古本虫がさまよう 「カティンの森」と「卒業白書」、天才チェスプレイヤーと屋久島のボス猿の栄枯盛衰
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「カティンの森」と「卒業白書」、天才チェスプレイヤーと屋久島のボス猿の栄枯盛衰
(2014・5・24・土曜日)









朝起きて、昨夜放送の「カティンの森」(NHKBS) がちゃんと録画できているかどうかまずは確認。
大丈夫。
来週(5・30か5・29か?)放送予定の、ふふふ映画である「卒業白書」の録画予約をついでにすませる。

「カティンの森」は、岩波ホールで家人と共に見たが‥‥。「虐殺」というのは、こういうのをいうんだということを、「南京事件」で騒ぐ人にも見てほしい映画だ。
戦場での一時的な錯乱や混乱などで捕虜を処断したりするのは昔からよくある話。
しかし、この「カティンの森」は、戦闘もソ連軍の勝利でほぼ終わり、施設に入れていた一万以上のポーランド将校たちの捕虜を、計画的に射殺し、遺体を埋めたもの。その暴虐がドイツ軍の侵攻で明るみになったものの、やったのはナチスだと言い逃れ、その事実はつい最近になってやっと認められたものだった。コミュニストのやることは、想像を絶する異常というしかない。この関連書については、すでに記しているが、巻末にて再録。

ところで、2014・5・18の夜七時から二時間弱放送された「天才チェスプレーヤー ボビー・フィッシャー 冷戦下の頭脳対決」という番組をチラチラと家人と共に見た。

といっても、地上波で7時からのニュースを見て、そのあと「ダーウィンが来た!」で、屋久島の猿たちの厳しい競争社会の様相を見て、ふうむ、人間社会同様厳しいものがあるな‥縄張り争いやら負けると大変だな……と感じ入っていたから、BSのほうは、実質、午後8時を過ぎてからの視聴。

ボビー・フィッシャーは天才チェスプレイヤーとして、米ソ冷戦時代、宿敵ソ連の対戦相手をやっつけたことで一躍ヒーローになったものの、ニクソン大統領との面会などができなかったのでグレたそうな(?)。FBIのファイルには、彼の身内によからぬ人物がいたためとか?  

嫌いではない(?)、「アメリカ・ファースト」論者のパトリック・ブキャナンが何度か画面に何度か登場したので、おやっと思って、ついつい視聴した次第。
彼は、当時ニクソン大統領のスピーチライターをしていたからか? 

なにしろ、いろいろと食卓で作業しながら、チラチラとテレビを見ていただけなので、詳細は‥。

ただ、ボビーの生涯に関しては、翻訳で関連書が出ていたことはすぐに思い出した。それを読めばいいかなと。このプレイヤーは、日本に「逃亡」して滞在していたこともあったそうだから、その点でも関心が湧いてくる。

フランク・ブレイディーの『完全なるチェス 天才ボビー・フィッシャーの生涯』 (文藝春秋)がその本。これも積んどくしたままだった……。500頁を越える大著だが……。 

ブキャナンの『不必要だった二つの大戦  チャーチルとヒトラー』 (国書刊行会)も積んどくしたままか…。あぁぁぁ。
最近、分厚い本を避けて、ハンディな新書や文庫を読むことが多いから。
ある意味で、本も女性もスリムなのがいい? いや、本は……。

2011/06/17(金) 05:30:17
少し前にワイダ監督の映画「カティンの森」が日本でも上映されたので、この問題についての関心が日本でも広まったかもしれない。
邦訳文献としては、1963年にザヴォドニーの『カティンの森の夜と霧』 (読売新聞社)があった。ソ連崩壊以前で、一次史料がほとんどない状況下で、ソ連によるポーランド捕虜将校の大量虐殺(15000人)の「事実」を証明した本だった。永いこと積んどくしていたが、映画公開前に一読して感銘を受けたものだった。
独ソ不可侵条約の秘密条項(ポーランド分割)に基づき、ヒトラーとスターリンはポーランドを分割支配したが、占領後、捕虜にしたポーランド将校を計画的に殺戮したのだから恐れ入る。南京事件のように戦闘の最中というか便衣兵というか混乱した戦場での若干の行き過ぎた捕虜処断とは異なり、「戦後」の安定した状況下での冷酷かつ無残な組織的な捕虜処断は非人道的犯罪というしかあるまい。終戦後、日本やドイツの捕虜を拉致して強制労働させたのと同様野蛮すぎる。婦女子の強姦もまた組織的というか、「戦後」の行為であり非人道すぎるということは言うまでもない。

