ公立)は増加傾向にある。10年で400館以上増え、3246館に。貸出冊数も軌を一にする。
 今回の「貸し出し猶予」の要請の動きに、日本図書館協会は困惑する。山本宏義副理事長は「図書館の影響で出版社の売り上げがどのくらい減るかという実証的なデータがあるわけではない」と話す。
貸し出し猶予をめぐっては、作家の樋口毅宏さんが11年に出した『雑司ケ谷R.I.P.』(新潮社)の巻末に、発売から半年間、「貸し出しを猶予していただくようお願い申し上げます」と記したケースもある。その際に応じた図書館もあったといい、今回準備が進む要請に対しても、図書館ごとの自主判断に任せることになるという。
■海外では国による補塡も
 問題は、今に始まった話ではない。
 00年代初めごろ、作家らから「図書館が無料貸本屋化している」という批判が表面化。02年には大手出版社による「出版社11社の会」が発足し、一つの図書館が人気作品を複数冊購入する「複本」を問題視してきた。03年には、図書館協会と日本書籍出版協会が、複本の商業的影響の実態調査をしたが、数字の評価をめぐって双方の議論が平行線をたどった経緯がある。

 「発端は70年代にさかのぼる」。そう分析するのは、慶応大の根本彰教授(図書館情報学)だ。根本教授によると、高度経済成長を背景に自治体が住民サービスを重視しはじめ、その中で図書館は「貸し出し」の機能を強く打ち出すようになったという。「出版は江戸時代以来、根付いてきた産業。そこに公共による資料の無料提供という全く異なる理念が乗っかった」
 海外はどうか。EU(欧州連合)では図書館で貸し出された分を国が著者に補塡(ほてん)する制度を導入する国も。英米でも、貸し出しの一部有料化や図書館用の本を仕立てて高価格化するなどの方策がとられているという。しかし日本では、公立図書館が入館料その他の「いかなる対価をも徴収してはならない」と規定する図書館法に抵触するか、そもそも議論が低調なままだ。
 根本教授は「貸し出し猶予の要請は、出版社側のエゴと批判が出そうだが、図書館にも問題はある。コンビニ的に貸し出しする図書館運営ではなく、高度な参照サービスや地域・行政資料を蓄える機能を重視し、商業出版とのすみ分けのあり方を考える時期に来ている」と話している。(板垣麻衣子)



とはいっても、「図書館の影響で出版社の売り上げがどのくらい減るかという実感的な感覚はあるだろう」と思う。

図書館とて、「雑誌」などでは、ある種の貸し出し制限というか、「貸し出し猶予」をしている。そのほかにもさまざまな「制限」を実施している。同じことを「本の貸出」に関してもやろうと思えばやれるだろう。そういう「改革」を実行すべき時なのかもしれない。

例えば、目黒区の図書館は、基本的に区民以外でも図書カードが作成でき、パソコンを通じて予約もできるようにしているが、新刊本に関しては届く直前の「整理中」の段階だと、予約できるのは区民だけになっている。

また、一般の図書館も、他の図書館から取り寄せて借りることができるのは、在住の区民のみという制限も近年つくようになった。しかし、この点は、運営が区民税(住民税)に依拠していると思われる区立図書館なら、在住者を優先するという点で理解は可能だろう。

だが、千代田区図書館のように、住民だと10冊まで貸し出し可能だが、住民でないと、5冊までしか貸出しないといった「制限」をしていると、ちょっとなぁとおもわないでもない(そもそもの貸出数が、住民に対しても少なすぎるということを実感できない千代田区立図書館は、館長以下、いささか頭が変? いや、出版社からするとワンダフルかも?)。

区立図書館によっては、区民&隣区のみ図書カード作成可能にしているところなども出てきた。23区民ならいいというところもあるようだ。
そういう「制限」があっても、図書館に入って、館内で閲覧する分には、日本国民のみならず外国人でも自由だろう。

ともあれ、そうういう「制限」はすでにある。

また、雑誌にしても、週刊誌や月刊誌などは、最新号は館内のみ閲覧可能にしているところがほとんどではないか。次号が出てから、館外への貸出可能になる。

同じことを本でもやればいいのかもしれない。
文庫、新書は原則毎月刊行するのが普通。ならば、文庫、新書は、翌月刊行されるまでは館内閲覧のみ許可する。貸出の制限は図書館になじまないなんていっても、雑誌ですでにそういう制限をやっているのだから、新刊本でもそうすればいいのかも。

問題は単行本。
貸出を一年不許可となると、長すぎると感じるかもしれない。朝日記事にもあるように、先駆的に図書館の貸し出し制限を主張した作家の樋口毅宏氏は半年を主張していた。それも長く感じる向きもあるかもしれない。

