古本虫がさまよう 「赤線基地」から「氷雪の門」へ
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「赤線基地」から「氷雪の門」へ
(2014・12・17・水曜日)






この前、読んだ茶園敏美氏の『パンパンとは誰なのか キャッチという占領期の性暴力とGIとの親密性』 (インパクト出版会)がいろいろと考えさせられたので、関連書を時々読むこのごろである。

過日紹介したばかりの西田稔氏の『オンリーの貞操帯 何が彼女たちに生ませたか』 (第二書房)の関連書として、同じ第二書房から当時刊行された田中貴美子氏(昭和2年生まれ)の『女の防波堤』という本がある。実際、パンパンになった女性の赤裸々な手記のようだ。よもや吉田清治の手記(『朝鮮人慰安婦と日本人』(新人物往来社)と『私の戦争犯罪 朝鮮人強制連行』(三一書房)のようなことはないと思うが。

帯文に「半官半民の売春会社R・A・Aに応募しみずから肉体の防波堤となった、少女の赤裸々な体験手記」「R・A・A(特殊慰安施設協会)とは、終戦後、政府側出資五千万円、民間側出資五千万円、官民共同出資一億円の進駐軍相手の売春会社である。この同性屈辱の記録を全日本女性の必読書として万難を排し敢えて刊行、日本政府当局に抗議し、今や日本を撤退する米進駐軍に餞けする!」とある。
昭和32年の刊行。独立して数年後とはいえ、この舌鋒。日本の出版界には活気があった? 偉い!


その他、最近の本として、平井和子氏の『日本占領とジェンダー 米軍・売買春と日本女性たち』 (有志舎)がある。西田稔氏の別の本(『基地の女』河出書房)などにも言及している。

この本(平井氏)の中でも、少し言及されていて、僕も以前紹介したことのあるマイク・モラスキーの『占領の記憶記憶の占領 戦後沖縄・日本とアメリカ』 (青土社) は、いろんな意味での問題作。

彼の調べによると、水野浩氏の『日本の貞操 外国兵に犯された女性たちの手記』 (蒼樹社)は贋作だったということになるのだから。ことさら、反米世論を高めるための出版工作だった疑いもある? 吉田清治の本と同様の捏造書だったか?(以下一部再録的に)


「一九九六年五月に私(モラスキー)は、この書物が出版された一九五三年当時(今はない)蒼樹社で働いていた編集者を東京でつきとめた」「電話インタビューにおいて彼は、この四つの物語が「水野浩」という実体のよくわからない人物によって書かれたことを認めた」「水野は日本共産党と関係していたらしく、横須賀の基地で働いて情報を集め、パンパンの世界にも通じていたらしい」「その編集者によれば、蒼樹社は内部での激しい論争のうえ、この本の出版を決意」「社から何人かの編集者が日本共産党の意向を探るために代々木の党本部を訪問し、蒼樹社は共産党のゴーサインを受けて初めて本書の出版に乗り出した」

今でも女教師編、未亡人編で性遍歴を綴った手記の類が実話ではなく「創作」というのはよく聞く話だが、日本共産党の詐術の手法はその後も続いたということか。ただ電話インタビューなどや「らしい」「らしく」の表現が若干気にはなる。

といっても、この本、1982年に、実録ノンフィクションとして倒語社から『死に臨んでうったえる 空洞の戦後叢書』として復刊もされている。発行者の吉林勲三氏は、この本を復刻するにあたって水野氏と連絡を取ろうとしたができず無断での重刻となったという。まぁ、存在しない人かも知れないから?  

吉林氏は、立命館大学の学生時代、1969年5月に「わだつみの像」を倒壊したという。そういえばそんな事件もあったか? その「犯行」の直後広島に行き、『日本の貞操』 (蒼樹社)を古本屋で入手し読んで「ひどく感動した」という。その思いを綴ってもいるが、今となっては共産主義者の手中で操られた虚しい左翼人の悲哀というしかないのかもしれない。

とはいえ、勿論「慰安婦」はいたし、「パンパン」もいたし、「外国兵に犯された女性」もいたのは「事実」。教え子に手を出す女教師もいるし、淫乱な未亡人もいるのも事実。ただ、ある本に書かれた「例」が虚構であるというのであって、その区分けはきちんとした上で、真贋を考察する必要はある。

また、近刊の中村秀之氏の『敗者の身ぶり ポスト占領期の日本映画』 (岩波書店)にも、パンパンを主人公にした映画「赤線基地」 (東宝1953年)が紹介されている。
当時の映画広告が掲載もされているが、 「純潔の恋に憧れながら今日もヤケな白い肉体を抱かれ行く基地の女」とある。三国連太郎、小林桂樹、青山京子など主演とのこと。

ところが、この映画、突如として封切り前に公開中止になったという(おお、ソ連に遠慮して公開中止になった「氷雪の門」のアメリカ版か?)。在日アメリカ人記者から「反米映画」との抗議を受けたためとのこと(だが、一端公開中止にしながら、その後、「突如公開」されていく)。

中国から復員した男の恋人がパンパンになっていて、黒人の子供がいて‥‥というストーリーだったそうな。
へぇ、そういう映画があったんだ。見てみたいものだ。時々、上映もされていたようだ。

それにつけても南京「大虐殺」追悼集会で国家主席が一方的な発言をしているようだ。30万虐殺されたと。
もちろん、30万であれ、3万であれ、3000人であれ、300人であれ、捕虜虐殺は何らかの形であっただろう。日本兵士による婦女暴行・強姦も中国戦線であっただろう。藤原弘達の自叙伝的エッセイ本(『弘達エッセンス』)が講談社文庫に何冊か入っていて、その中で、中国戦線での体験談として、そういう蛮行の事実を指摘していたかと(今手元に本がなく、記憶で書いているが)。

だが、そうしたことへの謝罪などは国交正常化以降行ない、天皇も訪中までしたし、事実上の賠償を経済援助で行なっている。
にもかかわらず、未だに声高に言い立てるのは偏狭なナショナリズム故の民度の問題だろうし、また、現在進行形で、戦後、中共がいかにして周辺「異民族」にかつての日本軍も驚くような蛮行・虐殺を行なったかは明々白々であろう。

楊海英氏の『墓標なき草原 上下』 (岩波書店)、 『植民地としてのモンゴル 中国の官制ナショナリズムと革命思想』 (勉誠出版)、 『チベットに舞う日本刀 モンゴル騎兵の現代史』 (文藝春秋)や、水谷尚子氏の『中国を追われたウイグル人 亡命者が語る政治弾圧』 (文春新書)やチベット僧パルデン・ギャツォが、自ら弾圧を受けた体験記『雪の下の炎』 (新潮社)など参照されたし。

中共首脳は文革などの蛮行などをチベットや南モンゴルやウィグルの諸民族に謝罪したであろうか? 天に唾するだけではないのか。

歴史を鏡にするなら、相手を批判すると同時に自己の行ないも見つめなおすべきではないのか?

そういう中共の独善を根源的に批判しない人々に、少なからぬ日本国民の厳しい目が向けられるのも当然ではないか。嫌韓・嫌中本とレッテル貼りをされるような本の中には、そうした理非をきちんと指摘している本も多々ある(何冊かは紹介してきたつもり)。

あいつは「アカ」だとレッテル貼りをして言論弾圧したように、あいつは「タカ」だ、「ネトウヨ」だとレッテルを貼ったりしていないか。十分注意すべきであろう。

ともあれネバーセイネバー。


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