古本虫がさまよう 公立図書館は「無料貸本屋」ではいけないのか?
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公立図書館は「無料貸本屋」ではいけないのか?
(2014・2・20・木曜日)








「新潮45」 (2014年3月号)の林真理子氏&樋渡啓祐氏(武雄市長)の「公立図書館は無料貸本屋ではいけない」を読んだ。

武雄市の図書館がツタヤと組んで画期的な(?)図書館を作ったということは本欄でも取り上げたことがある。まずは再録(&再再録)。

•2013/04/28(日) 05:43:26『図書館が街を創る。 「武雄市図書館」という挑戦』 (ネコ・パブリッシング)を読んだ。
佐賀県武雄市の図書館が、TSUTAYAに運営を任せるという試みを去年発表した時、本欄でも以下のように取り上げたことがある。先ずはその再録。


佐賀県武雄市の図書館が、市図書館の指定管理者に、レンタルソフト店最大手「TSUTAYA」を運営するカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC、東京)を指定することにしたと発表したことが話題になっている(2012年6月6日付け朝日夕刊など)。
各種報道によると、開館時間を午前10時―午後6時から、午前9時―午後9時に拡大(これは土、日も同様らしい)。年間約30日の休館日を無くし、年中無休とするとのこと。現在でも本は10冊、正味二週間借り出しオッケーのようだが、この冊数が「民活化」以降どうなるのは分からないが、ここまでは結構なこと。

親方日の丸図書館サンから見たら、危険な労働強化、民営化路線と息巻きたくとも批判はしにくかろう。
比較的進歩的だとされている都内図書館でも、住民でない通勤者には本は5冊しか貸さない、予約も5冊しか許さないといったみみっちいドケチな某区立図書館や、毎週月曜日は必ず休み、さらに月一回木曜日は休み、土曜、日曜は午後5時で早々と閉館する某図書館や、昭和40年以前の本は一切貸さない、読みたければ本館まで来い、そしたら館内閲覧は許してやるぞといった居丈高な、図書館のくせにケチって本は貸さない図書館など、爪の垢でも煎じて飲むといいのかもしれない。

しかし、また「TSUTAYA」のTカードを図書館カードとして使えるようにして、「一冊借りると一ポイント」つけたり、貸出履歴から分かる読書傾向をもとに、図書館側が「おすすめの本」を利用者に伝える機能の導入も計るかもしれないとのこと。

それに対してなら文句も言えるといわんばかりに、日本図書館協会が「利用履歴を漏らさないというのは公共の図書館の原則だ」と批判しているとのこと。

「TSUTAYA」が最近オープンした代官山の新しい本屋はいろいろと話題にもなっているが、あいにくとまだ出かけてはいない(注・その後出かけた)。でも、そんなふうに称賛もされる「TSUTAYA」が図書館を運営すればどうなるのか……。

ただ、利用履歴が残るというのはちょっと面倒ではあろうか。自宅のパソコンで出版元や書名などの確認をするためにアマゾンなどのデータを見たりしていると、その履歴が画面に残って表示されていたりする。看護婦…やら女教師やら…未亡人やら…。おいおい、家族も使うのになぁとも。
とはいえ、こういうデータが外部の人に知られるということはまぁない(だろう)。いまどき、メール会員になっても、ダイレクトメールは不要かどうかの意志を確認するのが普通だから、この図書館にしても、そういうような個人情報などの保護措置は取ることにはなるのだろう。だとすれば、さほどプライパシーの心配はしなくてもいいのかもしれない。

報道によると、仕事帰りの会社員や若年層など、図書館から足の遠かった利用者の呼び込みを狙う。年間34万冊の貸出数を、将来的に100万冊に増やすことを目標にするという。

しかし、借りたらポイントがつくなんてことをやると、読みもしないのに借りる人が増える可能性は高い。貸し出し数が増えることがいいことだという発想もあるのだろうが……。それって、東京駅の某百貨店のように、一日一回しかできないとはいえ、来店した証拠(?)にポイントカードなどを、カード機に挿入すると「5円」分のポイントがつくのと同じようなものではないのか?  人のことは言えない(?)けど、自分のみならず家族分のカードも含めて、せっせと何枚もカードを取り出しては挿入している人もいる(ようだ?)。東京駅で乗り換えて通勤している人なら、毎日立ち寄って買い物はしなくとも、カード挿入だけは繰り返していくのも可能だ。チリも積もれば山となる。365日やれば、2000円近くなる。家族4人分あれば何と年で一万円弱?  定期があれば電車賃もかからない。大丸地下で売っている機械で作る美味しいたい焼き(5個入り800円)が、毎月一回タダで食べられる?

