古本虫がさまよう 朝日新聞の憲法学者アンケートから消えた、ある重要な項目-—知らせると「平和憲法」愛好学者の「反知性主義」的な知的レベルがバレるからなのか?
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朝日新聞の憲法学者アンケートから消えた、ある重要な項目-—知らせると「平和憲法」愛好学者の「反知性主義」的な知的レベルがバレるからなのか?
(2015・7・14・火曜日)






この前、東京新聞(2015・7・9朝刊)が、一面~三面にかけて、安保法案に関する憲法学者の見解についてアンケート調査した結果を大々的に発表している記事を取り上げたことがある。
 「平成26年度全国大学一覧」(文教協会)が掲載している大学、大学院の法学系の学部、学科、研究科で、憲法を専門にしているか、憲法の講義をしていると確認できた教授、准教授、特任教授、客員教授、名誉教授の計328人を対象に、204人から回答を得たとのこと。回答率は62%。

 設問は3つ。問1は「安全保障関連法案は憲法に照らして合憲か違憲か」。(ア)合憲である(イ)違憲である(ウ)その他-の選択肢から選び、理由を記述してもらった。
 問2は「憲法9条は改正すべきかどうか」。選択肢は(ア)改正するべきだ(イ)改正するべきではない(ウ)その他-で、その理由も尋ねた。
 問3は、憲法をめぐる状況について、意見を自由に記述してもらったという。

しかし、聞いた項目がたったの3つとは……勿体ない。せっかくの大アンケート。なぜ、「現状の兵力を持つ自衛隊は違憲かどうか。違憲と思うならば、即刻自衛隊を解散すべきと考えるか」「日米安保条約は違憲と思うかどうか」「PKO法は違憲と思うかどうか」といった点も聞いてほしかった。

もしかしたら、「自衛隊は違憲」と考える憲法学者や、違憲だから解散すべき、非武装が合憲であると考える憲法学者が過半数を占めるなんてこともありえたかもしれないではないか。

もし、そんな結果が出たとすれば、憲法学者のあまりの非現実的な空想的平和主義思想が鮮明な印象となり、それはそれで、国民の相対的な多数が支持する自衛隊や日米安保をそんなにまで嫌っているのが憲法学者なのかということが分かり、彼らが反対する安保法制って、意外といいやつかも?と思うかもしれないのに? そういう事実がばれるとやばいと考えたのか? まさか?

今度は読売か産経が同じ憲法学者に、そうした項目のアンケートをしてみるといいかも。言論の多様性は、そういうあたりから生じるもの。

いやいや、沖縄の二つの新聞もそんなアンケートをすれば、ますます我が意を強くできる結果を得られるかもしれない?

「憲法学者7割『自衛隊も違憲』」「安保法案本紙調査204人回答」「日米安保破棄論も多数」……なんて見出しが出せるような根拠を示すデータが得られたら?ガンバレ、東京新聞に負けるな。沖縄の良心を示せ!?


と書いた。
すると、朝日が2015・7・11の電子配信で以下のように報じた。

安保法案「違憲」104人、「合憲」2人 憲法学者ら
2015年7月11日01時56分
 安全保障関連法案の合憲性をめぐり、朝日新聞は憲法学者ら209人にアンケートをした。回答した122人のうち「憲法違反」と答えた人は104人、「憲法違反の可能性がある」は15人。「憲法違反にはあたらない」は2人だった。
 調査は先月下旬、判例集「憲法判例百選」(有斐閣、2013年発行)を執筆した210人のうち故人1人を除いてメールなどで実施。一部無回答を含め122人(実名85人、匿名希望37人)が回答した。法案と憲法との整合性を問う質問は四つの回答から選ぶ選択式で、「憲法違反にはあたらない可能性がある」は0人、回答なしが1人だった。
 違憲か違憲の可能性があると答えた計119人は「集団的自衛権の容認は、解釈の限界を超える」「憲法は武力行使を政策的に判断する権限を政府に与えていない」などを理由に挙げた。一方、合憲と答えた2人は「国家を守るために必要な範囲に限定されている」「従来解釈と論理的整合性が欠如しているだけでは憲法違反の理由にならない」とした。
 法案に先立ち、安倍内閣は昨年7月、集団的自衛権の行使を可能にする閣議決定をした。この妥当性について尋ねたところ、回答した116人が「妥当でない」とした。「都合のよい憲法解釈は法的安定性を失う」といった批判があった。法案が合憲と答えた2人を含む6人は無回答だった。
 政府は集団的自衛権行使容認の根拠として1959年の砂川事件の最高裁判決を挙げている。この判決が集団的自衛権行使を「認めていない」と答えた人は95人で、「認めている」は1人。「判決は判断していない」などとして「その他」を選んだ人が24人、無回答が2人だった。
 自衛隊については「憲法違反」が50人、「憲法違反の可能性がある」が27人の一方で、「憲法違反にはあたらない」は28人、「憲法違反にあたらない可能性がある」は13人だった。憲法9条改正が「必要ない」は99人、「必要がある」は6人だった。
 憲法判例百選は重要判例の概要を紹介し、意義を解説する専門書。13年発行の第6版はⅠ、Ⅱ巻合わせて210人が執筆した。衆院特別委員会で法案の合憲派として菅義偉官房長官が名前を挙げた3人は執筆していない。
 法案をめぐっては、衆院憲法審査会に参考人招致された憲法学者3人が憲法違反と発言するなど法的正当性に疑問の声が出ている。
     ◇
 記述回答の詳細は後日、デジタル版に掲載します。


