古本虫がさまよう 「公安」より「生活安全課」がオレオレ詐欺の原点?
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「公安」より「生活安全課」がオレオレ詐欺の原点?
(2015・4・30・木曜日)





鈴木大介氏の『老人喰い 高齢者を狙う詐欺の正体』 (ちくま新書)を読んだ。
老人を食い物にする詐欺集団の極めて組織的なシステムの全貌を知る上で、大変参考になる本だった。

キャッシュカードの引き出しが,銀行によりけりだろうが、一日50万円に限定されるようになって久しい。それより多く引き出す必要がある時にそうできないので、「全くボケ老人のためにこんな官僚的な規制が実施されるようになって、本当に迷惑だな」とつぶやくことが稀にある。

この前も、テレビで、オレオレ詐欺を描いた番組を見たが、テレビを見る時は、いつも食事しながらとか本を読みながらということが多くて、あまりピンとこなかった。この本で描かれているほど、深くレポートしているようにも思えなかった。

ともあれ、本書によると、被害者は単なる「ボケ」だからひっかかるわけではないのだ。

「高齢者を狙う犯罪とは、高齢者が弱者だから、そこにつけ込むというものではない。圧倒的経済弱者である若者たちが、圧倒的経済強者である高齢者に向ける反逆の刃なのだ」

以前だと、電話帳を見て、「女性」名義だと、夫が死んで未亡人になり、独居高齢女性ならば、ひっかけやすいということで、数撃てば当たるという精神で電話をかけて詐欺…というパターンが多かったという。

そして、今度は、押し売りなどでいやいや買わされたような人の名簿などをもとに電話をかけるようになっていく。「やられ名簿」というそうな。断ることが苦手…ならばと。

しかし、さらに名簿情報は高度化していく。警察の生活安全課を名乗って、高齢者の犯罪防犯のためにと偽って電話アンケートなどをする。持ち家ですか、お子さんと同居していますか? 配偶者はいますかとか、金融資産は、緊急時に連絡を取るべき子供の名前や勤務先など……。

そういう「個人情報」「故人情報」付きの名簿を作成し、詐欺集団に売りつけ、詐欺集団は、その個人情報に基づいて「カモ」に電話をかける……。

その詐欺集団は数人で、電話をかけ、まずは息子の名前で一言「ああ……もしもし、健介だけど……。ハァ……僕……」と苦しげにしゃべる。
電話を受けた母親は、息子の実の名前が出てくるから驚く。
そして電話の相手が代わり、鉄道警察の〇〇ですがと変わり、息子さんが痴漢をした云々という。そして,次にその電話を奪って、被害者の親と名乗る男が、「お前の息子、なんてことをしてくれんだよ」と騒ぐ。「ちょっと、お父さん、いまそういう話は」と。警官と被害者の親が電話を取り合うふりをして母親に圧迫感を与える。

そして話を示談の方向にもっていく。なにしろ息子の名前を把握し、勤務先の会社名も出してくるのだ。

「あんたの息子の名前も会社も、痴漢野郎だってネットに書きまくって、会社の近所にも取引先にもビラまきまくってやる」と被害者の親が騒ぐ。

こういう風に個人情報を把握していれば、さまざまなパターンで、詐欺の寸劇ができるわけだ。

なるほど、これならひっかかるのも無理はない? なんで、こんなにひっかかるのか、息子の声なんか聞けば分かるだろうに?と思うことが多かったが、これだけ手が込んでいたら……。

本書では、そうした詐欺の手口ノウハウを習得するために、セミナーなどをやって、適性を持つものを育成している光景も描かれている。殺人はしないのだから、金持ちの余裕のある奴から、その資産の一部を取るのは、許容範囲だと洗脳もする。「詐欺本舗」ともいうべき「会社」が、どのように詐欺を行ない、収益を確保しているかが、手にとるようによく分かる本だ。

貯蓄ゼロの人間を騙して無価値なものを200万円全額ローンで売る詐欺より、貯金2000万円の人間を騙して200万円を奪う詐欺のほうがいいという理屈になる?

著者は、老人と若者の経済格差を放置している現状に批判的で、若干、そのあたりがきになるが、ともあれ、こういう詐欺集団には注意するしかない。

名簿屋など、生活安全課を名乗る電話に注意する必要があるが、そもそも、本物の生活安全課名義でのお尋ねに答えないというのも手であろう。

3・11以降、万が一の連絡先として、警察に届け出るようにもなってきている感があるが、その情報に基づいてほんものの警察官で独身女性宅に忍び込んだりして逮捕された事件が実際に発生している。

いわんや、その情報を外部に漏らして小遣い稼ぎをしている警察官が皆無とはとても思えない。ここにメスを入れるべきではないのか。
国勢調査だってそうだ。事細かなところまで書く必要はない。「マイナンバー」というのも、いささか問題であろう。

ともあれ、ネバーセイネバー。
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