こちらの佐賀の 図書館にはカフェなども導入する予定とのこと。そういうところの飲み食いにもポイントが使えるとなると、「TSUTAYA」さん、潰れるぞ?
それとカフェなどを図書館内に設置するとのことだけど、神保町の東京堂がそんなふうにして新オープンして久しい。入ると、左右にカフェがあり、店内はなんとなく薄暗くなり、昔に比べると狭くなった(レジ周辺の新刊コーナーなど特にそう感じる)。

買った本を読むなら、万が一コーヒーをこぼしてもどうってことはないだろうが、図書館の本は、汚される可能性は高くなるだろう。それがいいことか? と問われれば、さてな?と答えるしかない。ブックカフェも、流行とはいえ、そんなにいいものとも思えない。図書館のブックカフェ化もさてはていいものやら?



さて、『図書館が街を創る。 「武雄市図書館」という挑戦』であるが、この本は、前半は武雄市図書館のことを取り上げている。市長やTSUTAYA関係者や図書館関係者や市会議員やコンシェルジュなど、図書館に関与したさまざまな人びとの新しい図書館を創る意気込みなどが紹介されている。
ホームページを見ると、武雄市図書館では、日本国民なら誰でも利用カードを創ることができ、本は10冊まで借りられる(予約も十冊まで)とのこと。借りられる冊数がちょっと少ないような気がするが、これでも千代田区よりはマシ?(千代田区は住民なら十冊借りられるが、住民でないと、たったの5冊しか貸さないし、5冊までしか予約できない。その点では千代田区立図書館は武雄市図書館以下のサービスしかしていないのである。首都のある区立図書館として、九州の佐賀県にも及ばないとは情けない限りだ)。

後半は、英国の古本の街「ヘイ・オン・ワイ」の紹介や只見(たもかく)や軽井沢(長野県伊那市高遠町)の古本の街の紹介なども出てくる。

十数年前に、只見(たもかく)には一度出かけたことがある。古本屋的建物が何軒かあり、それを覗いたものだった。

ヘイ・オン・ワイは一度出かけたく思っているが、只見同様、「僻地」(?)にあり、なかなか簡単には行けそうにない。パディントン(?)から列車に乗り、何処かでおりて、そこからバスだったか? 少なくともロンドンからの日帰りは無理。二泊は現地でしないと…。

高遠町はブックフェスティバル的なものを最近やっているのは知っている。これも一度出かけたくは思っているが、軽井沢の先だったか? 青春18切符ではちょっと日帰りは無理?

そのほか北朝鮮などには甘チャンだった進歩的ジャーナリスト(故人)の蔵書(マルクス主義関連書—思想的お里が知れる?)をありがたく飾る地方図書館なども紹介されている。これにはあまり魅力を感じないし、行ってみようかという気にもなれないが…。

ともあれ、本書を読んで大変参考になった次第。

武雄市図書館も開館時間も延び、年中無休とのこと(大晦日や元旦はお休みでもいいと思うが、未だに、毎週月曜日休んで、月一回点検日、年一回数日間はこれまた点検日で、土日はなぜか午後5時閉館なんていう図書館は区立図書館にも多々ある---若干条件に違いがあるにせよ、江東区や新宿区などはその最たるノンビリ図書館?)。
文京区なども少し前までその仲間だったが、今は、原則として休館日は月一回のみ。土曜日も遅くまでやっている。立派。

昭和40年以前の本は一切貸出しないという中央区立図書館や、杉並区や近接区の人にしか貸出しなくなった杉並区など、サービス低下に励むばかりの区立図書館関係者は、武雄市にでも出かけて、少し研修してきたらどうかと言いたい? もちろん千代田区も!

