古本虫がさまよう 「土方梅子」と「長島陽子」との違い、 「福祉国家」と「副詞国家」の違いが分かる人?
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「土方梅子」と「長島陽子」との違い、 「福祉国家」と「副詞国家」の違いが分かる人?










この前、浅見雅男氏の『反逆する華族 「消えた昭和史」を掘り起こす』 (平凡社新書)を紹介した。
その関連で、櫻井よしこ氏編の『日本よ、「歴史力」を磨け 「現代史」の呪縛を解く』 (文春文庫)の中で、瀧沢一郎氏が「日本では官僚、軍人だけでなく、華族の一部にも共産主義が浸透しましたね。明治の元勲で、宮内大臣も務めた土方久元伯爵の孫で、演出家だった土方与志は共産主義に憧れてソ連に亡命して爵位を剥奪された。ソ連を追われて一九四一年に帰国しています。ほかにも『赤い』華族は少なからずいました」と指摘しているのを引用した。

当時のそうしたブルジョワ階級(?)が、格差社会の日本の現状に心を痛め、ソ連を平等を実現している社会だと美化して(勘違いして?)「赤化」していったのも無理ない面もあるかもと。

また、土方与志などについては、千田稔氏の『明治大正昭和 華族事件録』 (新人物往来社・新潮文庫)でも詳述されているとも紹介した。
先日、実家で古本の生理、いや整理をしていたら、土方梅子氏の『土方梅子自伝』 (ハヤカワ文庫)という紙質が茶色になっている古本が出てきた。

日銀総裁・三島弥太郎の二女として生れた梅子は、1918年、16歳で土方与志に嫁いだ…そしてソ連亡命…といったストーリー。
和田静子氏がインタビューしながらまとめたもののようだ。

文庫は昭和61年(1986年)の刊行だが、単行本(早川書房)は、1976年の刊行。
その時点になっても、本書の末尾で「私に可能な限り、日本共産党員としての任務を果たしたいと願い、『赤旗』の配布や拡大、カンパを集める事などを努力しております」と結語している。
おやおや、最後まで模範的な日本共産党員として過ごされていたのか?(それにしても一行43字で18行もある。これって、単行本並みの活字量。文庫サイズでこれだけの活字量だから、当然、活字の大きさは小さい。8ポぐらいだうか。昔ならこれぐらいスラスラと読んでいただろうが…。今や電車だと、車内蛍光灯のない真下の座席でこの本を読むのはちょっと苦しいかも?)。また戦前、せっかくソ連入りしたものの追い出されパリに「亡命」しても、ソ連への思いは熱く、ちょうどスペイン内戦の時で、ソ連が共和国政府支援をするのを頼みもしく思っていたとのこと。

「与志は、ソビエトでの生活が、考え方によっては不当とも思える打ち切られ方をして、心の晴れない日を送っていたのですが、決してソビエトやマルキシズムに反対するとか、疑問視するようなことはありませんでした。むしろ、スペイン共和国への援助などでは非常に積極的な姿勢を示し、人民戦線の側に立っていました」

ナントカに付けるクスリはない? いやいや、これも信念!? ご立派?


でも、親ソ派ならぬ親中派であった、岩波書店勤務の長島陽子氏は『中国に夢を紡いだ日々 さらば「日中友好」』 (論創社)という転向表明書を書いたが、土方氏は『ソ連に夢を紡いだ日々 さらば「日ソ友好」』という本を書くには至らなかったようだ。

どちらも「現実のソ連」と「現実の中国」を現地で直接見たのだが…。一方は完全に幻滅し、他方は幻想から脱却しきれなかったのか? 自伝をじっくりと読んだ上で最終判断…。どちらにせよ、人それぞれ。

でも土方氏のほうが、長島氏以上の波瀾万丈の人生を過ごしたようだから、その自叙伝は一読の価値はあるだろう。

積んどくしていたことも忘れていた本であったが、これを機に一読しなくては…と思いつつも…。

一方、2013年9月30日発行のアズビヨン・ヴォールの『福祉国家の興亡』 (こぶし書房)という本も、左翼陣営(社会民主主義左派か?)の側の人による本であるが、それなりに面白そうではある。

著者は1951年ノルウェー生まれで、ノルウェー鉄道員組合勤務をへて、ノルウェー自治一般労組顧問などをしているとのこと。日本でいえば、国労出身で自治労官公労系(旧総評系)顧問といったところか。

民間労組主体の「同盟」とは違って、反共ではなく、ちょっと「容共リベラル」的な要素があるのかもしれない(ないのかもしれない?)。

彼の「日本語版へのまえがき」によると、この本は以下のような宣伝文句で紹介されているという。

「過去十年、ヨーロッパの社会民主主義は社会や民主主義について考えることを止めた。政権に留まるなかで、社会民主主義は、連帯や連携の弱体化につながる自由主義的経済原理を受け入れていった。そうしたなかで、公共の利益という考え方は失われ、『良い社会』を建設しようというビジョンも消えてしまった」

著者の見解に賛同するか反対するかはともかく、ノルウェー、欧米諸国の福祉レベルの分析に関して、日本もそれなりに参考になるのではないかと感じる次第。でも、しばし積んどくかな?

蛇足だが、「訳者あとがき」を読んでいたら、最後の日付のところに「二〇一三年八月」というシールが貼られていた。あぁ、日付に重大な見過ごせない誤植があったんだろうなぁ。

奥付は2013年9月になっているから、当然、訳者あとがきも2013年…のはず。シールを剥がしてみると、「二〇一二年」という数字が見えるのではないか?

後世・校正恐るべし?

本欄も誤植など多々あるけど、ご容赦を。

著者名・書名・出版社などは間違えないように注意しているけど、それでも…。

まぁ、本書のタイトル『福祉国家の興亡』を『福祉国家の光芒』や『副詞国家の攻防』や『福祉国歌の工房』なんて表記したら大変だけど。
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