ザヴォドニーの本以前にも1953年にはアンデルス(ポーランド将軍)の『裏切られた軍隊上下』 (光文社)、1957年には、アントニー・エカートの『跡方もなく消えぬ』 (国際文化研究所)が訳出されていた。
アンデルスはソ連の捕虜になっていたが、独ソ開戦後は、スターリンが亡命ポーラント政府と協力関係を取ることになり、アンデルスも釈放されてドイツと戦うことになる。そのために部下・将校などが必要になるのに、その「仲間」が行方不明ということで、「なぜ?」ということになる。口を濁すソ連への不信が述べられ、英米のソ連への迎合、カティンの森に関する沈黙を批判もするが、小国ポーランド故に大国の国益の前には歴史の真実は隠蔽されてしまったのである。ドイツのカティンの森での虐殺死体発見の報も捏造とされてしまう。

一市民のエカートもソ連の捕虜になり、脱出やらいろいろな体験を綴っているが、ポーランド捕虜の行方不明に関しての描写もあった。
映画の原作として集英社文庫からアンジェイ・ムラルチクの『カティンの森』も出ている。ワイダ監督の父親もソ連によって殺されたとのこと。原作(フィクション加工あり)と映画とは若干ストーリーに変更があるが、読んでほしい、見てほしい作品だ。

また研究書としては、最近みすず書房からヴィクトル・ザスラフスキーの『カチンの森 ポーランド指導階級の抹殺』が訳出された。カティンの森の虐殺の事実がどのように隠蔽されてきたか。エリツィンがやっと事実を公表しようとしたのであって、ゴルバチョフは否定的だったという。何しろスターリン以降、カティンの森の虐殺はナチスによるものだとデッチあげてきたのだから、その嘘を告白するのは困難だった。英米も当時からその事実を知りながら、捏造に加担もしていたのだ。

カティンの森関連の邦訳書はそんなものかと思っていたが驚くべき(?)発見があった。というのも、最近、実家に置いてある本が増えすぎて「粛清」「処断」を余儀なくされている。この前も推理小説などの類はせっせと処分しているので、サンケイ文庫のマシュー・ヒールド・クーパーの『魚が腐る時』という本が目に止まった。読んだ覚えはない? しかし前半部分に頁を折ったところがある。昭和62年の訳出。しかもサンケイ文庫だから(今は扶桑社文庫)、一昔前のイメージが強い。
カバーもないし古本屋にも売れまいと思ってこれも捨てるかと染みだらけの本を手にして訳者あとがきをめくると……。
なんとカティンの森をキーワードにしたスパイ小説ではないか。書名はロシアの諺である「魚が腐る時は、頭から臭いはじめる」に基づいているとのこと(現在の民主党内閣のことか?)
朝鮮戦争中の1951年の欧州(英国・ソ連・ウィーンなど)を舞台に東西冷戦さなかの国際政治状況を「虚実取りまぜて細部にいたるまでリアルに書き切って」いるとのこと。カティンの森の史料や英米のソ連スパイリストなどを手土産に西側に亡命しようとするソ連陸軍情報部将軍の名前が「オルロフ」というのにも笑った? スペイン内戦の時に画策のため共和国陣営内でソ連スパイとして活躍していたオルロフは実在の人物。スターリンの粛清を恐れアメリカに亡命。殺されないために、『クレムリン 失われた星』 (鳳映社)という手記を書いたりもした(邦訳書の著者名は「オーロフ」)。

カティンの森の真相解明に関心を寄せた英国外務次官の私設秘書とそのソ連亡命将軍、さらに自由ポーランド委員会亡命者の謎の死、キム・フィルビーやアレン・ダレスなども登場するといった豪華キャストだ? 早速一読。面白かった。これは一読の価値がある。カティンの森の真相公開をソ連に対するゆすりというか外交手段として活用しようとする英国の策略など、民主主義と捏造、二重基準など、国際政治の実相を認識することができる本だった。ソ連内部もスターリンやベリヤやマレンコフなどが登場してきて、内部抗争の実態が描かれている。 こういう本ともふとしたことから出会えるから、やはり積んどくも大事だ?

