古本虫がさまよう 大学教授と生活保護も3日やったらやめられない?
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大学教授と生活保護も3日やったらやめられない?
(2015・2・2・月曜日)





松下美希氏の『生活”過”保護クライシス それでも働かない人々』 (文芸社)を読んだ。著者は、社会福祉事務所に配属され、生活保護受給者の窓口役の仕事をしているそうな。

そこで見聞したケースを報告している。
いささか、怠け者的な生活保護受給者の実態を書いており参考になる。
こういう本を読むと、一部ではあろうが、生活保護という「ぬるま湯」に浸って生きる方が働くより楽ちんと心得ている愚か者が少なからずいることがわかる。

この前紹介した、橘木俊詔氏の『経済学部タチバナキ教授が見たニッポンの大学教授と大学生』 (東洋経済新報社)にも「ぬるま湯」に浸る一部の大学教授にも似た世界がうかがえる?(そういえば、この前、まもなく定年(70歳)で辞める某中堅私立大学教授と懇談した。この本の話を少し紹介したのだが、ところで先生は授業は何コマですかとお尋ねしたところ「五コマです」といわれたので、思わず‥‥ううむと。年収までは聞けなかったが、橘木氏が指摘していた「90分授業を5コマやれば一週間の仕事は終り」というのは嘘ではなかった? ただ、この先生はちゃんとした著作も出しており、学者になって書いた論文は、紀要発表の二本だけというようなことはありません!)。

とはいえ、本当に困窮して一時的にせよ、生活保護を求めるのを余儀なくされている人とていることだろう。その線引きは難しいものがあるが‥‥。

本書で紹介されている厚生労働省のデータによると、生活保護を受ける世帯を「高齢者」「母子」「障害・傷病者」「その他」の四つの世帯に分類しているが、「その他」の世帯が伸びているという。平成15年度は全体の9%だったのが、平成25年には18・3%、29万世帯になっているとのこと。「高齢者」「母子」「障害・傷病者」ともなると、生活保護も必然的?な感じがしないでもないが、「その他」には、働こうと思えば働けるようになっている人も含まれているようだ。

生活保護も支給しっぱなしというわけではなく、「就労支援員」がいて、ハローワークなどに一緒に行き、再就職への支援などもしているというが、段々と横柄になっていく例なども出てくる。
医療費も手続きが少々面倒ではあるが原則無料で、家賃補助も出るし、当初は働こうと思っていても、段々と「ぬるま湯」になれていき、そこから抜け出せなくなる人もいるようだ。

「こんなにもらえるんですか」と窓口で驚く人もいる。「私が一カ月働いても、これだけの金額、もらっていませんでした」と。

なかには生活保護をもらいつつ、知人の事務所でこっそり働いて「現金」払いでもらった分を誤魔化す人や、刑務所と生活保護を行き来する猛者も?
NHKクローズアップ現代も、こういう「生活保護事情」も取材して放送してもいいのではないか?

一方、小笠原泰氏の『没落する日本 強くなる日本人 弱者の条件強者の条件』 (さくら舎)を読むと、これまたいささか悲観的な日本の経済社会像が見えてくる。

昔の軍事大国と同様に、福祉大国になると財政的に破綻するという試算もされている。中絶大国(年間堕胎20万?)を是正するだけでも人口出生率は大幅に上昇するという。2050年には、75歳以上の人口は2400万人で、後期高齢者の約7割が生活保護水準以下になる試算もありうるという。貧困高齢者が増加していくとのこと。21兆円必要になるとも‥‥。

「高齢者が現役世代と将来世代を食いつぶすような民主主義、『シルバー民主主義』という化け物は、高齢者=弱者という単純化から生まれました。将来世代に借金を押しつけることで成立している社会福祉国家・日本は、いま、この化け物が暴れ回っている状態です」

「戦前の国体、神国思想を体現した天皇の存在は、現在の日本では『絶対多数の高齢者』に重なります。『高齢者が安心して豊かに暮らせる高福祉社会』について、財政難と限られた資源を理由に、『そんなことは不可能だ』と指摘することは、戦前なら『統帥権干犯』『国体を脅かすこと』に匹敵する大罪でしょう。現実を直視する者は、『弱者切り捨て論者』というレッテルを貼られ、徹底的に攻撃される」

国をあてにせずに、自分の力で生き抜けということを説いているのだが‥‥。

一読して、いろいろと改革のための(?)私案も浮かんだ。人口減少と超高齢化を防ぐためには?
 
例えば、30歳を過ぎたら男女平等に「独身税」を取るというのはどうだろうか?‥‥。とあえず45歳まで。毎月2000円。それがいやなら結婚しなくちゃ?となるか? しかし、これでは若者を優遇せよという『21世紀の資本』 (みすず書房)の著者のピケティさんに叱られるか?

逆に結婚して子供を沢山作れば、三人目からは児童手当ないし出産祝いをもっと多く出すというのも手(その費用は「独身税」を流用)。
結婚して子供が生まれないからとして不妊治療などを行うのはある意味で医療費の無駄遣い? 不妊は、病気ではないといえば病気ではない。出産とて「病気」ではないが‥。

不妊治療や試験管ベビーや代理出産やらをするよりは、養子縁組を増やすほうがいいのではないか(個人的には養子をもらってまで子育てしたいとは思わないけど)。中絶を減らすことにもなるかもしれない。

ともあれ、本書(小笠原氏)によると、農民は農地の相続に関して「メリット」があるという。農業をやっている限り相続税を先送りにできるとのこと。農地法の規制で、農地は農家でなければ買えない。農業をやめていざ相続となれば莫大な税金がかかるので宅地などに転売できるまで売却しないとのこと。農業従事者も減っているのに農水省は22000人の定員に二兆三千億もの予算を獲得しているという。

農民は弱者であるという「神話」も、戦後日本を歪めてきたものかもしれない。食糧自給率の統計トリック(?)などを駆使して、農業・ぬるま湯に浸る一部の農民保護を声高に主張する向きに対して、適正な疑問を持つことは必要だろう。

「農民改革」というか、「農協改革」はかつての「国鉄改革」と同様、合理的であるといえそうだ。昔総評、今農協かもしれない。
せいぜい、農協改革が進むまで「日本酒」は飲まない運動を個人的に続けよう。人口減で国内消費が落ち込み、仕方なく農産物を海外に輸出しようとなると、やっと重い腰をあげるのが農協などではないのかな? もっと早くやるべきだった。  

人口・出産が増えると、また戻ろうなんてことにはなるまいが。

大変示唆に富む本だった。なるようになる、テイクイッツイージーがポリシーの僕だけど、さすがに、自分自身の老齢化とともに、日本大丈夫かな?という意識も強まってきた。孫はいないが、子供もいるし。でも、やっぱり、後は野となれ山となれ…でいいのかも。

ともあれネバーセイネバー。


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小笠原泰・渡辺智之 共著「2050老人大国の現実」(東洋経済新報社) 2010.10 を図書館に予約しました。文中の「昔総評・今農協」も、「昔陸軍・今総評」のもじりと気づく人は少なくなったと思います。関連(太田薫議長・岩井章事務局長)。最近、軽い転倒事故を起こしてしまい、今後は、頻繁に図書館を利用することは難しくなりました。
青木明  02/02/2015 Mon URL [ Edit ]
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