古本虫がさまよう 吉田茂よ、永遠なれ? されど、吉田ドクトリンよ、さらば?
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吉田茂よ、永遠なれ? されど、吉田ドクトリンよ、さらば?
(2014・12・26・金曜日)






麻生和子氏の『父 吉田茂』 (新潮文庫)を読んだ。吉田茂の娘・和子さんから見た父・吉田茂論。外交官時代、一時不遇であったり、イタリア大使時代ムッソリーニが嫌いだったりした小話や、英国大使時代、父と共に赴任しての体験などが綴られている。

祖父・牧野伸顕と共に湯河原の旅館にいた時、賊軍に襲われ(2・26事件)、九死に一生を得た体験も語られている。戦後首相となり、農地改革を推進した時、 「共産主義に対する、いちばん大きな歯止めが農地改革なんだよ」とよく言っていたという。

麻生さんは、佐藤栄作に初めてあった時、いい印象を持たなかったとのこと。だが、吉田は彼を買っており、ご自身ものちには一番頼りになる政治家だったと評価もしている。

僕が子供のころ、吉田茂の国葬がテレビ中継されたのをかすかに記憶しているが、学生時代、高坂正堯氏の『宰相吉田茂』 (中央公論社)を読んだのも懐かしい。 「バカヤロー」が好きな言葉だった(?)ようだが、頑固な独善主義者として、評判の悪かった吉田茂の再評価が高坂氏の本で始まり、そのうち、永井陽之助氏が、「吉田ドクトリンよ、永遠なれ」と言い出してからは、中道リベラルあたりまでが、「9条擁護」的視点からの吉田茂再評価なども行ないだした感がある。つまみ食いは楽しいものだ?

以前、保阪正康氏編・東輝次氏著の『私は吉田茂のスパイだった ある諜報員の手記』 (光人社NF文庫)を読んだことがあるが、彼のもとにもスパイを送り込んでいた当時の軍も諜報の観点からはなかなかのものであったというべきか? 敵ながら天晴れと吉田は思ったかも?

田久保忠衛氏(共著)の『日本外交の再点検 検証「吉田ドクトリン」』 (時事通信社)も参照されたし。

吉田茂をどう評価するか。そのあたりは、以前も引用したが、田久保氏とほぼ同世代の佐々淳行氏(昭和5年生まれ)も『私を通りすぎた政治家たち』 (文藝春秋)で触れているくだりがある。

首相を辞めていた吉田は、 「経済力がついたら憲法改正して自衛軍にするのだ。それまでの間は身を潜めていなくてはいかん」「今は経済再建が第一である。経済力が復活しなくて再軍備も何もあり得ない。経済力がつくまでの間は日米安保条約でもってアメリカに守ってもらうのだ」と、若き佐々氏たちに語ったという。また佐藤栄作を高く評価し、これからの政治家として彼と会うべしと諭したともいう。そのあたり、麻生氏との本とも共通した吉田の佐藤評価がうかがえる。

この本、親本(単行本)は、1993年12月に光文社より刊行されたそうな(文庫は平成24年9月刊行)。著者は1996年に死去。麻生太郎氏は彼女の長男で、この本の文庫解説も書いている(結構面白い。おじいちゃんと孫のほのぼのとした関係が偲ばれる?)。

吉田和子(麻生和子)さんは、戦後、麻生セメント会長や日英協会理事などを務めており、少々の「資金」もあったことだろう。本書でも吉田茂の政治資金を麻生家が、どんぶり勘定的に面倒を見ていたと記されている。いい意味で、彼女も、さまざまな政治活動や言論活動への支援も展開していたのではないか。サロン的な会合も主催していたのではないか。残念ながら、そのあたりは本書では触れられていない。

あと数日で、いよいよ、戦後70年を迎えることになるが、日本は「(空想的)平和主義国家」ではなく、一定の軍事的な存在感を持った上で、そして平和を望むなら戦争に備えよという精神力を持った上での「平和外交」を推進する現実的な平和主義を推進する国家としての役割をこれからも担っていくべきだろう。吉田茂も、未だに9条の部分修正にすら反対する国会議員に対して今も「バカヤロー」とつぶやいていることだろうか?

吉田茂にバカヤローとつぶやかれた(?)西村栄一議員の息子さんである西村慎吾さんは残念ながら、この前の衆議院選挙では落選した。彼を落選させた選挙民に対して、吉田茂は「バカヤロー」と思っているだろうか?

ともあれネバーセイネバー。
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麻生和子も登場する、政治評論家・戸川猪佐武の実録政治小説「小説吉田学校」(全8巻) 流動出版 1980 吉田内閣から鈴木善幸内閣までの権力闘争を描いた長編小説。現職総理・大平の急逝を受け、史上初の衆参同日選挙で自民党が圧勝するまでを、膨大なデータを駆使して克明に描いている。同書は映画(1983.4)にもなった。吉田茂-役は森繁久弥、鳩山一郎-役は芦田伸介。麻生和子-役は夏目雅子が演じた。なお、前日の記事で「キリスト教なんて」云々とありましたが、吉田茂、吉田和子、小泉信三など、日本の政治裏面には、カトリックの支配構造が深く関わっています。(投稿記事と関連薄いコメントで恐縮です)
青木明  12/26/2014 Fri URL [ Edit ]
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連続投稿で恐縮です。鵜呑みには出来ませんが、園田義明著「隠された皇室人脈 憲法九条はクリスチャンがつくったのか!? 」(講談社+α新書)。吉田茂、小泉信三など、カトリックの影響は、現在の宮内庁、女官などでも、極めて深いものがあるようです。
青木明  12/26/2014 Fri URL [ Edit ]
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