古本虫がさまよう 「新聞週間」に考える!②それでも、朝日新聞に期待したい?
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「新聞週間」に考える!②それでも、朝日新聞に期待したい?

(2013・10・23 水曜日)




夏といえば「金鳥の夏 」 、偏向新聞といえば「朝日新聞」というのは日本の常識なのかもしれないが、たしかに「朝日」ときくと「偏向」という言葉が浮かんでくる。それは偏見ではなく、自業自得の面もあるのではないか。

というのも、中国文革礼賛報道はリアルタイムでは知らなかったが、三好修&衛藤瀋吉両氏の名著『中国報道の偏向を衝く 調査報告 自由な新聞の危機』 (日新報道)を学生時代に一読し、唖然呆然とした記憶がある。曽野綾子さんも折に触れて、そのころの朝日をはじめとする日本のマスコミの媚中的な偏向報道の酷さを自らへの「検閲」体験と共に綴っていた。

1980年前後のソ連は脅威ではない、西側世界の一方的核軍縮を唱導するだけの反核運動礼賛、日本の軍拡経済は危ない…といったあたりからはリアルタイムで一読していたものだから、「?」と思った。
このあたりの朝日の偏向報道に関しては、佐瀬昌盛氏の『朝日の報道はここがおかしい 軍事情報をめぐる虚と実』『虚報はこうしてつくられた』 (力富書房)が詳述している。必読の文献といえる。

もっとも、「一枚岩」的なソ連にも良心的知識人、反体制派が存在していたが、その朝日の偏向報道(ソ連は脅威ではない云々)を、週刊朝日の巻末コラム(1980年12月19日号)で、同じ朝日記者である百目鬼恭三郎氏が皮肉って批判しているのを読んで、はてはて?と当時感じたりしたものだった。これも30年以上昔のことか。

その朝日内の少数の良識派と容共リベラル多数派の闘争は、良識派だった稲垣武氏の『朝日新聞血風録』 (文春文庫)の中で詳述されており、そのあたりの「朝日社内論争」の背景には、そういう事情があったのかと、後に納得感得したものだった(当時、稲垣氏は「週刊朝日」副編集長として、社内主流の中ソ礼賛論派に抵抗し、多様な言論展開のために力を尽くしたのちに編集長ともども左遷更迭されたという)。

ところで、最近の朝日批判書としては、酒井信彦氏の『虐日偽善に狂う朝日新聞 偏見と差別の朝日的思考と精神構造』 (日新報道)がある。

著者は東大元教授。朝日の報道に見られる姿勢は「自虐史観」でもなく、もはや日本に対して「虐待」というか「虐日史観」ともいうべきものであると指摘している。なるほど。そうかも。

最近も、10・13~14にかけて、しつこくというか、あまり意味のない慰安婦報道を朝日は一面(「慰安婦問題の拡大阻止」「92~93年東南アで調査せず」10・13…)などで展開していた。
それに対抗するかのように産経が10・16(「元慰安婦報告書ずさん調査」「氏名含め証言曖昧」「河野談話根拠崩れる」「本紙入手」…)で報道していた。同日付の社説検証でも、朝日の慰安婦報道に関する「誤報」を指摘もしている。

双方の記事を読み比べることが可能なら結構なこと。一紙しか読まなくても、ネットなどで無料でさまざまな新聞の最新報道を見ることが可能なら、多様な報道によって知的認識は高まるかもしれない。
ヌード写真の多い「週刊ポスト(11月1日号)」、「連日の1面記事だが、『新事実』はいったい何だったのか?」「慰安婦報道インドネシア『朝日流スクープ』のなんとも嫌な感じ」「背後には安倍首相の靖国秋季例大祭参拝を巡る駆け引きが見え隠れ」…と朝日慰安婦報道(10・13~14)を批判的に報じているが、この指摘がおおむね正しいといえそうだ。

「純粋な歴史検証ではなく、読者に『朝日新聞の正義』の押しつけや政治的思惑を感じさせているとすれば、むしろ逆効果ではないか」と。おしゃる通り。

これまた、ヌード写真やエロ記事も少々掲載される「夕刊フジ」(2013・10・17付け。実際は16日発行、さらに10・24日付。実際は23日発行)のコラム「天下の暴論+」で、二度にわたって花田紀凱氏がこの朝日記事を「週刊ポスト」と同じような視点から批判して、インドネシアにまで記者を派遣する「ヒマがあったら、社内のセクハラ問題でも追及しろ」と皮肉っていたのにも失笑してしまった。おっしゃる通り。

その花田氏が毎日新聞(2013・10・21)夕刊に登場していた。古本屋がらみの企画記事(「ネット全盛でも色あせない。古本屋の情報力」「神保町を『達人』とブラブラ」…)。

花田氏の古本マニアぶりは、夕刊フジのコラムで書いていたのを本欄で引用紹介もしたが、毎日記事ではキントト文庫で物色している写真が掲載もされていた。花田氏以外に舛添要一氏などが登場している。記事を書いている鈴木琢磨記者も「パソコンを捨てよ、街へ出よう」と結語しているが、パソコンよりもスマホの類を捨てて古本屋街を歩く方がいいのかも(でも、何度か本欄でも指摘したように「青空古本市」では、この週末どうなることやら、少し心配。屋内古本市会場がもうすこし設置されていれば、雨対策の危機管理としても有効であっただろうが…)。

