古本虫がさまよう 戦後70年談話報告書をめぐる新聞各社の多様性をどう評価すべきか?
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戦後70年談話報告書をめぐる新聞各社の多様性をどう評価すべきか?
(2015・8・8・土曜日)




戦後70年の首相談話に関する有識者会議「21世紀構想懇談会」の報告書が発表された。その内容について、2015・8・7の各紙はいろいろと解説。メンバーに山田考男氏が入っている毎日新聞は、東京・朝日と並ぶ「リベラル左派御三家」の中では一番穏健?
社説でも、 「おおむねバランスの取れた妥当なものだと評価できる」としているから。山田氏も、 「反省は必要だが、正確な知識と確信を伴わない反省には重みがない」と指摘している。

産経の阿比留記者も「これまでのような自虐的でない報告書がまとめられたことには一定の意義がある」と評価している。

一方、朝日の富名腰隆氏は、 「首相が自ら『英知を結集した』という報告書を、ただ聞き置くだけでは済まされまい」とすごんでいる?

朝日は、報告書に関する社説の隣の頁に掲載された佐伯啓思氏の「異論のススメ」こと「押し付けられた米国的歴史観」「ポツダム宣言の呪縛」が秀逸。社説なんかを学校教育に云々というなら、こういう産経の正論執筆陣でもある佐伯氏のコラムを中高校生が熟読するほうがはるかに教育的であろう。

彼は、この中で、「ポツダム宣言は、決して日本の無条件降伏など要求していない」「ポツダム宣言が要求しているのは、『日本国政府が、直ちに全日本国軍隊の無条件降伏を宣言する』ということなのである。『軍隊の無条件降伏』がいつのまにか、『日本の無条件降伏』になってしまったのである」と指摘している。中高校生が歴史を考える上で、「通説」と違った事実を知る瞬間ともなろう。
その上で、原爆投下をファシズム国家壊滅のために必要なことであったとみなすアメリカの歴史観に対して異議を表明している。
単純な反戦史観に拘束されている高校生でも、佐伯氏の一文を朝日で読んで、日本国憲法の9条の押し付けとて、その流れで捉える必要があると考える人も出てくるかもしれない。
アメリカの言いなりにならないのが大事なら、9条の見直し、改正もその一歩となるはずなのに、平和憲法を守れではどうしようもあるまい。

それはさておき、報告書が、「結果としてアジアにおける植民地の独立は進んだが、国策として日本がアジア解放のために戦ったと主張することは正確ではない」との一文は、まぁそうだろう。「結果としてアジアにおける植民地の独立は進んだ」というのは客観的な歴史的事実といえるが、これまで、そういうことを指摘するのもケシカランと騒いでいる学者もいた。

「国策として日本がアジア解放のために戦った」というのは、たしかに正確ではないだろう。大義名分として、また、さまざまな目標などの一つとして、あげられて、実際に大東亜会議も遅ればせながら昭和18年に開催もしたが……(そのあたりは深田祐介氏の『大東亜会議の真実 アジアの解放と独立を目指して』PHP新書が詳しい)。

また、「侵略」云々に関して、「他国が同様の行為を実施していた中、日本の行為だけを『侵略』と断定することには抵抗がある」として異議を表明した委員がいたとのことだが、それはそれで正論であろう。

中国を含めてアジア地域に関しては、「侵略」を認めてもいいだろう(中共のチベットに対するふるまいが「侵略」ということを容認する人でないと、そういうことを言う資格がないことを確認した上で!)。
でも、対英米オランダとの戦争は、相手の国の本来の「領土」に攻めていったわけではない。「植民地」を取り合った戦争でしかない(待てよ、オーストラリアにも空襲をしたりしたけど、これは「侵略」か? いやいや、オーストラリアも英国の「植民地」か?)。

新聞に掲載された識者の見解を読むにつけ、五百旗頭真氏でさえ、一定の評価(「水準高い議論」)を与えている。(日経)。

ともあれ、こういう季節に読むべき本として、酒井亨氏の『戦後七〇年「右傾化」批判の正体』 (イースト新書)が最適である。

彼の著作、 『中韓以外み-んな親日 クールジャパンが世界を席巻中!』 (ワニブックス・PLUS新書) 、 『台湾人には、ご用心! 愛しているから全部、書く』 (三五館)は紹介ずみ。いずれも中庸なリベラル感覚での本。今回の新著もその視点から書かれており、おおむね同感。