ところで蛇足だが、オーロフの本を訳出したのは大場正史氏。『ジキル博士とハイド氏』 (岩波文庫)の訳者でもある。本欄の名付け親? いやいや大場氏自身、アラビアンナイトがらみで著名。 『せっぷん千一夜』 (桃源社)や『人妻と四人の色男』 (新流社)という著作もある(ようだ。未読)。いずれもハイド的出版社として名高い出版社から本を出している。訳書もオーロフやジョン・ダレスの『戦争か平和か』 (鳳映社)など硬いジキル的本も訳出している一方で……。

また集英社文庫の『カティンの森』の訳者の一人が、ペンネームでポルノ小説も書いたと以前本欄で紹介したポーランド文学者の故・工藤幸雄氏だ。
人間、やはりジキルとハイド。国家もジキルとハイド。政治も正義と不正義……。

あとサンケイ文庫で思い出す傑作スパイ小説と言えば、ボブ・クックの『マイクル・ワイマンの逆襲』だった。東独と英国が舞台だったか。いやぁ、スパイ小説っていいですな。





2012/12/18(火) 05:31:33
『パブリッシャーズ・レビュー』 (2012・12月15日号)を見ていたら、みすず書房から面白い本が出ることを知った。

以前、みすずから出たヴィクトル・ザスラフスキーの『カチンの森 ポーランド指導階級の抹殺』を紹介したことがある。そのみすず書房が、なんとカチンの森に関する先駆的名著であるザヴォドニーの本を出すというのだ。ザスラフスキーの本を訳した根岸隆夫氏が解説を加えているようだ。
そもそもは、この本は、1963年に、元朝日記者の中野五郎氏訳で『カティンの森の夜と霧』 (読売新聞社)として訳出されていた。今回はその訳を大幅に改訂した新版(朝倉和子氏という訳者のお名前が中野五郎氏と並んで出ている)とのこと。
タイトルは『消えた将校たち  カチンの森虐殺事件』となるそうな。前訳書のタイトルの方が「洒落」ていていいと思うのだが、みすず書房としては、ヴィクトール・E・フランクルの『夜と霧』をすでに刊行しているので、ちょっとという思いがあるのかも?

「パブリッシャーズ・レビュー」によると、この訳書を「傍証だけでソ連の犯行を実証」「今では、1940年春の虐殺がソ連の犯行だったと誰でも知っている。しかしこの本が出た1960年代初頭にはソ連は依然としてナチ・ドイツがやったことだと主張し、英米も事実を知りながら、ソ連の隠蔽に加担していた」と紹介している。
ザヴォドニーは「ドイツ、ポーランド、ロンドン、アメリカの資料を根気よく収集し、証言を掘り起こし、いわば傍証からソ連犯行説を固める。まるで独りで複数の超大国を相手に戦うかのようだった。1990年代に入ってロシアが公にソ連の犯行と認め、新資料にもとづいた本が何冊も出るが、それらはザヴォドニ-の主張の正しさを証明する結果となった。いまだにいちばん多く引用され、研究の出発点として重要でありつづけている稀有な存在だ」と。

同じことは、「南京大虐殺」問題でも将来いえるかもしれない。逆の意味でだが?

中共が崩壊し、新資料が出てくれば、従来言われたような形での無辜の市民30万虐殺はなかった、何千人か1-2万人規模の捕虜の処断としての戦争犯罪レベルであった、いやそれ以下?…少なくともナチスのホロコーストやソ連のカチンの森の虐殺と対比されるものでは全くない、といったことになる可能性もあろう。ホロコーストもカチンも極めて計画的、効率的抹殺であり、戦時下の極限状況下での突発的な戦争犯罪のレベルではない。

その意味で、日本のザヴォドニーといえば、誰がいるだろうか?  

『「南京事件」の探究 その実像をもとめて』 (文春新書)の著者・北村稔氏や『「南京虐殺」の徹底検証』 (展転社)の著者の東中野修道氏や『南京事件 「虐殺」の構造』 (中公新書)の著者・秦郁彦氏であろうか?

それはともかく、学者.研究者たる者、「通説」や「定説」や「隠蔽」と闘いつつ、「歴史の真実」を求めて切磋琢磨していく姿勢がなによりも大切であろう。

1963年刊行のこの本の存在を知って、古本屋で探し求め、20年ぐらい前に見つけ、積んどくし(?)、この前、ワイダ監督による映画「カティンの森」が、岩波ホールで上映されるのを見に行く時に、読破したものだが、より正しい歴史を求めて探書・蒐集・読書していくのは、人生に於ける楽しさの一つといえようか。

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