古本虫がさまよう 「古本泥棒にも三分の理」はありえない……か?
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「古本泥棒にも三分の理」はありえない……か?

(2013・12・25・水曜日)







アリソン・フーヴァー・バートレットの『本を愛しすぎた男 本泥棒と古書店探偵と愛書狂』 (原書房)を読んだ。
女性ジャーナリストによる本泥棒(ジョン・ギルキ-)と古書店探偵(ケン・サンダース)の攻防・興亡(?)に関するノンフィクション。

ジョン・ダニングの一連の古本屋店主を主人公にした古本ミステリのような感じの本(『災いの古書』など。ハヤカワ文庫)。

ギルキーは、職場でカード決済をする金持ちのカード番号などをこっそり盗み、電話で古本屋に本を註文し、そのカードナンバーを伝え、古本屋はカード会社に確認し、問題なしとの返事を受ける。そして、ギルキーは、父親などを代理にして古本屋で高価本を受取りさせて、あとはトンズラする…(カードを、本を取りに来た人間がもっていなくても、まぁいいかというふうに仕向けるためか? 1~2カ月後にカードの本当の所有者が身に覚えのない支払いに気付いて詐欺がばれるが…)。

時には盗んだ高価な古本を別の古本屋に売却することも。しかし、コレクションとして隠して手にして楽しむ性格の男。

著者は、そんな偏執狂ともいうべき古本を愛する男の「古本への愛」に肉薄しようとする。

一方、そうした泥棒に敵愾心を抱き、捕まえてやろうと必死になるのが古書店探偵(サンダース)。メールで、そうした古本泥棒の手口を全米の古本屋に伝え、注意を喚起し被害に遭えば、必ず報告するように求める。

著者は、そうした両者と知り合い、時には刑務所にいるギルキーにインタビューも。

自分のふるまいは棚にあげて、騙されるほうが悪い、貧乏人には本を集める楽しみもないのか…とうそぶくギルキー。そんな自分勝手な言い分に疑問を覚えつつも、著者は、この不可思議な古本泥棒の内なる「愛書精神」「良心」「利己心」にメスを入れていく。

何度か逮捕され、服役もし、古本屋の主人からは顔を覚えられ出入り禁止になったギルキー。愛書狂故にコレクションへの野望は消滅することなく、今度は図書館の蔵書に…。

オ-ウェルの『1984』の初版本は2000ドルとのこと。今だと20万円ちょっとか。吉祥寺にあって、神保町に移ったものの最近閉店(移転?)したかのように思える某洋書専門店で、初版が25万円ぐらいだったかで売っていたとの記憶があるが、相場だったのだろうか。著者サイン入り、献辞入りだったりすると、もうヒトケタ高くなるのかも?

トマス・ハーディの『カスターブリッジの市長』なども出てくる。ただ読みたいだけなら、日本では潮文庫があったかと(僕は持っているけど積んどく)。

貧乏人だって、古本のコレクションをして何が悪いかということで、自分の行なった犯罪行為に対して、あまり反省の弁を語らないギルギーの態度には、著者のみならず、読者としても多少唖然もさせられる。

まぁ、「盗人にも三分の理」ではないが、屁理屈にもホドがあるというか、世の中が悪いと叫んで、自分の犯罪行為は羞じないという、この古本泥棒の性格、どっかの進歩的文化人にも似ている?
『本を愛しすぎた男 本泥棒と古書店探偵と愛書狂』を読んでいて、ふとそんな類推もしてしまった。

ともあれ、日本の図書館でも、時々、本をネットで検索し借り出ししようとすると、「所蔵不明につき調査中」という表示が出ることがよくある。
その表示が出ると、「あぁ、盗まれたんだな」と。
やがて、その図書館は、他の図書館から借り出してきて対応する…と。しかし、今度その本を検索しようとすると、「その本は当図書館には所蔵していません」というふうに変わる…。そういうことが某区立図書館にはよくあった。

国会図書館や古書会館の古本市のように「荷物」を預かりもしない普通の図書館で、本に何らかの処置をして、出入口にピーピーとなる万引防止装置を設置していないと、そういう悪さをする輩がいるのだろう。
図書館印があるから売るのもままならないだろうに。
単に司法試験やら資格試験用の参考図書欲しさにそういうことをするのかもしれない。どちらにせよ、迷惑行為。許せない犯罪行為というしかない。

それにしても、古本コレクションという趣味にはまるとコスト的にも大変なことになるようだ。僕なんか本など読めればいいという立場。カバー? なくてもいいのではと。帯? 別に…。本体があればいいではないかと。

ポルノ小説なら、カバーイラストなど、多少はそそるものがあるとないとでは、購買意欲を増減させるだろうが…。
本も電子書籍ばかりになれば、こういう愛書狂めいた犯罪もなくなるのであろうか?
しかし、この本を読んで、古本泥棒に何の共鳴も抱きはしないのだが…好きな書き手の署名入り本なんかあるといいのかもとか思ったりもしないでもない。
何事にものめり込みすぎると危険ではある。趣味もほどほどのレベルでとどめておくべきだろう。ゴルフやキャバクラや登山や古本屋行脚やエステやグルメも…。

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