古本虫がさまよう 「いつまでもあると思うな親と古本屋」「親が死んでも食休み、古女房が死んでも古本屋通い」「伯母の家が焼けても穀休み・叔母の家で探す古本と古下着」「牛に引かれて長野・善光寺参り、古本に惹かれて京都・善行堂参り」‥‥正しい古本諺はどれだ?
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「いつまでもあると思うな親と古本屋」「親が死んでも食休み、古女房が死んでも古本屋通い」「伯母の家が焼けても穀休み・叔母の家で探す古本と古下着」「牛に引かれて長野・善光寺参り、古本に惹かれて京都・善行堂参り」‥‥正しい古本諺はどれだ?
(2014・5・14・水曜日)










喜国雅彦氏の『本棚探偵 最後の挨拶』  (双葉社)を読んだ。
古本(屋)好きの喜国氏の一連の作品(『本棚探偵の生還』『本棚探偵の冒険』『本棚探偵の回想』)の最新シリーズ。
これらの書名は、ミステリ好きな著者故、当然のことながら、ホームズもののシリーズ名にひっかけてとのこと。
もうひとつ『事件簿』というのが本家にはラストにあるそうな。したがって、 『本棚探偵の事件簿』というのも、いつの日にか刊行される可能性があるとのことだが、とりあえずは、今回の本で一応の区切りになるそうな。

今回も、さまざまな古本(屋)談義があり楽しく読める。
同じ本を何冊もなぜ買う人がいるのか。
「売っていたからです」と答える知人の家の本の整理を手伝いに行った時のドタバタ劇なども写真付きで紹介されている。
このような、「なぜ山に登るのか」「そこに山があるから」――といった山岳道にも匹敵する古本道、古本禅問答なども出てくるから、これは一種の哲学書とみなしてもいい? 

人はなぜ古本を買い求めたくなるのか、なぜ、同じ古本を何冊も買うことがあるのか……。古本を追求する道は、果てし無く遠く険しいことがよく分かる。

その古本道を悟ったかのような回答をした人の家は、本宅玄関から本の山、書庫も足の踏み場もない状況‥‥。ううむ、我が実家もここまでは酷くない? いや五十歩百歩か?

東日本大震災でも、著者含めて蔵書持ちの知人たちの間では、書庫の本が崩れた人、崩れなかった人、さまざまだったという。
その古本道を悟った人の家の書庫は、さすが、崩壊しなかったという(一部を除いて)。ううむ。
テトラポッド・消波ブロックのように、見た目からして、乱雑に本を積み上げていると、崩壊しなかったという説がある。

整然と積み上げていると、どこか一カ所が揺れて隙間ができると一気に崩壊するが、乱雑だと、揺れによって、外れそうになると、別の本がその空間を埋めて、相互作用で崩れないという(ことがありうるのかもしれない? まじめ一方の官僚人間は、美人局などにすぐにひっかかり下半身崩壊に追いやられる。しかし、ジキルとハイドを心得ていて、その手の世界の小説などをよく読んでいる人間は、ひっかからないようなものか?)。

これは、「理科学研究所」のある人(森草一紳氏)が、発見した本理論(ストント落下)だということで、最近、「日本の古書店」という学術雑誌に掲載されていたという噂を聞いた(→草森紳一『随筆 本が崩れる』文春新書・参照?)。

冗談はさておき、カナダに奥さんと一緒にコンサートを聴きにいったら、ホテルの隣が偶然古本屋だったりしたこともあったそうな‥‥。古本の神様が、著者に寄り添っているのだろう。奥様も古本購入に理解があるようだ。立派な奥さんというしかない。それに比べて……。

只見の古本の街へ、三度出かけたという(「三度」というと、進歩的文化人の愚の声明文書「三たび平和について」を想起させられるが、こちらの「三たび」「三度」は結構な古本屋ツアーだ。間違ったことを三度も繰り返すのは愚鈍だが、良きことを三度行なうのは賢明である。以前にも書いたように、只見のたもかくは、僕は一度しか行ったことがない。著者が見たという無料の貨物車内も覗いたものだった)。

「いつまでもあると思うな親と古本屋」といった標語にも同感。
僕の場合は、 「親が死んでも食休み、古女房が死んでも古本屋通い」といった感じだが。
50歳を過ぎて、万が一の時のためにトランクに愛蔵本などを収録しようという気持ちにもなってきたとのこと。
本だと、キングの『ファイアスターター』 (新潮文庫)など。官能小説も好きな人なので、櫻木充氏の『新任英語教師・祐美子とテニスクラブ』 (フランス書院)を一冊選んだという。ううむ。その選択には‥‥?
この本、本人自筆(自描)のカラー口絵もついているが、墓場に持っていく一冊として、官能小説は、先の作品のほかにも、

『禁断授業 淫惑の童貞狩り』『僕の叔母』『処女の肉私刑』『隣りのお姉さん少年狩り』『女臭の体罰』『個人授業 女教師は少年がお好き』『女教師と愛妹と少年と‥』『セーラー服 童貞「暴姦す」』『二人の女教師 教え子狩り』『お姉さま達の猥褻な玩具』『美姉の匂い』『女医と従姉と同級生』『隣の美姉妹』と十数冊が列挙されている。

ううむ‥。
叔母本として、睦月影郎氏の『僕の叔母』 (二見文庫)もたしかに悪くないが、やはり、 『僕と若叔母』(西門京氏・フランス書院)のほうがいいのでは?  同好の士とはいえそうだが、ちょっと好みが異なる?  まぁ、こういうのは人それぞれ、エロそれぞれだから? 

