古本虫がさまよう 『アンネの日記』と「アンネの世界」を垣間見る
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『アンネの日記』と「アンネの世界」を垣間見る






1970年生まれの田中ひかる氏の『生理用品の社会史 タブーから一大ビジネスへ』 (ミネルヴァ書房)を読んだ。著者は学術博士(女性)。

月経を不浄のもの、タブーにみなしていた過去から、今日アッケラカンとテレビ広告でも宣伝されるようになった生理用品の歴史、価値観の変遷を取り上げたノンフィクション的書物。

いわゆる「アンネ社」の「アンネ」やらナプキンなどの開発史でもある。

使い捨てできる生理用品は、企業の利益拡大のために作られたものであり、便利さを追求するあまり女性の生理を商品化したりしていると、いかにも…といった理屈で批判する人もまだいるようだが、著者はそういう立場を取らない。

それは結構なこと。

読んでいても違和感なく読了。

といっても、男にはこの分野のことはよく分からない。ただ、紙おむつなどに対する一部の批判(資源浪費云々)などに関しては、布と併用すればすむ話だと思っていた。我が家も赤ちゃんがいた時には併用していた。外に出掛ける時は、紙おむつ、家にいる時は布おむつと。紙おむつは割高になるから、当然、そういうふうになるもの。

生理用品も、多い日とか少ない日とか、いろいろとあって、その都度、使い捨てと布のを併用するということも可能なよう。リベラルなフェミニストは便利なものを使い捨てで資源の無駄遣いだとして一方的に批判したり否定しがちだけど、あまり賢明とはいえまい。だったらシャワートイレ止めますか?

エコノミーとされる布だって、その分洗濯するわけだから、電気代や水道代が増える。

「おわりに」で、北朝鮮からの脱北女性たちが、韓国にきてもっとも感激するのが「生理用品のナプキンの存在」だと指摘している。いわゆるリベラルな人って、北朝鮮を讃美してきた人が多いけど、やはり便利なもの、清潔なものは古今東西喜ばれるもの。

少なくとも、戦後の日本は、本書でも紹介されているように、企業人が、平和産業の一つとして生理用品の開発に四苦八苦した。利益利潤追求? それが結果として女性の社会進出を促しもした(生理休暇などを不要にするぐらい、生理用品は快適な環境を高めることにも貢献したのだから)。何の文句があろうか? 『アンネの日記』 (文春文庫)でも、アンネが生理の時の苦労話を綴っている箇所があり、それが「アンネ」のネーミングとも関連しているそうな。

そうした民生に投資することもなく、核兵器やロケットや人文字体操にばかり時間と金を浪費するような国家こそ、女性の敵といえよう。

もっと、そういう方向に批判の眼を向けたらどうかといいたくもなる。

格差大国ニッポン、格差大国アメリカなんて囃し立てる人に限って、中国や北朝鮮の「超格差」状態は見て見ぬフリをしがちだから。

小田実なんか、そういう視点がなかったからトンチンカンな北朝鮮讃美をしてしまったのだろう。同じ過ちをしている人がまだいるのではないか?

日本のフェミニストたちも、もう少しまともな発想を持つべきだろう。

そのためにも、田中氏の本は役立つ。

巻末にはアンネ社の広告資料なども収録されている。この手の広告にはあまり関心を寄せたこともなかったので、改めて勉強にもなった。

洗濯や炊事という重労働から洗濯機や炊飯器が女性を解放したのと同様に、優秀な生理用品が、女性のイライラを解放したともいえよう。

蛇足だが、フランス書院文庫の『狙われた女教師』は、生理の時にイライラして万引きした弱みを同僚の男教師に握られ堕落していく女教師の哀しい性を描いた問題作だが、こういう小説ももう時代遅れか? いやそんなことはない?


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