古本虫がさまよう 占領中の「売国奴(検閲官)」と「売春婦(パンパンガール)」…。どっちが英語力は上だったか?
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占領中の「売国奴(検閲官)」と「売春婦(パンパンガール)」…。どっちが英語力は上だったか?
(2013・11・6水曜日)









外れようが当たろうがどうでもいいけど、気象予報士の渡辺蘭さんの笑顔見たさに、平日朝のNHKニュースだけは時々見るけど、いわゆる一時間モノの偏向(?)の恐れが強い(?)スペシャル系番組は、時間のムダになることが少なくないようなのでなるべく見ないようにしている(NHK経営委員が佐藤欣子さん以来かどうかはともかく、今回まともな人選がなされたようなので、今後改善されるだろうか? 期待したい? もっとも民主党などは、その人選の一部に難癖つけているようだが)。
しかし、たまたま、短時間のレギュラー番組である、2013・11・5夜7時半~の「クローズアップ現代(新発見GHQ極秘資料”同胞監視”の闇)」を見た。

『GHQの検閲・諜報・宣伝工作』 (岩波現代全書)を出したばかりの山本武利氏(早稲田大学名誉教授)と『秘密のファイル CIAの対日工作 上・下』 (共同通信社・新潮文庫)の著者である春名幹男氏(元共同通信社)と『GHQ検閲官』 (葦書房)の著者・甲斐弦氏(故人) のご子息の甲斐誠氏などが番組内に登場していた。

番組の内容は、戦後、GHQ→CCD(民間検閲局)に雇われて日本国内の郵便手紙などを開封し、そこの内容に不穏なもの(闇市や反米的なものやコミュニズム関連など)があれば、英語に訳して当局に提出する検閲官の仕事をした人の名簿(ローマ字)が発見され云々という内容。

当時、英語ができた人たちが生活苦もあって(給与は比較的というか、かなり恵まれていた)そういう仕事をしたのだが、戦後ももう68年、生きている世代としても若くても80代後半。
実際検閲の仕事をしていた人(生き証人)も三人ほど画面に出てきていた。

パンパンガール(売春婦)は「美貌」「女体」で占領軍兵士に媚びへつらったが、検閲官は「英語力」で占領軍に迎合したといえようか。

生き証人の中には,、それを恥じるというか詰られたこともあったそうな。要はかつての敵に奉仕するという点で「売国奴」と見られたわけだ。といっても、生きていくためのデスクワーク。仕方あるまい。
番組では、甲斐弦氏の息子の誠氏が画面に出てきて、当時の父の日記を公開しつつ、「犬」のような仕事をしていることを嘆いている記述・箇所がクローズアップされていた。

なぜか番組では紹介されていなかったが、甲斐氏は『GHQ検閲官』 (葦書房)という本を1995年に刊行している。それはかつて一読したことがある。

甲斐氏は「GHQ検閲官」を辞めたあとは九州の熊本学園大学教授として英文学を研究し、オーウェルやケストラーの翻訳(『ケストラー自伝 目に見えぬ文字』彩流社)もしている。

『オーウェル紀行(イギリス編)』『オーウェル紀行(スペイン編)』 (近代文芸社)なる名著も書いている人。これは甲斐氏がオーウェルの足跡を訪ねて、還暦過ぎてから一人で、英国やパリやスペインバルセロナを彷徨した本だ。『1984』を読んだこともあり、共産主義を批判していた甲斐氏にとって、自らの「検閲官」としての体験は、ある意味で矛盾するものであり、葛藤を覚える職業体験だったであろう。

亡くなる直前に『GHQ検閲官』のダイジェストというか、GHQがらみの短文のエッセイを「諸君!」にも書いていたかと。神谷不二氏も検閲の仕事を少ししていたと同じ雑誌の号に書いてあったかと(このあたり記憶不鮮明だが)。

それはともかく、山本氏の本も読みかけ途中。この本にも甲斐氏のことが出てきていた。

先行の江藤淳氏の『閉された言語空間 占領軍の検閲と戦後日本』 (文春文庫)などへの言及もある。これも懐かしい本。「戦後民主主義」の嘘というか虚妄を指摘していたものだ。「平和主義憲法」の空しさを証明する本でもあった。