奥付の日付から計算すればいいのかもしれないが、ここは週刊誌が一週間、雑誌月刊誌、文庫・新書が一カ月と考えると、単行本は1~2カ月程度が妥当かもしれない。

今だって、新刊が出てから、図書館が取り寄せ、貸出開始をするのに、1~2週間ぐらいかかっているのではないか。仮に本屋やアマゾンで10月1日発売(取扱開始)の単行本なら、図書館で開架に並べられるのは早くても10月10日すぎでは? それを11月1日(もしくは12月1日)以降でないと貸出をしないという風にするのは、さほどの「制限」とはいえない? 館内閲覧はもちろん自由。ならば合理的制限?

また、図書館では、普通15冊から20冊(20点)ぐらい借りることが可能で、予約も同数可能だ。すると、予約する時とか、貸し出しする時に、カードで、刊行から1~2カ月の最新刊の単行本は予約や貸出は5冊までとか、そういう制限を加えることも可能ではないか。

図書館の検索機能の進歩などが、今日の図書館の貸出の増大を生みだした。これは大変便利なものだ。

僕なども仕事で必要な書籍(昭和20年代刊行)を、北海道や四国の公立図書館や大学図書館から近所の図書館に「無料」で取り寄せて、自宅で読んで、コピーを取ることができた(国会図書館に行って、館内閲覧しかできない資料でも、こうして手許に取り寄せできるとは、なんと便利なことよと感嘆したものだった)。

「日本の古本屋」や「アマゾン」で高騰している(?)、品切れ絶版の資料本でも、公立図書館のネットワークで調べて借りることもできるのだ。「愛読書」のレベルでなければ、図書館を活用することによって、「ポケットマネー」を節約することもできる。その分、古本屋さんには痛手かもしれないが‥‥。アマゾンの古本価格で何万円もするような本を図書館で借りて自宅で読み必要なところをコピーする…。そういうこともできるようになった。どこに探している本があるのか(ないか)がパソコンでわかるのだ。なんという便利さ?

複本制度も悩ましいものがあろう。

村上春樹氏レベルだと、実部数もかなりになるが、中堅作家だと、複本も悩ましい?

また前述した週刊ダイヤモンド(2015・10・17号)が、 「『読書』を極める!」という特集を組んでいたが、「週刊東洋経済」(2015・10・31)にはツタヤの増田宗昭社長が、お似合い(?)のジーンズ姿でご登場され、インタビューに応えていた。

記事中で紹介されている代官山のツタヤは一度出掛けただけで、あとは出掛けたことがない。僕は朝コーヒーを一杯飲めばもう十分なので、本屋にブックカフェは不要、そのスペースには本を置いたほうがありがたいという人間だし(あと、神保町の某新刊書店みたいに、外付けに勝手にスピーカーを設置し、音楽を公道を歩く人に向けても垂れ流すなんて邪道もいいところだと思う。なんで、こんな無駄なことをするのだろう? ここは以前、外の自社スペースを「喫煙可能」な青空喫煙所にしていて、悪臭を公道にまで垂れ流していた。それは改善されたが)。ブックオフだって、店内はともかく、そんな騒音拡大商法はしていないだろうに。

読書や探書する時は、コーヒーでも飲みながら、BGMを聴きながら‥というのが「定番」だと考えて、書店の内外でそんな「環境」を保持しようとするのは、恐ろしい「全体主義的思考」に毒されているというしかない。

ともあれ、東洋経済の記事では、インタビューやらツタヤ委託の図書館の是非やらいろいろとあり、面白く一読。

ツタヤって、特定嗜好分野の映画をたまに借りたりする程度。新刊書店の類にはほとんど接触していないので、なんとも判断しがたいが、「改革」はどんな分野でも必要なこと。守旧(?)勢力の批判には、なるほどというものもあればおかしいものもあろうが‥。

都内の区立図書館を見ていても、いまだに毎週月曜日はお休み。さらに月一度はお休み。さらに土日は、午後5時にはやばやと閉館‥なんていうところもあれば、お休みは原則月一回。土曜日も午後7時~8時までは開館‥というところもある。その「格差」は民営化なのか、労働強化なのか、区長や館長が単にバカだからなのか‥‥。
貸出冊数も10冊止まりから20冊(20点)可能‥と格差がある。

新刊書店、古本屋、図書館‥‥「選択の自由」が万民に保障されていることが肝要だろう。今の日本社会は、一応、それは保障されているといえようか?

ともあれ、ネバーセイネバー。あとは野となれ山となれ!
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