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2014.01.25 (Sat)

毛沢東は「アジアのヒットラー」ではないのか?







毛沢東は「アジアのヒットラー」ではないのか?(2014・1・25・土曜日)






昨年末(2013・12・26)、安倍首相が靖国神社に参拝した時、その日が毛沢東生誕120周年ということで、彼の地元では礼讃デモがあったという。
そのニュースを見た時、それこそ、ヒットラーの生誕地で彼の誕生を祝うのと同じようなグロテスクを感じたものだった。

いうまでもなく、毛沢東はヒットラーと並ぶ虐殺者である。大躍進、文革…自国民をどれだけ殺戮したことか。いや自国民というより、他民族も殺戮している。内モンゴル、チベット、ウイグルで殺された人々は漢民族ではないし、毛沢東から見れば異民族ともいえよう。

楊海英氏の『墓標なき草原 上下』 (岩波書店)、『植民地としてのモンゴル 中国の官制ナショナリズムと革命思想』 (勉誠出版)や、水谷尚子氏の『中国を追われたウイグル人 亡命者が語る政治弾圧』 (文春新書)やチベット僧パルデン・ギャツォが、自ら弾圧を受けた体験記『雪の下の炎』 (新潮社)など、それを証明する本は多々ある。

最近刊行されたのが、楊海英氏編の『モンゴル人ジェノサイドに関する基礎資料(6) 被害者報告書(2)』 (風響社)だ。すでに『モンゴル人ジェノサイドに関する基礎資料』として(1)(2)(3)(4)(5)が刊行されている。

粛清されたモンゴル人たちの自筆の被害陳情書などが収録されている(楊海英氏の解説付き)。「慰安婦」問題を取り上げるなら、その百倍以上の熱意で、こういう問題を取り上げる義務が生じるだろう。未解決のジェノサイドだからだ。毛沢東以降の中国共産党指導者の行なった虐殺、人権弾圧の数々は、ヒットラーのユダヤ民族虐殺と何処がどう違うのだろうか? 比較考察すべきはこの点だ。

ノーマン・M・ネイマークは『スターリンのジェノサイド』 (みすず書房)で、こう指摘していた。

「集団化の過程で約3万人のクラークが殺された」「だいたい200万と推定される多数のクラークが極北とシベリアに強制移住させられた」

「スターリンはクラークを階級として抹殺することを企て、まさしく実行した。クラークは、土地と生計の源から強制退去させられ、地獄の特別移住地に放り込まれたのだ」

「ウクライナの大飢饉はジェノサイドとみなすことができるだろうか? そうみていいようである。まず穀物不足と収穫不良をもたらし、ウクライナ人が生き延びる食料をみつけられなかった状況を政府が黙認していた証拠がたくさんある」「スターリンとその配下は、都市の労働者には食べさせ、ウクライナの農村部の『階級の敵』と『民族の敵』には食べさせないと決めた」

「スターリンとヒトラーの類似点、ナチズムとスターリニズムの類似点は無視するにはあまりに多すぎる。両者は独裁者として欧州大陸で莫大な数の人びとを殺害した。二人は根本的改造をめざすユートピア社会の名において、人間の生命を噛み殺した。二人は自分たちの国と社会を、そして国の内外の膨大な数の人びとを破滅させた。二人は、つまるところジェノサイド実行者だったのである」


要は、スターリン=ヒトラーだったのだ。

スターリンと同じことを毛沢東はやってのけた。宋永毅編 の『毛沢東の文革大虐殺』 (原書房)などはその一端を垣間見せてくれる。
スターリン国家は一応1991年にて終焉した。バルト三国などは独立した。その後のロシアはいろいろと問題があっても、かつてほど酷くはない。しかし、中共体制はまだ存続し、異民族支配を強行している。

楊海英氏はこの編著の「あとがき」で、昨年報道されたスペインの裁判所の決定を伝えている。江沢民や李鵬に逮捕状を出したというニュースだ。ご記憶の方もあるだろう。彼らがチベット地区在任中に行なった虐殺を告発したスペイン内のチベット人の要求を是としたのだ。

たまたま、2014年1月24日づけ読売新聞朝刊でも、パリ支局長の三井美奈氏が、スペインのこの決定を詳しく伝えていた。見出しは「人道犯罪」「国境なき訴追」となっている。

この前、紹介した伊藤和子氏の『人権は国境を越えて』 (岩波ジュニア新書)は、タイトルの割には、こういうグローバルな視点が完全に欠如していた奇妙な本であった。

本当の意味で国境を越えて、国境なき人権擁護を考える上で、参考になるのは、楊海英氏の本のほうであろう。

少なくとも、やはり、伊藤和子氏の『人権は国境を越えて』 (岩波ジュニア新書)を読んだなら、楊海英氏の『墓標なき草原 上下』 (岩波書店)、『植民地としてのモンゴル 中国の官制ナショナリズムと革命思想』 (勉誠出版)や楊海英氏編の『モンゴル人ジェノサイドに関する基礎資料(6) 被害者報告書(2)』 (風響社)にも目を通すべきだろう。人権擁護に好き嫌いは許されない。
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