古本虫がさまよう 「脱北者」の本をあと何冊読めば、金王朝崩壊の善き知らせに接することができるのか?
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「脱北者」の本をあと何冊読めば、金王朝崩壊の善き知らせに接することができるのか?







張真晟氏の『金王朝「御用詩人」の告白 わが謀略の日々』 (文藝春秋)を読んだ。
著者は1971年北朝鮮生まれの脱北者。金正日の「御用詩人」として「接見者」にもなった。恵まれた地位(統一戦線事業部勤務)にいたが、地元に帰郷した時に見た幼なじみたちの貧困の極致に衝撃を受け、また韓国の反共雑誌を持っていた事実が発覚しそうになって亡命。

その亡命の経緯はあまり触れていないが(そのあたりの経緯は彼の別の本『平壌を飛び出した宮廷詩人』晩聲社—に詳述されているようだ)、金との「接見」にあたっての物々しい警戒というか、手間隙かけての対応など、そういう地位でないと経験できない生々しい証言が多々ある。詩人ならではの北朝鮮に於ける宗教的独裁国家への分析もある。恵まれた地位の獲得、そして差別構造の実態、独裁者への阿諛追従の見苦しさ…精神的葛藤もよく描かれている。

また、拉致関連の証言(小泉訪朝時の安倍副長官の「帰りましょう」発言が、金正日の「謝罪」を引き出した、2003年の段階で金が、統一戦線事業部に、めぐみさんが生きていた場合と死んでいた場合の損得を調べて分析しろとの指示を出した…)もあり、興味深く一読した。

西岡力氏の解説も参考になる---田中均の外交官としての犯罪的行為はやはり看過できないことを再確認できる。

いやはや、とにかく北朝鮮は狂人国家というしかない。なお、張真晟氏には『わたしの娘を100ウォンで売ります』 (晩聲社)という詩集もある(これは一読した記憶がある)。

以前、野口孝行氏の『脱北、逃避行 NGO日本人青年の脱北者支援活動と中国獄中243日』 (新人物往来社)という本を紹介したことがある。これがまもなく文春文庫に入って刊行されるようだ(ネット情報)。以下まずはそれを紹介した拙文の再録。

彼(野口氏)は、北朝鮮から中国に脱北してきた人々(元在日朝鮮人など)を日本へ無事逃がすことを任務としている善意の本当の意味での人権活動家である。最初の脱北・支援工作は何とか成功したものの、次の脱北計画は失敗してしまう。中国の官憲に捕まり、過酷な入獄体験も味わうのだ。その体験も赤裸々に綴られている。中国の人権抑圧体制が所詮は北朝鮮と五十歩百歩であることが理解できる。その意味でも貴重なノンフィクション作品である。
残念なことに北朝鮮から脱出しても、まだ自由にはなれない。1989年頃、東独の国民が隣国ハンガリーに出国すれば自由になれた状況とは違う。当時のハンガリーはまだ共産主義的国家ではあったが、その点は隣国国民の出国の自由を容認していた。しかし21世紀になっても、中国は無論、ベトナムに移動しても駄目なのだ。両国は容赦なき共産主義国家。北朝鮮の「友好国」でしかない。ベトナム戦争で南ベトナムが勝っていれば違っていただろうが。
そのため中国はむろんのことベトナムを越えてカンボジアまで到達してやっと、脱北者たちは「自由」になれるのだ。その脱北・逃亡への軌跡を読むにつけ、自由人権に敵対する国家がアジアにまだまだ存在していることに怒りを感じないではいられない。
3・11大地震のあと、新聞の片隅で中国内の日本の大使館か領事館かで足止めを食らっていた脱北者が出国できるようになったという趣旨の記事を見た記憶がある。長期間足止めを食らっていたのではないか。
野口氏は、元来中国が好きだったという。物心ついた時から中共のパンダ外交を嫌い、ソ連と中共(&ベトナム&北朝鮮&キューバ)は自由世界の敵と見なしていた僕とは違う? そんな彼でさえ、不幸な難民である脱北者を保護しない中共の対応を厳しく批判している。
「中国が脱北者を難民と見なし、保護してくれさえすれば、多くの北朝鮮の人たちが救われる。そうした事実を知りながら、中国政府は脱北者に対して厳しい態度を崩していない。脱北者の保護と救援を目的に活動している私たちにとって、中国という国は非人道的な国でしかなかった」
そう、中国はそういう国なのだ。そのことを片時も忘れないでいたいものだ。



それにしても、脱北者やそれに関する本をもう何冊、何十冊読んできたことか…。
最近の本だけでも、北朝鮮人権第3の道編の『北朝鮮 全巨里教化所 人道犯罪の現場 全巨里教化元収監者81人の証言を含む8934人による、北朝鮮の国内人権状況の証言集』 (連合出版)や呉小元氏の『ハダカの北朝鮮』 (新潮新書)や斉藤博子氏の『北朝鮮に嫁いで四十年 ある脱北日本人妻の手記』 (草思社)や蓮池薫氏の『拉致と決断』 (新潮社)やリ・ハナ氏の『日本に生きる北朝鮮人 リ・ハナの一歩一歩』 (アジアプレス・インターナショナル出版部)や趙明哲氏の『さらば愛しのピョンヤン 北朝鮮エリート亡命者の回想』 (平凡社)など(ただし、趙氏の平凡社のこの本は内容的にはちょっと余計な一言がある欠陥亡命記! 以前本欄にてその点は詳述)。

あと何冊読めば、北朝鮮独裁政権崩壊、拉致被害者の救出がなされるのだろうか。横田めぐみさんは49歳…。父上は80歳、母親は77歳。二人とも後期高齢者ではないか。拉致されて36年。なんということだ。許せない!

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