でも、最近は古本屋や古本市でも、せっせとスマホか何かで古本のバーコードをチェックしては、アマゾンのネット価格を検索して「せどり」に励んでいるような人もよく見かける。まぁ、便利なものは人に迷惑をかけないように使える範囲で使えばいいのだろうが…。

話は脱線したが、それはともかくとして、酒井氏によれば、阪神支局襲撃事件などでは自分たちが被害者ということもあり、「加害者」に対して全面的非難を繰り返しているけど、過激派や学生運動などの暴力で被害が出ても、それはそれでいけないことだけど、そうした動きの背景にある社会的な問題にも眼を向けるべきだといったような、全面非難はしない、物分かりのよさを示したりすることもあったそうな。そういう二枚舌は朝日が昔から得意とするところだろう。
だって、左翼過激派のテロの背景にある彼らの思いを斟酌するとなると、朝日襲撃事件の犯人の思い(朝日のあまりの偏向報道の数々への苦悶故の犯罪かも?)も考慮するなんてことになりかねない。あらゆるテロを憎むなら、そういう二枚舌はヘンだろう。

八木秀次氏が『柳美里を守り,桜井よしこを無視する「朝日」の言論感覚』 (「諸君!」1997年5月号)という論文を以前書いていた。ほぼ同じ時期に発生した両者に対する言論抑圧的事件に関して、相手が、どちらかといえばリベラルな柳氏には同情し、反リベラル派の桜井よしこ氏(当時は「櫻井よしこ」ではなく「桜井よしこ」と表記)には批判的な報道姿勢が俎上にのせられ叩かれていたかと。

そういえば、この時、櫻井よしこ氏の講演を止めろといった運動をした人々の言い分が、彼女が「従軍慰安婦の強制連行説」を否定するのはケシカランという認識からだった。また、柳氏に対してはサイン会を止めろといった脅迫電話があったそうな。
それに対して文芸家協会が両者に対する嫌がらせに深刻な憂慮を表明する声明を出したところ、某一紙だけ一行も報じなかったそうな(1997年3月8日朝刊)。ところが、柳氏への嫌がらせだけを批判した出版労連の声明について、この新聞は2・28、3・1紙面で報じていたそうな。八木氏は、要は従軍慰安婦否定論の櫻井よしこ氏だから…ではないかと指摘もしている。そうかもしれない。

そういうのは、日本酒を飲んで飲酒運転をするのはまだいいけど、ウィスキーを飲んで飲酒運転するのはいけない、なんて日本酒メーカーの社員がいうようなもので少しヘン? どっちもいけない飲酒運転なのは明白なのに。

著者(酒井氏)もしばしば引用している朝日新聞「検証・報道」取材班の『新聞と「昭和」』上下が、朝日文庫にも最近入っている。
下巻の21章では「南北朝鮮への視線」ということで、地上の楽園帰国運動から、いろいろと「検証」はしているようだが、身内相手故にか、相手が安倍政権の時のような追及の「鋭さ」は足りない。
前出の元朝日記者の稲垣武氏の『朝日新聞血風録』 (文春文庫・絶版)のほうが、もっと鋭くこのあたりは追及していた。

例えば、稲垣氏に北朝鮮讃美ルポの酷さをボロクソに叩かれていた岩垂弘氏も朝日文庫のほうに出ていて「報道鎖国に入るのが記者の役割」だったとして「北朝鮮をどう考えるかは読者それぞれだ。厳しい南北対立や米朝関係、中国とソ連の対立など孤立無援の当時の背景を見ずに批判するのはフェアではない」と話しているそうだ。

でも、「報道鎖国」で取材制限を受けている事実をきちんと披露することもなく、あたかも自由に取材したかのような訪問記を書くほうが、はるかに読者に対して「フェアではない」というしかない。しかも、その荒唐無稽ともいうべき北朝鮮礼賛報道は、稲垣氏の本で適宜引用され、木っ端みじんに論破もされている。

こんな、すぐに見破れる嘘をそのまま掲載するとは? 他章も「五十歩百歩」の生ぬるい検証でしかないのでは?
そのあたりは酒井氏も先の本の中でしばしば言及し批判している。

稲垣武氏の『朝日新聞血風録』を朝日文庫にでも入れて再刊すれば、朝日の良心復活と評価も出来ようか? そこまでやれるだろうか? 無理? いやいやネバーセイネバー。せいぜい期待したいもの?

朝日新聞には、ソ連礼賛記事などが横行していた時でも、レンドヴァイの『操られる情報 ソ連東欧のマスメディア』といった名著が刊行されていたのだから。

その「民主的傾向の復活」は、戦後の日本の再出発時同様不可能ではないはず? 2013・4・13の「天声人語」はすばらしいと本欄でも指摘したことがあったし…。期待しています?
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