中国の人権抑圧を見て見ぬフリをする日本のリベラル派の奇妙な感覚は手厳しく批判されている。たしかに欧米の反中国派の中には、チベットの弾圧などを手厳しく批判するリベラル派が少なくないが、日本ではこの前も批判したように、国際人権NGOヒューマンライツ・ナウ事務局長の伊藤和子氏の『人権は国境を越えて』 (岩波ジュニア新書)のような「人権弁護士」でさえ、中共や北朝鮮の人権問題にはほとんど無関心なのだから驚く。この女性、よくテレビにも出ているが……。

アマゾンのカスタマレビューにもそのあたりを指摘する人がいた。

7 人中、4人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
なぜなんだろうか?
投稿者 チャオチャオ・バンビーノさん 投稿日 2014/7/25
この人も、この人が代表する団体も
甚大な人権侵害たる、拉致事件を全く取上げない。
なぜなのだろうか?
拉致被害者のみなさんの地獄の苦しみを思うとき、
そのことを一番に取上げないことに、胡散臭さを感じるのは、
一人わたしだけなのだろうか?


いえいえ、一人ではありません。少なくとも私もいます!

それはさておき、酒井氏の本に戻る。
台湾や韓国には未だに共産党を非合法化する法律が施行されており、そのくせ、日本を右傾化していると、とりわけ韓国が批判するのは形容矛盾と指摘している。もちろん中共のような「一党独裁国家」のように、海外的な軍事的膨張を行ない、国内的には政治犯が存在しているような国は、「明らかにナチスドイツに匹敵する残酷かつ凶暴なファシズムである。現在でいうなら、ISの残酷さに匹敵し、さらに軍事的実力を伴っている点では、ISよりも悪質である」との指摘も頷ける。

そんな中国に対して批判しないサヨクや戦後進歩派はどうかしているとの指摘ももっとも。

その手合いが、日本の「ぷちナショナリズム」などを憂えているが、韓国は「メガナショナリズム」、中国は「スーパーウルトラ反動ショービニズム」ではないかとも。

「中国の現状は、言ってみれば、在特会が政権や体制を作っているようなレベルである。中国のネットにおいては、低レベルなヘイトスピーチが、日本相手だけでなく、東南アジアや台湾に対しても日常的に行なわれている。おそらく中国に甘い左派の人たちは、中国語や朝鮮語を解しないために、その深刻さをまったく知らないので、中国に優しくなれるのであろう」とも。たしかに反日暴動デモなど、異常であろう。

いやいや、知っていても、見て見ぬフリをするのが、彼らの伝統的お家芸であろう。
 酒井氏の見立てによると、第一次安倍政権に比べれば、第二次安倍政権は「リベラル」であるという。アベノミクスも新自由主義的ではないとしている。

一方、保守派への批判も、古谷経衡氏の韓国認識なども批判されているが、談話問題に関しても、戦争中の日本の侵略行為を反省しお詫びしつつも、「だからこそ今の中国が行っている侵略行為は許されない」と主張すべきとも指摘。同感。「歴史修正主義者のように日本の戦争責任を認めない立場に立てば、今の中国の行為も正当化されてしまう」とも。まぁ、それはそうだろう。

とにもかくにも、敗戦の日まで、一週間。
8・14に発表されるという安倍談話……。
産経、読売、日経に加えて、毎日新聞が評価する談話となるか? 東京は無理として、朝日が社説か、記事かどちらかで評価するレベルの内容になるか……。
アジア諸国とて、中韓(北朝鮮)を覗いて評価する内容ならばまぁいいのではないか。

反知性的な国家指導者がいては、通常の謝罪も通じることはない。難癖つけて金を払えというようなヤクザまがいの相手に対しては、何を言っても無駄ということも実社会ではありうるのだから。

ともあれ、ネバーセイネバー。あとは野となれ山となれ!
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