アメリカは、戦前からフ-ヴァ-率いるFBI(連邦捜査局)が、盗聴、不法侵入などの手段を駆使して、アメリカ国憲法に違反してでも、諜報活動を展開し、当時のアカ(コミュニスト)や無政府主義者やドイツや日本のスパイ相手に戦っていた歴史がある。国家の安全か、個人の自由か、どちらかを尊重すれば、片方が弱体化するという、ジキルとハイド的なディレンマは常にある。その中で、国家権力はどう動くか。アメリカではまだ裁判所が、そうした盗聴、不法侵入によって得た証拠で罰することを否定するような判決を戦前から出していたこともあり、ある意味で三権分立がまだ機能はしていたようだ。
敵ながら天晴れ?

敵国の大使館やら建物に侵入し、暗号表やら機密を盗んだりもしていた。手紙の検閲もしかり。検閲どころか、ばれないようにコッソリと封を開け、中身を読み、またコッソリと戻すテクニックも英国諜報機関から学んでいたともいう。

それに比べれば、日本占領中は、こっそりとではなく堂々と開封した!とスタンプ押したりしていたのだから、これまた敵ながら天晴れ?、

そういった盗聴、盗み見、検閲の伝統は、ロードリ・ジェフリーズ=ジョーンズの『FBIの歴史』 (東洋書林)や、ハーバート・ミットガングの『FBIの危険なファイル 狙われた文学者たち』 (中央公論社)などでも詳述されている。

米国内の反政府勢力相手に対して取っていた諜報手段を日本国内でも適用しただけだろう。そんな人々が押しつけた憲法を後生大事に守ることの空しさにも気づくべきだろう。もちろん、人間、アメリカも日本も、所詮はジキルとハイドではあるが、自分はハイドで相手がジキルと思いこむ必要はまったくない。

占領統治にもいいところも悪いところもあっただろう。それは日本の植民地、占領地統治とて同じこと。
少なくとも「事実」と「虚構」を見きわめて、事実を直視することが肝要だろう。

江藤淳氏が「閉された空間」を告発していたのは、1980年代初期の頃だった。彼が、アメリカでその研究をするために向こうの研究機関に訪米するという直前、学習院大学のピラミッド型の講演会場で、その決意を述べる話を聞いた覚えがある。

もう30年以上昔のことか。検閲がらみだったか、家永三郎でも本当のことをいうことがある、進歩的文化人であっても…と語るところで場内がどっと沸いたものだった(僕も笑った?)。

その江藤淳氏も自殺して亡くなった…。なんという月日の経過。そういえば、佐藤欣子氏も亡くなって久しい。『お疲れさま日本国憲法』 (TBSブリタニカ)もいい本だったが、まだまだ疲れていないぞといわんばかりに、還暦すぎても占領憲法は未だに存続し続け古希まで生き延びようとしている? このままだと喜寿、白寿も達成か?
まだオープンスタイルの「機密保護法」にあれこれ難癖をつけつつ、占領統治下のこうした検閲の実態には未だにノーテンキに無関心だったり、やっと関心を寄せるこの頃。

時代錯誤とは、こういう思考スタイルの持主にこそ向けられる言葉であろうにと思う。

それにしても、すさまじきは「検閲」。これに関しては常に要注意。盗聴も。もちろん、相手がスパイや犯罪者ともなると別の話になろうが…。何の罪もない民間人相手のアトランダムな盗聴は犯罪的行為。そのあたりの見きわめが難しいが、こういう戦後まもないころの「民主主義国家米国」のやった日本国内の検閲、諜報・宣伝工作の実態は、山本氏などの本を手懸かりに勉強していく価値はあるだろう。

もちろん、共産圏諸国内の同様、いやよりハードな実態を知る必要もあるし、ソ連や中共(中国)などの対日工作の実態も知っておく必要がある。関連書はそこそこあるけど…。



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