古本虫がさまよう 『広辞苑』の「嘘と罠」にひっかからないために…
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『広辞苑』の「嘘と罠」にひっかからないために… (2014・1・6・月曜日)






谷沢永一氏&渡部昇一氏の『広辞苑の嘘』 (光文社)という面白い本があった。2001年の刊行。
共同執筆というか、二人が個別テーマごとに執筆している。
広辞苑も初めの版から何度か改訂されてきているが、その間の変化修正なども含めて、徐々に左翼的な色彩を強めるような筆致(南京事件など)を中心に、誤りというか針小棒大というか、そういう項目を取り上げている。読物としても面白く感じた。

その二人の著書が出てから10年以上が経過し、また『広辞苑』も、2008年に新たな版も出ているが、さらなる「悪化」の事例を事細かく検証したのが、水野靖夫氏の 『「広辞苑」の罠 歪められた近現代史』 (祥伝社新書)である。

一読して、何かあると「広辞苑によれば…『 』とは…とのことであるが、」といった書き出しでモノを書くのは、きわめて恥ずかしいことになるかもしれないと思った。 『大辞林』 (三省堂)のほうがまだマシのようである。我が家にもどこかに『大辞林』があったかと。『広辞苑』もあるか?

ともあれ、中国共産党が、天安門事件で虐殺しても、せいぜい「鎮圧した」という表現しか使用しないのに、日本軍がやった「鎮圧」は、「虐殺」と表現されている。

「拉致事件」の記載もないとのこと。もちろん「拉致」はある。「むりに連れて行くこと」…との。しかし、「拉致事件」は最新版(2008年刊行)にないというのだ。唖然呆然? 取り上げたくないのだろうというしかない。
同様に「シベリア抑留」も、広辞苑に載ったのは1998年刊行の版からだという。ソ連が崩壊して、やっと? ということなのか。
しかも、その記述が遠慮しいしいというのか、ソ連に迎合的なのである。

シベリア抑留「第二次大戦で対日参戦したソ連が、投降した日本軍兵士をシベリア・中央アジアに送り、強制労働に従事させたこと。抑留者は50万人をこえ、劣悪な環境におかれて多数の死者が出たが、1950年までに大部分が帰国。



水野氏も指摘しているが「対日参戦」とは? 日ソ中立条約を無視して「侵攻」してきたのでは? 「~に送り」とは? 「強制連行」がお好きなのに、なぜ、相手がソ連だとそういう常套句を使わないのか? しかも、この場合、どう考えても「強制連行」という言葉がぴったりと適合するというのに。
「多数の死者」…? 少なくとも5万人以上が死んでいることは史料的にも事実として認定されている。一割以上の死者ということを何故具体的に書かないのか?

また、降伏した捕虜などを虐待したり強制労働をさせるのは国際法違反。しかも戦争が終わった段階でのこうした処置は言語道断であろう。そうした指摘もない。相手がソ連なら沈黙、同じ捕虜虐待などでも、日本軍がやったとなると大々的に記述する…という傾向が『広辞苑』にあるのは間違いない事実のようである。オーウェルのいう「ニュースピーク」の一種といえそう。

『広辞苑』を求める方は、水野氏のこの本も一冊脇に置くべきであろう。本屋さんは、セット販売するといいのではないか。この前、本欄でも紹介した高井ジロル氏の『好辞苑 知的で痴的で恥的な国語辞典の世界』 (幻冬舎)も用意すると尚いいかも。

辞書といえば、以前紹介した飯間浩明氏の『辞書を編む』 (光文社新書)や、三浦しをん氏の『舟を編む』 (光文社)が思い浮かぶ。新語、死語…辞書制作に必死となる編集者や編者の情熱は尊いものを感じるけど、広辞苑の辞書編集部や筆者などの世界は、日本人離れした、常識以前の何とも言えない時代錯誤的な非教養が横行する非知的空間が、一部であろうが支配しているのだろう。信じられない世界だ? 新村猛氏の『 「広辞苑」物語』 (芸術生活社)を見ても、そんな世界は描かれていないようだけど?


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