そのほか、古本ハンターならではのウンチクとして、将来値上がりする本をいかにゲットするか、そのためには自分の親の蔵書はむろんのこと、友人のお父さんの蔵書も狙うべしといった助言もさすがである。

たしかに、実家に戻って、親の本棚などを見ていて、司馬遼太郎氏の『古寺炎上』 (角川小説新書)や大江健三郎氏の年上の女(従兄の妻)にラブラブ小説の『夜よゆるやかに歩め』 (中央公論社・講談社ロマンブックス・昭和38年刊行。定価210円)などがあると、こっそりゲットしておくといいかも。

「日本の古本屋」(2014・5・13早朝)で見ると、『古寺炎上』は、なんとたかが並製の新書本なのに、84000円から129600円で三軒の古本屋が出品している。僕はこの本は図書館で借りて読んだが、ひぇぁ?というお値段ではないか。司馬氏、唯一の現代推理小説で復刊されないままだから…。

もし、お父さんの本棚に、この本があれば、アマゾンで5万円ぐらいで出品すればいいかも。
ブックオフにこの本があれば、ものすごい「せどり」になるのだろう。

そういえば、喜国氏も、スマホかざして「せどり」する人々のことにも本書で触れていた。こういう人々がいるから、僕みたいなのが、たまにブックオフに寄っても買いたい本はフランス書院文庫ぐらいしかないのだろう。

一方、大江氏の本は、同じ「日本の古本屋」で見ると、単行本(中央公論社)は6000円から37000円ぐらいの値段になっている。
新書版は出ていないが、逆に高くなる? 少なくとも新書でも2000円ぐらいか? 前にも書いたが、この本(新書)は、某古本屋で400円で購入した(ようだ。キヌタ文庫の印が残っている)。

大江氏のカバー(裏)に粗筋が書いてあるが、「大学生の康男は、従兄の妻の節子に始めは特別の感情を持ってはいなかった。従兄は前衛的な作曲家であり、節子は新劇から映画入りをした女優であったが、最近仕事がスランプ気味であり、誇りと焦立ちの交錯する感情から周囲の人たちに意地のわるい行動に出たりすることがあった。康男は反撥を感じながらも、時に節子の弱さにも触れ次第に節子に惹かれて行く。従兄がフランスに旅立った後、康男と節子は急速に接近し、やがて二人は秘密の夜を持つようになる……。華やかな都会生活の中の影の一面を思わせる情事の甘さと物憂さを描く長篇ロマン」とある。

教養ある従兄やその妻の部屋の本棚にはさぞかし良書があるやら。二兎を追うもの…というけど、こういう時は、「良書と美女」を得られることになるかもしれない。
となると、本好きの従姉妹や叔母や伯母や兄嫁や女教師とも日頃からいろいろと親しくなっておくと将来、いろいろといいことがありそうではないか。「伯母の家が焼けても穀休み・叔母の家で探す古本と古下着」か?

しかし、やはり原則は、喜国氏のようにこまめに古本屋を回るしかない。それを促す諺は、 「牛に引かれて長野・善光寺参り、古本に惹かれて京都・善行堂参り」‥‥ということになるであろうか。長野の古本屋ももう10年以上行っていない。京都の善行堂も一年前に寄ったきり。





(以下は喜国氏の前作紹介の再録。単行本刊行後、双葉文庫に入ったのもあったかと)

喜国雅彦氏の『本棚探偵の生還』 (双葉社)を読んだ。
前作『本棚探偵の冒険』『本棚探偵の回想』 (同)も大変面白い古本蒐集エッセイ集だった。今回も同様の内容だが、検印は廃止? 

 いずれも同じく箱入りだが、新著は二冊分割になっており、薄い方は英国のヘイ・オン・ワイの古本ビレッジ探訪集になっている。北原尚彦夫妻との合同結婚、いや合同夫妻旅行でここを訪れたそうな。ヘイ・オン・ワイは僕も一度行きたいと思っているところ。ここを旅した若竹七海氏&小山正氏の『英国ミステリ道中ひざくりげ』 (光文社)や創立者でもあるリチャード・ブースの『本の国の王様』 (創元社)は愛読した。アメリカから妻子連れでこの古本ビレッジに移住した体験を綴ったポール・コリンズの『古書の聖地』 (晶文社)も面白かった。

 以前、雑誌『ミスター・パートナー』でもここの特集をしていて、ヘイ・オン・ワイへの旅行ツアーの企画を立てている旅行会社も紹介されていた。逢坂剛氏が現地を訪問した番組(衛星放送)も見た記憶がある。それだけに……。とりわけ、喜国氏がコーフンしている美人店員がいる某店は要チェック。

 その他、積んどくしているが、北尾トロ氏編の『新世紀書店 自分でつくる本屋のカタチ』 (ポット出版)や大内田鶴子氏他編の『神田神保町とヘイ・オン・ワイ 古書とまちづくりの比較社会学』 (東信堂)もヘイ・オン・ワイについて触れている。

 ヘイ・オン・ワイはともかくとして、只見線を走破して、その間、本を読むというお仲間ツアーも面白かった。この只見線もかつて走破したことがある(冬)。今は、この前の豪雨の影響で一部不通になっているようだが。
 神保町から三鷹までマラソンしながら古本屋を「行脚」する一人旅企画も笑える。

 前の本でも車を活用して所沢やらあちこちのブックオフなどを走破したエッセイがあったかと記憶しているが、今回も、台湾で台湾語のミステリを買い集め、ヘイ・オン・ワイでも英語のミステリを買い集め、著名物書きの本棚の整理に出かけついでに「眼福」を得たりと……。奇想天外な古本蒐集、古本感動を求めての「旅」が綴られている。楽しい本なり。

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