古本虫がさまよう 図書館から本がなぜ消えていくのか? 図書館はヌードをなぜ差別するのか?
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図書館から本がなぜ消えていくのか? 図書館はヌードをなぜ差別するのか?
(2015・3・10・火曜日)






『文学界』 (2015・4月号)に、 『「図書館」に異議あり!』というシンポジウムの一部が収録されていた。新潮社の石井常務や作家の林真理子氏や佐藤優氏などが登壇しての論争。

その内容はともかくとして、この前、図書館に行ったらちょっと異様な光景に出会った。

本の紛失に耐えかねて、最近の図書館はおおむね出入り口にセンサーを置いてあるのだが(設置していない所もまだあるが)、中高年の鞄を持ったおじさんが出て行こうとするとピーピーと鳴るではないか。女性スタッフがあわてて飛び出す。
「お客様、貸出手続きが済んでない本がありませんか?」と。
そのおじさん、「……」
再度尋ねられると、 「いやぁ、ちょっと出て、また戻るつもりだったからさぁ」とうそぶく(アホか!)。
でも、観念してか、一冊本を鞄から取り出す。何か資格試験の参考書みたいな本だった。

あぁ、以前は、こんな防犯機能システムがなかったから、こうして沢山の本が紛失していったのだなと(今でも?)。そのオッサン、本を渡すと平然と出ていったが……。

でも、そのうち、こういうおじさんは、本の中に点いている「シール」(これが貸出手続きをしていないと反応する秘密の御札?)を剥がすようになるかもしれない。
いや、作家が自分の本が図書館にあると売れないからと自作をわざと持ち出したり、この前のアンネ・フランク切り抜き事件の時のように、中の頁を引きちぎったりするような事件が発生したり? ミステリ小説のテーマにもできそう? ネバーセイネバーだから。

今時だと、新刊本屋の万引きだとすぐに警察…となるのだろうが、図書館のこういう手合いも、「万引き」扱いして、すぐに警察に連絡して、拘束し、自宅を捜索したら、図書館の本が何冊も出てくるのではないか? それぐらいやらないと、こうした科学的な防犯システムを導入しても、図書館からの本の紛失は減らせないかもしれない。

その意味で、図書館によっては、時々館内を警備員が巡回しているところもあるが、それは当然といえるかもしれないが‥‥。

「書盗テロ」には十分注意が必要だろう。少なくとも貸し出し手続きを取らないで、図書館の本を持って館外に出るということは、スーパーなどで、精算せずに店外に出るのと同じ不法行為とみなして、同等の罰を与えるべきだろう(同様に、電車内の痴漢が迷惑防止条例で裁かれるように、歩行喫煙や路上喫煙も迷惑行為として裁かれるべきではないかな?)。

ともあれ、図書館の構造として、開架の本棚がある館内に「トイレ」などがあると、そこに持ち込んで「大便用個室」でシール剥がしをする輩がいるかもしれない。トイレに行くにもゲートを越えて行かなければいけないのであれば、まだ取り締まれるだろうが。

図書館の本には「所蔵印」が捺してあることが多いから古本屋に売るのではなく、自分の「参考書」として使いたいという欲望があるのだろう。

それにしても、図書館によっては、古い本を予約すると(新本でもありうるが)、「所蔵不明・調査中」というメッセージが出ることが時々ある。そして、不明のまま、他の図書館から借りてきて調達するなんてこともしばしば。

そして、それ以降、その図書館では、その本は、そもそも「所蔵」とはならず「未所蔵」になっていく。新たに買い求めるということもしないし、できないこともある。他の図書館から取り寄せればそれでよし? 最新刊の1万円ぐらいする本が、最初は「所蔵」としてあったのに、「所蔵・調査中」となって、そして「未所蔵」となったりするのだ。

中には、スタッフの何らかのミスで、借りたはずなのに、パソコン画面を見ると、借りたことになっていない本も出てくるようだ。あれ、手元に、その図書館で借りた本があるのに、なぜ?と。

逆に、返したはずなのに、パソコン画面で確認すると、まだ借りているままになっていることもある。スタッフが、きちんと、一冊ずつピッピッとやらずに、手抜きをするとそうなるみたい。

そのたびに電話で問い合わせて、「返したはずなのになぜ?」と言ったりもすることもあるようだ。 「返したはずなのになぜ?」とは言うけど、「借りたはずなのに、なぜ?」とは言わない人もいるかもしれない? そうして、図書館から本が一冊また「合法的に(?)」消えていくこともあるようだ? 困ったものやね?