それにしてもコンシェルジュとかを武雄市も導入しているようだが、もうすこしまともな日本語にしたらどうだろうか? これって、千代田区あたりが導入し始めたのかもしれないが、まぁ、もっともらしい名称だけど…。マンションなどにも「配備」するようになってきているけど、流行の名称(仕事)にロクなものはないから。

あと、本書によると、図書館内にはスタバも併設し、そこで図書館の本を読むことも可能にしたとのこと。東京堂などは購入した本でないと、カフェに持ち込み不可のようだ(これは当然だと思う)。
図書館の本は…。

なんか最近は、ブックカフェが増えてきて、コーヒーを飲みながら本を読むのが文化的だというイメージが定着しているが、世の中にはコーヒーを飲まない人だって幾らでもいる。紅茶が嫌いな人もいる?
まぁ、ジュースもあるのだろうが、それはともかくとして、本書でも「もちろん図書館の書籍は市民全体の財産。珈琲などで汚さないよう、そこは一層のご注意を」と書いているが、人間は不注意の塊であり、わざとでなくても、ついつい手元が狂って…ということは日常生活を経験していたら誰でも知っている「真理」。
そんなことを容認したら、図書館の本が汚れるだけだろう。
僕などは、図書館の本を借りて読む時は、市販のカバーをつけて丁寧に読むように心がけているが…それでも、…ということはある?

「カフェとは単に『珈琲が飲める店』という意味ではないのだろう。くつろぎの時間が流れ、静かな交流や交感の気配が生れる場所。とすれば新しい『武雄市図書館』もまた、全館がカフェに生まれ変わるといってもいいのかもしれない」とも記しているが、これって、珈琲屋の宣伝文句でしかない。

武雄市図書館内、よもや下手なBGMなどは流していないことと思うが、図書館にあっては「禁煙」「禁音」はくれぐれも大事にしてほしいもの。珈琲などなくても本は読めるが、騒音があっては本は読めない(読みにくい)のだから…。

それと、本は資料として部分読みすることも多々ある。十冊程度の貸出数では不便。二十冊の貸出可能、予約も二十冊可能とするのが標準ではないか? 未だに、本というのは最初の一頁目から読み始めてラストまで読了するのが「読書」であり、一日一冊読んでも二週間の貸出なら十冊あれば十分だろうと図書館関係者は誤解しているのではないか?

文京区立図書館は30冊貸出可能ですよ(予約は15冊まで。これは20冊に改善すべし?)。武雄市図書館関係者も文京区立図書館で研修する必要があるかな?




対談によると、コーヒーをこぼして弁償する例もあるとか(市長自ら!)。また、複本の購入は二冊までにしているとのことで、それは林氏も評価していた。図書館によってはハリー・ポッターなどを何十冊も購入し、予約が殺到しているから購入するのは当然という図書館関係者がいることについて、林氏も樋渡市長も批判している。

また、図書館を無料貸本屋にしないためにも、新刊書は出てから半年間は貸し出ししないというようにしてほしいと林氏が要望、樋渡市長も賛成している。

これは、以前も指摘したように、出てから半年間は館内閲覧、閲読のみ認めて、館外貸し出しは一カ月ないし半年後からすればいいと思う。いまだって、週刊誌や月刊誌などは、一定期間(次の最新号が出るまでの間)は館外貸し出しはしていない。館内では読めるが。
同じことを書籍にしてもいいではないか。
また市長は、新書や文庫を置くのに反対しているとのこと。現時点で図書館にある新書や文庫はリニューアル以前から引き継いでいるものだという。

ハリーポッターではなくても、例えば、巨乳古本屋女主人を主人公にした(?)、三上延氏の『ビブリア古書堂の事件手帖5』 (メディアワークス文庫)などは、町田図書館は8冊、杉並区図書館や江東区図書館は11冊も買っている。そして予約数は160~180人だ(2・20現在)。

一冊あたりに換算しても、十数人-20人弱。二週間借りられるのが普通だろうし、次の人が借りに行くのに何日かかかるだろうから、予約の後半の人は年内に読めるかどうか微妙だろう。

こんな文庫本、読みたければ買えというのも図書館の見識だろう。リクエストがあっても、当図書館は文庫は購入しませんという姿勢を明示するべきかもしれない。

しかし、当図書館は岩波文庫だけは揃えますとか、フランス書院文庫だけは買いませんというのは「差別」になるかな?

ともあれ、武雄市の図書館は「繁盛」しているとか。その光景を見て、林氏もいろいろと感じることがあったそうな。

それにしても、貸し出しなどが増えて大変だから、区民や隣接区民以外は貸し出しカードは作成しなくなった杉並区などバカというしかない?

もちろん、他の図書館からの越境貸し出しは区民のみとか、新刊本の予約は区民から優先とか、そういう「区別」はいいと思うけど。

官僚組織の図書館関係者は、中央区をはじめ、自分たちがラクするためにロクでもないことにしか頭を働かさない傾向がある。武雄市を少し見習うべきかもしれない。しかし……。
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