この電子版の記事を見ると、東京新聞が「ヤバい」と思ったのかどうかは分からないが、聞いてなかった項目がある。

 

自衛隊については「憲法違反」が50人、「憲法違反の可能性がある」が27人の一方で、「憲法違反にはあたらない」は28人、「憲法違反にあたらない可能性がある」は13人だった。憲法9条改正が「必要ない」は99人、「必要がある」は6人だった。



回答を寄せた120人の中で、自衛隊違憲論者(違憲・違憲の可能性あり)が過半数を悠々超え77人もいるのだ。このあたり、憲法学者の意見を絶対視するなら、安保法制同様、自衛隊の存在は許されないということになり、即刻解散すべきとなるのか? そういう風になりうるだろう。
すると、いくらなんでも、憲法学者って、そこまで空想的平和主義者なのか? 法の中の法律である民法や商法の様な難しい法律を理解する頭のないレベルの学者が憲法学者になり、空理空論を唱えがちになる云々と、かつて皮肉った政治学者がいたと記憶しているが、やはり、このレベルだと、そう思われても仕方ないかな?と感じる読者もいたのではないか(僕です!)。


ところが、驚くべき事実がある。

なぜか「紙」の新聞(14版)では、この記事のこの部分が全文割愛されているのだ。もう一度引用しておこう。

 自衛隊については「憲法違反」が50人、「憲法違反の可能性がある」が27人の一方で、「憲法違反にはあたらない」は28人、「憲法違反にあたらない可能性がある」は13人だった。憲法9条改正が「必要ない」は99人、「必要がある」は6人だった

つまり、紙の新聞(だけ)を読んだ人は、安保法制に反対する憲法学者の中でも、長谷部恭男さんやら小林節さんなどはまだ自衛隊合憲派であるが、それ以外の憲法学者の中には、安保法制どころか、自衛隊も違憲であり、解散させないといけないと思っている教条左派がゴマンといる事実を知ることができなかったのである。これでは、半ば隠蔽したも同然と疑われても仕方あるまい。

さらに質問項目を追加すれば、日米安保も違憲と答える憲法学者も過半数いたかもしれない。非武装中立が9条の精神に合致するから、それを実行せよと答える憲法学者も過半数いたかもしれない。こういう事実の探求を新聞に求めたいのに、なぜ実行しないのだろうか? そこまで知りたくないのかしら?

後日、実名公表を容認した学者の意見などを詳述するようだが゛それはともかくとして、電子版で報じた客観的な事実・結果を、なぜ「紙」で削除したのか?

憲法学者の知的レベルが、ここまで低いことがバレるとヤバイと思ったと解釈するしかない? まぁ、縮刷版なども秘かに変造(改造)していたこともあるから、こういうのは朝日のお家芸なのだろうか?

自衛隊も日米安保もPKOも認めたら、軍国主義が復活する云々と何十年も前から騒ぎ立て、今日になっても、自衛隊違憲を信じて唱える多くの憲法学者に、どれだけの知的権威があるというのだろうか。

東京新聞(2015・7・12朝刊)は、先のアンケートの結果を踏まえて、実名公表を許可した憲法学者の細かい主張を少し詳しく紹介していた。

その中で、同志社大学教授の尾形健氏はこう述べている。

「存立危機事態での自衛権行使は、個別的自衛権の延長と考えられる場合もあり得るが、それに限定されるとはいえず、違憲の疑いがある。なお、安保法制の合憲性は、学者の意見の多寡で決まるわけではないことにも留意してほしい」

この人は、安保法制に「反対」の立場であろうが、それでも冷静ではあろう。

一方、同志社大学の学長の村田晃嗣氏は、国会で、安保法制は憲法上の問題を含むとしつつも一応賛成の立場から意見を述べている(公明党推薦)。

「戦争法案だ」との議論から安全保障の理解は深まらない。逆に(法案反対派を)「売国的だ」と批判しても議論に深まりは生まれない。こうした議論に共通する不寛容の精神を乗り越えていかねばならない」 (産経・2015・7・14朝刊)

学内で「村田学長の右傾化阻止」なんてレッテル貼りめいた反対運動が展開されているかもしれないが、「不寛容の精神」こそが反知性主義の最たるものであろう。

ともあれ、安保法制違憲論者・反対論者の中には、不寛容の精神にのっとって、「少数意見」(安保法制合憲派)など、なにするものぞと居丈高になり、「新聞世論」を背景に、狭量な「一国平和主義」的なナショナリズムを刺激し、一般世論を支配しようとするようなことはしていないのか?

せっかくのアンケート、東京新聞は、あまりに少ない項目。朝日はせっかく聞いた憲法学者の「知性」を証明する結果を、電子版で報じて、あっ、拙いと思ったのか、紙面の都合かどうかは知らないが、「紙」の新聞では密かにカットしてしまう。怪しい?

ともあれ、世論調査にはいろいろと注意する必要がある。

まだ積んどく中であるが、そのあたりの世論調査の巧妙なテクニックについて、右であれ左であれ、岩本裕氏の『世論調査とは何だろうか』 (岩波新書)は、ちゃんと論じてくれているだろうか? 気になるところである。

ともあれ、ネバーセイネバー。あとは野となれ山となれ!
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