ところで、この前、苅住昇氏の『最新樹木根系図説総論』 『最新樹木根系図説各論』 (誠文堂新光社)という二冊の本を、ある新聞のコラムで知って、「又聞き的」に紹介した。
分冊不可で、どちらも1000頁前後の分厚さで、お値段も二冊で計8万円(税込み86400円。分売不可)とのこと。「根」に関する文献などの記述はともかくとして、実際の「根」の細密な写生などがあるとのこと。地上の樹木だけでなく、地下の「根」に関する書とのこと。

ふむふむ、ちょっと読んでみたいというか、手にして眺めてみたくなる本ではないかということで、結局図書館で借りて手にしてみた(禁帯にして貸出しない図書館多し)。

ちょっとした百科事典並みの重さ。一部カラー写真もあり。写生と写真で「根」を図解しつつ、いろいろと論じている。

街路樹など、時々、コンクリートの歩道などが、「根」の隆起のせいか、盛り上がっているのを時々見かけるが、そのあたりの分析もあった。なるほどと。

我々素人は、こんなに重い本は自宅でなくとも図書館館内で閲覧するだけで十分かもしれない。こういう本は「禁帯」にしていなくても、おおおむね、「倉庫」に置いてある図書館が多いようだ。でも、たとえ開架にこういう本があったとしても、これを「万引き」というか、盗むのは重たくて難しいだろう。いや、ネバーセイネバーだからやれるか? 大きな紙袋に入れて‥‥。気をつけよう!?

そういえば、佐藤優氏が先の「文学界」に掲載された図書館論で、大学時代、文庫程度の本(岩波文庫のシュライアマハーの『宗教論』)を「一冊しかないからもっと入れてください」と要望したら「親にねだって買ってもらいなさい。もしくはバイトして買え。買える金額だ」と拒絶されたという。

つまり、廉価版を購入することは神学部図書館の仕事ではないと。
一方、死海文書のレプリカを数百万円で図書館は購入。無駄遣いという声もあったが、 「こういう本は図書館でないと買えない。羊皮紙の表紙をじっさいに触ってみれば、死海文書というものの重要性について肌で感じることができる。そのことによって十人でも五人でも、旧約聖書を専攻したいという意欲をもつ神学生が出てくれば、これくらいのカネは問題じゃない」と。
そのほか、17000円ぐらいのソ連の聖書を買ってもらったりしたこともあったそうな。

そして、クラシックな専門書の類が、図書館で破棄本として古本屋に流通したりしている例があるとして、こういう本こそ、きちんと蔵書しておくべきなのに、なんたることかと批判している。なるほどと。

以前、紹介したが、その佐藤優氏が「週刊新潮」(2012・3・1号)で、 『「図書館司書」は出版社・書店でご奉公』なるエッセイを書いていた。公共図書館がベストセラーの類を数十冊も購入し、無料貸し出しをすることへの苦言を呈している。
 タダで本を読むことができるのは、一見素晴らしいことのように見えるが、そうではなく、本という商品を造る作家や出版社や流通機関が割を食っている現状を指摘し、「資本主義社会で、タダのサービスは本来ない。図書館が行っているタダのサービスが、結果として、本をつくるシステムを破壊しているのである」と。こういう事実を理解していない図書館関係者に対して、司書の資格を取るときに、その者たちに、出版社、取次ぎ、書店で無給研修をさせよと。

 本来の図書館の効用はそのあたりにあるのかもしれない。こういう本(『最新樹木根系図説総論』 『最新樹木根系図説各論』)も、その類なのかもしれない。

篠山紀信氏撮影の『MANAMI BY KISHIN』 (小学館)は、高価な写真集(といっても数千円レベル)だが、一般図書館には所蔵されないだろうけどなぁ。篠山紀信氏撮影でも、写真の対象が歌舞伎役者だったりしたら、そういう写真集は図書館にあるようだが? 図書館はヌードを差別している? それでいいのだろうか? そういうヌード写真集を図書館に購入リクエストを出す高校生がいたら、「親にねだって買ってもらいなさい。もしくはバイトして買え。買える金額だ」と諭すのも図書館の使命であろうか。

ともあれ、ネバーセイネバー。
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