古本虫がさまよう 『1Q84』の「NHK集金人」のくだりを読めば、NHKは「ハルキスト」になれないはずなのに?
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『1Q84』の「NHK集金人」のくだりを読めば、NHKは「ハルキスト」になれないはずなのに?




2013年10月10日夜、ノーベル文学賞発表前に、NHKニュースは、村上春樹氏のファン、ハルキストが受賞を待望している「サロン」などを紹介し、前祝いというか、景気づけに余念がなかった。残念ながら受賞を逃したが、受賞していたら、当然、彼の『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』 (文藝春秋)や『1Q84』(新潮社)をNHKは再度大きく紹介したことだろう。

今でも覚えているが、『1Q84』が発売された当日(二〇〇九年五月二十九日)、NHKは朝のニュース番組で早速、取り上げていた。

著名な文芸評論家を登場させ、都内の某書店に山積みさになっている『1Q84』の脇で、NHKのアナウンサーが内容についてインタビューしていた。
 『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』もそうだったが、『1Q84』も、発売当日まで一切「秘密」にされており、評論家も入手したばかりの『1Q84』を一晩で読了して「解説」していた。NHKの人も、この作品の中で「NHK」の受信料集金人が、(ある種の)暗いイメージ」の下、重要な精神的トラウマの役割を登場人物の一人(「天吾」)に担わせていることを、その時は知らなかっただろう。

その後もNHKは全国ニュースで『1Q84』のベストセラー化を好ましい現象として何度も紹介していく。その報道を見るたびに、幾ら「日本国」の過去の「植民地政策」に関しては「自虐」報道(二〇〇九年四月五日放送のNHKスペシャル「シリーズ・JAPANデビュー・アジアの『一等国』」等)をするNHKとはいえ、自社がらみでそんなに自虐的にならなくてもいいのではないのかと思わずにはいられなかった。
 
何しろ、天吾の親(集金人)の話以外にもNHK集金人がしつこく描写されている。

例えば、青豆が自分の知っている「過去」と現実の「過去」との違いを確認するために新聞の縮刷版を図書館で見て不審に感じるシーンがある。それが、なんと、NHK集金人が受信料の支払いを拒絶した日本大学法学部三年生を出刃包丁で刺した記事なのだ。そんな大事件がはたしてあったのだろうかと(あった?)。

2010年4月16日の朝だったか、『1Q84BOOK3<10月-1月>』の発売日、NHKは朝のニュースで、早朝から臨時開店している神保町三省堂前で新著を求めて並んでいる人々を映し出していた。
この本の中でも、「NHK集金人」が出てきた。隠れ家に潜む青豆の住居のドアを叩く「NHKのシュウキンニン」が登場するのである。

 「わたくしNHKの受信料をいただきに参りました。そうです。みなさまのエネーチケーです。あなたが中にいらっしゃることはわかっております。どれだけ息をひそめていても、それはわかるのです。長年この仕事をしておりますから、本当にお留守なのか、居留守をきめこんでいるのか、見分けられるようになります。どれだけ音を立てないように努めても、人間には気配というものがあります。人は呼吸をしますし、心臓は動いていますし、胃は消化を続けています」「あなたは今現在部屋の中におられる。そしてわたくしがあきらめてひきあげるのを待っておられる。ドアを開けるつもりも、返事をするつもりもない。なぜならば受信料を払いたくないからです」「かくれんぼはもうよしましょう。こちらも好きでやってるんじゃありません」「あなたはテレビを見ておられるでしょう。そしてテレビを見ている人は誰しも、エネーチケーの受信料を払わねばなりません。お気に召さないかもしれませんが、法律でそのようにきまっております。受信料を払わないのは、泥棒窃盗をしているのと同じなのです」「このようなことをみんなの前で大声で言い立てられて、あなただって面白くありませんでしょう」「どれほどこっそり息を潜めていても、そのうちに誰かが必ずあなたを見つけ出します。ずるいことはいつまでも続けられません。考えてもごらんなさい。あなたより遙に貧しい暮らしをしている人たちが、日本国中で毎月誠実に受信料を払っておられます」「またうかがいます。そしてまたこのドアをノックします。世界中がこの音を聞きつけるまで叩き続けます」
 


青豆のマンションには、受信料は払っているとのNHKマークの表示をドアに付けているのに…である。
村上春樹氏の、NHK集金人への皮肉な、でもとてもコミカルで意味深な描写を解剖する評論をNHKはなぜしないのだろうか?

僕は、そんな一節をとても面白く読み、村上氏はきっとジャズバーを経営している時に、集金人の無粋な対応を体験し、それがこうした描写に発展していったのではないかと感じている。
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